登記の『連件申請』とは?──同じ不動産で複数の登記を続けて出すしくみ

この記事の要点 連件申請とは、同じ不動産について二つ以上の登記を、前後の順番がわかるようにして同時に申請する扱いの実務上の呼び名 前の登記で名義人になる人が後の登記で権利を渡す側になるときは、後の登記に必要な登記識別情報を「提供されたものとみなす」定め(不動産登記規則67条)があり、前の登記の完了を待たずに申請できる 前の申請が取下げ・却下になると、後の申請もそのままでは登記できなくなるため、書類は最初に一度でそろえておく必要がある 不動産の売買や相続の手続きで、司法書士から「この登記とこの登記を連件(れんけん)で出します」と言われることがあります。結論から言えば、「連件申請」とは、同じ不動産について複数の登記の申請を、どちらが先でどちらが後かをはっきりさせたうえで同時に法務局へ出す扱いのことです。なお、これは実務で使われている呼び名で、不動産登記法・不動産登記令・不動産登記規則の条文に「連件」という言葉が出てくるわけではありません。 ...

2026年8月11日 · ひぐらしさとし

登記が完了するまでどれくらいかかる?──登記完了予定日と処理期間の見方

この記事の要点 申請から完了までの見込みは、各法務局がホームページで「登記完了予定日」として公表している 予定日はあくまで目安で、申請が集中したときや申請に不備(補正)があるときは、翌日以降にずれることがある 完了までの間は、登記識別情報通知や登記完了証はまだ手元に届かない 法務局に登記を申請すると、その場で登記簿が書き換わるわけではありません。申請を受け付けたあと、登記官が内容を審査して、はじめて登記が完了します。では、どれくらい待つのか。結論から言えば、その見込みは各法務局が「登記完了予定日」として公表しており、自分の管轄の法務局のホームページで確認できます。 ...

2026年8月7日 · ひぐらしさとし

不動産の登記はどこの法務局に出す?──管轄のきまりと、間違えたときの扱い

この記事の要点 不動産の登記の申請は、その不動産の所在地を管轄する法務局(登記所)に出すのが原則 離れた場所に不動産が複数あるときは、管轄する法務局ごとに分けて申請することになる 管轄に属しない申請は却下の対象で、実際には取り下げて出し直すという取扱いが一般的とされる 「相続した実家の名義を変えたいのですが、近所の法務局でできますか」。窓口でよく出る質問です。結論から言えば、登記の申請を出す先は、申請する人の住まいではなく、その不動産がある場所で決まります。 ...

2026年8月3日 · ひぐらしさとし

登記に使う印鑑証明書に有効期限はある?──3か月以内が要る場面・要らない場面

この記事の要点 不動産登記で「作成後3か月以内」の印鑑証明書が求められるのは、売買や贈与、抵当権の抹消のように、不動産の名義人が「渡す側(登記義務者)」として申請する場面などで、その名義人が出す分です(不動産登記令16条3項・18条3項)。 相続登記で遺産分割協議書に添える相続人の印鑑証明書について、不動産登記令は3か月以内という制限を置いていません。 ただし銀行の相続手続や他の窓口では、それぞれの決まりで期限を求められることがあります。登記の話とは別枠です。 「印鑑証明書は3か月以内のものを」——手続きの案内でよく見かける言い方です。ところが相続登記では「何年も前の印鑑証明書でも大丈夫」と言われることがあり、どちらが本当なのか混乱しやすいところです。結論から言えば、どちらも正しく、場面が違います。 ...

2026年7月30日 · ひぐらしさとし

登記の『受付番号』とは?──同じ日に複数の申請が出たときの順番の決まり方

この記事の要点 受付番号は、法務局が登記の申請を受け付けた順に付ける番号で、1年ごとに振り直される 同じ不動産について複数の権利の登記の申請があったときは、受付番号の順序に従って登記が行われる 申請の前後が明らかでないときは同時に申請されたものとみなされ、同じ受付番号が付けられる 登記事項証明書(登記簿)には「令和〇年〇月〇日受付第〇〇号」という記載が並んでいます。この「第〇〇号」が受付番号です。結論から言えば、受付番号は法務局が申請を受け付けた順に付ける通し番号で、同じ不動産に複数の申請があったときの処理の順番を決める目印になります。 ...

