自筆証書遺言と公正証書遺言、どちらを選ぶべきか|要件・費用・検認・訴訟リスクを徹底比較

この記事の要点 確実性を重視するなら公正証書遺言、手軽さとコストを重視するなら自筆証書遺言(法務局保管制度の併用がおすすめ) 自筆証書遺言は要件を一つでも欠くと無効になるリスクがあるが、公正証書遺言は公証人が関与するためほぼ起こらない 検認の要否・費用・遺言能力争いへの強さが選択の分かれ目になる 「遺言を書こうと思うが、自分で書く方法と公証役場で作る方法、どちらがよいのか」――この質問は、遺言相談の現場で最も多く寄せられるものの一つです。結論から言えば、確実性を重視するなら公正証書遺言、手軽さとコストを重視するなら自筆証書遺言(できれば法務局保管制度を併用)、というのが実務上の一般的な整理です。 ...

2026年5月3日 · ひぐらしさとし

相続人が5〜6人いて遺産分割がまとまらない|連絡先の調べ方から家裁の調停・審判への進み方まで

この記事の要点 兄弟姉妹相続・代襲相続では相続人が5〜10人以上に増えやすい。まず戸籍と戸籍の附票で相続人と連絡先を確定する 話し合いがまとまらなければ、家庭裁判所の遺産分割調停・審判に進む 2023年4月からの「10年ルール」で特別受益・寄与分の主張には期限がある。早めにお近くの司法書士にご相談ください 「亡くなった伯父には子どもがいなかったので、兄弟姉妹6人で相続することになった」 「そのうち2人は既に亡くなっており、その子ども(甥・姪)が代わりに相続人になった」 「結果として相続人は8人を超え、何十年も会っていない人や、住所すら知らない人もいる」 ...

2026年5月3日 · ひぐらしさとし

相続登記の義務化、放置すると過料10万円の落とし穴 ― 実際に過料が科されるのはどんなとき?

この記事の要点 期限を過ぎても即座に10万円取られるわけではなく、登記官の催告を経てなお放置した場合に裁判所が過料を決定する 相続人が極めて多く戸籍集めに長い時間がかかる・遺言の有効性や遺産の範囲をめぐる争い・重病など「正当な理由」があれば過料を免れる余地がある 分割協議が長引きそうなときは「相続人申告登記」でひとまず義務を履行できる 「相続登記が義務になったのは知っているけれど、放っておいたら本当に10万円取られるの?」 最近、こうしたご質問をよくいただくようになりました。 ...

2026年5月3日 · ひぐらしさとし

相続放棄、3ヶ月過ぎたら借金を背負う?──熟慮期間を過ぎてしまった後の救済

この記事の要点 熟慮期間(3ヶ月)を過ぎていても、最判昭和59年4月27日により救済される余地がある 「財産が全く存在しないと信じ、そう信じたことに相当な理由がある」ことを上申書で丁寧に説明する必要がある 預金の引き出しや不動産の処分など「単純承認」とみなされる行為をしてしまうと、救済の道が閉ざされる 「父が亡くなって半年。すっかり落ち着いた頃に、見知らぬ消費者金融から『お父様の借金を相続人として支払ってください』という請求書が届いた──」 ...

2026年5月3日 · ひぐらしさとし

相続登記で兄弟の一人だけ協力しない場合の対処法──段階的な解決の進め方

この記事の要点 遺産分割協議に協力しない相続人がいても「話し合い→調停→審判」と段階的な解決手段が用意されている 法定相続分どおりの相続登記なら、相続人1人でも単独申請できる(不動産登記法63条2項) 相続登記義務化の「3年」の期限は待ってくれないため、協議が長引きそうなら相続人申告登記で義務違反を先に回避しておく 亡くなった親の家を相続するため遺産分割協議を進めようとしても、兄弟姉妹のうち一人だけが話し合いに応じてくれない——これは相続実務でもっとも多く見られる悩みのひとつです。 ...

2026年4月30日 · ひぐらしさとし

亡くなった方の預金、葬儀代だけでも引き出せる?──預貯金の仮払い制度

この記事の要点 遺産分割前でも、相続人ひとりで単独請求できる「預貯金の仮払い制度」(民法909条の2)がある 上限は「預金額×1/3×法定相続分」と、金融機関ごとに150万円のいずれか低い方 相続放棄を検討している場合は、仮払いの利用が「単純承認」とみなされるリスクがあるため要注意 「親の口座が凍結されて葬儀代も払えない」というご相談 身内が亡くなったあと、銀行に死亡の連絡を入れると、その方の口座は「凍結」され、原則として遺産分割協議が終わるまで引き出せなくなります。 ...

2026年4月30日 · ひぐらしさとし

法定相続情報証明制度をやさしく解説──戸籍の束を1枚の図にまとめる手続き

この記事の要点 法定相続情報証明制度を使うと、戸籍の束のかわりに法務局認証つきの一覧図の写し1枚で相続手続きが進められる 手数料は無料。必要な通数を交付してもらえるので、不動産登記と金融機関の手続きを同時並行できる 数次相続では亡くなった方ごとに別々の申出が必要になるほか、相続人に外国籍の方がいる場合は利用できないなど、注意点もある 相続が起きたあと、銀行の口座を解約したり、不動産の名義を変えたり、証券口座を引き継いだり……どの窓口に行っても必ず求められるのが「亡くなった方の出生から死亡までの戸籍一式」と「相続人全員の戸籍」です。 ...

2026年4月29日 · ひぐらしさとし

自筆の遺言書を法務局に預けられる——遺言書保管制度とは

この記事の要点 自筆証書遺言を法務局に預けられる制度。家庭裁判所の検認が不要になる 費用は保管申請時に1通3,900円のみ。その後の保管料はかからない 法務局は形式面しか確認しない。内容が法的に有効かどうかは自分で(できれば専門家に)確認が必要 「遺言書を書いたはいいけれど、自分が亡くなった後に家族が見つけてくれるだろうか」「書き直したらどれが最新版かわからなくなりそう」——そんな不安を持つ方は少なくありません。 ...

2026年4月28日 · ひぐらしさとし

遺留分侵害額請求とは?──2019年改正で「現物返還」から「金銭請求」へ

この記事の要点 遺留分(最低限の取り分)があるのは配偶者・子・直系尊属のみ。兄弟姉妹にはない 割合は原則2分の1(直系尊属のみが相続人の場合は3分の1) 2019年7月1日以降の相続では「現物の返還」ではなく「金銭の支払い」を請求する権利になった(民法1046条)。時効は相続開始と遺留分侵害を知ったときから1年 遺留分って何ですか? 親が亡くなって遺言書を開けてみたら、「財産はすべて長男に」と書いてあった──。こんなとき、他のきょうだいや配偶者は黙って受け入れるしかないのでしょうか。 ...

2026年4月27日 · ひぐらしさとし

配偶者が「家に住み続ける権利」を守るために──配偶者居住権という選択肢

この記事の要点 配偶者居住権を使うと、自宅の「居住権」と「所有権」を分けて相続でき、配偶者は住み続けながら現金も受け取りやすくなる 取得には遺言または遺産分割協議が必要。第三者に対抗するには登記が必須(民法1031条2項) 配偶者が亡くなると自動的に消滅し、他人に譲渡することはできない 夫(または妻)を亡くしたあと、「これからもこの家に住み続けられるのだろうか」と不安に思う方は少なくありません。 ...

2026年4月26日 · ひぐらしさとし