問題: 債権者代位権に関する次のア〜オの記述のうち、誤っているものの組合せはどれか。

ア. 債権者は、自己の債権を保全するため必要があるときは、債務者に属する権利を行使することができるが、債務者の一身に専属する権利及び差押えを禁じられた権利は対象とならない。

イ. 債権者代位権を行使するためには、債権者の債権が金銭債権であることが必要であり、登記又は登録の請求権を保全するために代位を行うことはできない。

ウ. 債権者代位権の行使対象が金銭の支払を目的とするものであるときは、債権者は、相手方に対し、その支払を自己に対してすることを求めることができる。

エ. 債権者が被代位権利を行使した場合、債務者は被代位権利について自ら取立てその他の処分をすることが一切できなくなる。

オ. 債権者は、被代位権利の行使に係る訴えを提起したときは、遅滞なく、債務者に対し、訴訟告知をしなければならない。

  1. ア、ウ
  2. ア、エ
  3. イ、エ
  4. ウ、オ
  5. エ、オ

答え: 3

解説: ア. 正しい。民法423条1項本文・ただし書。債務者の一身に専属する権利及び差押禁止権利は代位の対象外である。

イ. 誤り。改正民法423条の7(登記又は登録の請求権を保全するための債権者代位権)により、特定債権の保全のための転用型代位が明文化された。判例(大判明治43年7月6日民録16-537ほか)から認められてきた登記請求権の代位行使も、現行民法上は条文に根拠を持つ。

ウ. 正しい。民法423条の3本文「被代位権利が金銭の支払又は動産の引渡しを目的とするものであるときは、債権者は、相手方に対し、その支払又は引渡しを自己に対してすることを求めることができる」。

エ. 誤り。民法423条の5「債権者が被代位権利を行使した場合であっても、債務者は、被代位権利について、自ら取立てその他の処分をすることを妨げられない。この場合においては、相手方も、被代位権利について、債務者に対して履行をすることを妨げられない」。改正前判例(最判昭和48年4月24日民集27-3-596)と異なり、改正後は債務者の処分権限は失われない構造に整理された。

オ. 正しい。民法423条の6「債権者は、被代位権利の行使に係る訴えを提起したときは、遅滞なく、債務者に対し、訴訟告知をしなければならない」。

したがって、誤りはイとエであり、組合せ3が正解。


問題: 根抵当権の元本確定事由に関する次のア〜オの記述のうち、誤っているものの組合せはどれか。

ア. 根抵当権者が抵当不動産について競売の申立てをしたときは、競売手続の開始決定があるまでは元本は確定しない。

イ. 根抵当権者が抵当不動産に対して滞納処分による差押えをしたときは、元本は確定する。

ウ. 根抵当権者が抵当不動産に対する競売手続の開始又は滞納処分による差押えがあったことを知った時から1か月を経過したときは、元本は確定する。

エ. 債務者又は根抵当権設定者が破産手続開始の決定を受けたときは、元本は確定する。

オ. 元本の確定すべき期日の定めの変更について、変更前の期日より前に登記をしなかったときは、担保すべき元本は、当該変更前の期日に確定する。

  1. ア、イ
  2. ア、ウ
  3. イ、エ
  4. ウ、オ
  5. エ、オ

答え: 2

解説: 民法398条の20第1項は、根抵当権の元本確定事由を4類型で定める。

  • 1号:根抵当権者が抵当不動産について競売若しくは担保不動産収益執行又は第三百七十二条において準用する第三百四条第一項の規定による物上代位の差押えを申し立てたとき
  • 2号:根抵当権者が抵当不動産に対して滞納処分による差押えをしたとき
  • 3号:根抵当権者が抵当不動産に対する競売手続の開始又は滞納処分による差押えがあったことを知った時から二週間を経過したとき
  • 4号:債務者又は根抵当権設定者が破産手続開始の決定を受けたとき