2026年7月26日 · ひぐらしさとし

登記申請の『取下げ』と『却下』はどう違う?──不備が直せないときの二つの道

この記事の要点 登記の名義変更などで不備が見つかり、補正でも直せないときは、手続きが「取下げ」か「却下」に分かれる 取下げは申請した人が自分から引っ込めること、却下は法務局が「この申請は受け付けられない」と判断すること どちらになるかで、納めた登録免許税の扱いなどが変わることがある 不動産や会社の登記を申請したあと、書類の不備が見つかることがあります。多くはその場での訂正(補正)で直せますが、なかには補正では直しきれない不備もあります。そのときに登場するのが「取下げ(とりさげ)」と「却下(きゃっか)」です。結論から言うと、取下げは申請した側から引っ込めること、却下は法務局が受け付けを認めないと判断することで、同じ「登記できなかった」でも中身が違います。 ...

2026年7月22日 · ひぐらしさとし

相続登記で出した戸籍は返してもらえる?──原本還付という一手間

この記事の要点 相続登記で提出した戸籍・遺産分割協議書・印鑑証明書などの原本は、原本還付(げんぽんかんぷ)という手続きをとれば、登記完了後に返してもらえる 具体的には、原本のコピーを添えて、そのコピーに「原本と相違ありません」と記して申請人が記名・押印しておく、という一手間が必要 ただし、その登記のためだけに作った委任状などは、原則として返してもらえない 「相続登記のために集めた戸籍一式を法務局に出したら、そのまま取られてしまうのだろうか」——よくあるご心配です。結論から言うと、原本還付という手続きをとれば、提出した原本は登記が終わったあとに返してもらえます。戸籍は銀行の相続手続きなど他の場面でも使うことが多いので、実務ではほぼ必ずこの手続きを使います。 ...

2026年7月18日 · ひぐらしさとし

『登記識別情報』と『登記完了証』はどう違う?──登記後に届く書類の見分け方

この記事の要点 登記が終わると複数の書類が返ってくるが、なかでも「登記識別情報通知」と「登記完了証」は役割がまったく違う 登記識別情報通知は昔の「権利証」にあたるもので、新しく名義人になった人だけに通知される12桁の符号 登記完了証は「登記が終わりました」というお知らせで、権利を証明する書類ではない 不動産の登記(名義の書き換えなど)が完了すると、法務局からいくつかの書類が返ってきます。このとき混同されやすいのが「登記識別情報通知(とうきしきべつじょうほうつうち)」と「登記完了証(とうきかんりょうしょう)」です。結論から言えば、大切に保管すべきは登記識別情報通知のほうで、登記完了証は手続きが終わったことのお知らせにあたります。 ...

2026年7月14日 · ひぐらしさとし

登記申請の『補正』とは?──なぜ起きる?窓口でよくある指摘のパターン

この記事の要点 補正(ほせい)とは、登記申請に直せる不備があるとき、法務局(登記官)の指示に従って、決められた期間内に訂正すること。不備があっても、すべてがそのまま却下になるわけではない よくある指摘は、大きく「添付書類の不足・不一致」「不動産や当事者の表示のずれ」「登録免許税の計算違い」の3系統に分かれる 申請書と添付書類、登記記録の3つを事前に突き合わせておくと、補正の多くは未然に防げる 「登記を申請したのに、法務局から『補正してください』と連絡が来た」——これは決して珍しいことではありません。補正とは、申請書類に直せる不備があったときに、法務局の指示に従ってそれを訂正する手続きのことです。 ...

2026年7月10日 · ひぐらしさとし