ア. 誤り。1号により、根抵当権者が競売を「申し立てたとき」に元本が確定する(開始決定を待たない)。

イ. 正しい。2号通り。

ウ. 誤り。3号は「2週間」が条文文言。「1か月」は誤り。

エ. 正しい。4号通り。

オ. 正しい。民法398条の6第3項「第一項の期日の変更について元の期日より前に登記をしなかったときは、担保すべき元本は、当該変更前の期日に確定する」。

したがって、誤りはアとウであり、組合せ2が正解。


問題: 取締役会の決議に関する次のア〜オの記述のうち、誤っているものの組合せはどれか。

ア. 取締役会の決議は、議決に加わることができる取締役の過半数(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)が出席し、その過半数(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)をもって行う。

イ. 取締役会の決議について特別の利害関係を有する取締役は、議決に加わることができない。

ウ. 取締役会の議事録は、株式会社の本店及び支店に取締役会の日から10年間備え置かなければならない。

エ. 取締役会の決議に参加した取締役であって、議事録に異議をとどめないものは、当該決議に賛成したものと推定する。

オ. 取締役全員の同意があれば、書面又は電磁的方法による決議をすることができ、定款の定めがなくても可能である。

  1. ア、イ
  2. ウ、オ
  3. イ、エ
  4. ア、ウ
  5. エ、オ

答え: 2

解説: ア. 正しい。会社法369条1項「取締役会の決議は、議決に加わることができる取締役の過半数(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)が出席し、その過半数(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)をもって行う」。

イ. 正しい。会社法369条2項「前項の決議について特別の利害関係を有する取締役は、議決に加わることができない」。

ウ. 誤り。会社法371条1項「株式会社は、取締役会の日(前条の規定により取締役会の決議があったものとみなされた日を含む。)から十年間、第三百六十九条第三項の議事録又は前条の意思表示を記載し、若しくは記録した書面若しくは電磁的記録(以下この条において「議事録等」という。)をその本店に備え置かなければならない」。支店への備置は要求されておらず、本店のみで足りる。株主名簿等(会社法125条で本店・支店)と取締役会議事録の備置場所の違いに注意。

エ. 正しい。会社法369条5項「取締役会の決議に参加した取締役であって第三項の議事録に異議をとどめないものは、その決議に賛成したものと推定する」。

オ. 誤り。会社法370条「取締役会設置会社は、取締役が取締役会の決議の目的である事項について提案をした場合において、当該提案につき取締役(当該事項について議決に加わることができるものに限る。)の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたとき(監査役設置会社にあっては、監査役が当該提案について異議を述べたときを除く。)は、当該提案を可決する旨の取締役会の決議があったものとみなす旨を定款で定めることができる」。定款の定めが必要であり、定款の定めがなくても可能とする本選択肢は誤り。

したがって、誤りはウとオであり、組合せ2が正解。


問題: 少額訴訟に関する次のア〜オの記述のうち、誤っているものの組合せはどれか。

ア. 少額訴訟は、訴訟の目的の価額が60万円以下の金銭の支払の請求を目的とする訴えにおいて利用することができる。

イ. 少額訴訟による審理及び裁判を求める旨の申述は、訴えの提起の際にしなければならない。

ウ. 同一の簡易裁判所において、同一の年に5回を超えて少額訴訟による審理及び裁判を求めることはできない。

エ. 少額訴訟においては、被告は、訴訟を通常の手続に移行させる旨の申述をすることができ、当該申述があった事件は、通常の手続により審理及び裁判をする。

オ. 少額訴訟の終局判決に対しては、判決書又はこれに代わる調書の送達を受けた日から2週間の不変期間内に、当該判決をした裁判所の上級裁判所に控訴をすることができる。

  1. ア、エ
  2. ア、オ
  3. ウ、オ
  4. ア、ウ
  5. イ、エ

答え: 3

解説: ア. 正しい。民訴法368条1項本文「簡易裁判所においては、訴訟の目的の価額が六十万円以下の金銭の支払の請求を目的とする訴えについては、少額訴訟による審理及び裁判を求めることができる」。

イ. 正しい。民訴法368条2項「少額訴訟による審理及び裁判を求める旨の申述は、訴えの提起の際にしなければならない」。

ウ. 誤り。民訴法368条1項ただし書「ただし、同一の簡易裁判所において同一の年に最高裁判所規則で定める回数を超えてこれを求めることはできない」。最高裁判所規則(民事訴訟規則223条)により、回数は10回と定められている。「5回」は誤り。

エ. 正しい。民訴法373条1項「被告は、訴訟を通常の手続に移行させる旨の申述をすることができる」。同条2項「訴訟は、前項の申述があった時に、通常の手続に移行する」。

オ. 誤り。民訴法377条「少額訴訟の終局判決に対しては、控訴をすることができない」。少額訴訟の終局判決に対する不服申立ては、異議の申立て(民訴法378条)である(判決をした裁判所への申立て)。

したがって、誤りはウとオであり、組合せ3が正解。


問題: 司法書士の責務及び事務所等に関する次のア〜オの記述のうち、誤っているものの組合せはどれか。

ア. 司法書士は、その所属する司法書士会及び日本司法書士会連合会が実施する研修を受け、その資質の向上を図るように努めなければならない。

イ. 簡裁訴訟代理等関係業務を行うためには、法務大臣が指定する団体が実施する研修を修了し、考査に合格して、法務大臣の認定を受ける必要がある。

ウ. 司法書士法人の社員又は使用人である司法書士は、所属する司法書士会及び日本司法書士会連合会の会則を守らなければならず、他の事務所のために事務を取り扱う場合には、当該他の事務所の研修制度に従わなければならない。

エ. 司法書士は、補助者を置いたときは、遅滞なく、その旨を所属の司法書士会に届け出なければならず、補助者を置かなくなったときも、また同様である。

オ. 司法書士は、その業務を行うための事務所を二以上設けることができる。

  1. ア、エ
  2. ウ、オ
  3. イ、エ
  4. ア、オ
  5. ウ、エ

答え: 2

解説: ア. 正しい。司法書士法24条1項「司法書士は、その所属する司法書士会及び日本司法書士会連合会が実施する研修を受け、その資質の向上を図るように努めなければならない」。

イ. 正しい。司法書士法3条2項各号により、簡裁訴訟代理等関係業務を行うためには、法務大臣の指定する団体が実施する研修の修了・考査の合格・法務大臣の認定が必要。

ウ. 誤り。司法書士法42条(社員等の責務)「司法書士法人の社員又は使用人である司法書士は、所属する司法書士会及び日本司法書士会連合会の会則を守らなければならない」と定めるのみで、「他の事務所の研修制度に従わなければならない」との規定は存在しない

エ. 正しい。司法書士法施行規則25条1項「司法書士は、補助者を置いたときは、遅滞なく、その旨を所属の司法書士会に届け出なければならない。補助者を置かなくなったときも、また同様である」。

オ. 誤り。司法書士法20条「司法書士は、法務省令で定めるところにより、業務を行うための事務所を設けなければならない」。そして司法書士法施行規則19条1項「司法書士は、二以上の事務所を設けることができない」。事務所は1か所に限られる(事務所一個原則)。

したがって、誤りはウとオであり、組合せ2が正解。


出題分野の振り分け

出題分野 主な根拠
第1問 民法(債権者代位権) 民法423条・423条の3・423条の5・423条の6・423条の7
第2問 民法(根抵当権の元本確定) 民法398条の20第1項・398条の6第3項
第3問 会社法(取締役会の決議) 会社法369条1項・2項・5項、370条、371条1項
第4問 民事訴訟法(少額訴訟) 民訴法368条・373条・377条・378条、民事訴訟規則223条
第5問 司法書士法(司法書士の責務・事務所) 司法書士法3条2項・20条・24条1項・42条、施行規則19条1項・25条1項