問題:
共有に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものはいくつあるか。
ア.各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)を加えることができない。
イ.共有物の管理に関する事項は、その形状又は効用の著しい変更を伴わない変更を含め、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する。
ウ.共有物を使用する共有者があるときであっても、共有物の管理に関する事項を持分の価格の過半数で決することができる。
エ.共有者が他の共有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、裁判所は、共有者の請求により、当該他の共有者以外の共有者の持分の価格の過半数で共有物の管理に関する事項を決することができる旨の裁判をすることができる。
オ.共有物の分割について共有者間に協議が調わないときは、その分割を裁判所に請求することができ、裁判所は、共有物の現物を分割する方法又は共有者に債務を負担させて他の共有者の持分の全部を取得させる方法により分割することができる。
答え:
正しいものは、ア・イ・ウ・エ・オの5個である。
解説:
共有の規律は令和3年改正(令和5年4月1日施行)により、管理・変更の意思決定と、所在等が不明な共有者がある場合の裁判手続が大きく整理された。
ア(正しい)。各共有者は、他の共有者の同意を得なければ共有物に変更を加えることができないが、その形状又は効用の著しい変更を伴わないもの(軽微変更)は除かれる(民法251条1項)。軽微変更は管理に関する事項として過半数で決し得る。
イ(正しい)。共有物の管理に関する事項は、軽微変更を含め、各共有者の持分の価格に従いその過半数で決する(民法252条1項前段)。
ウ(正しい)。共有物を使用する共有者があるときであっても、管理に関する事項は持分の価格の過半数で決することができる(民法252条1項後段)。ただし、その決定が共有物を使用する共有者に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なければならない(同条3項)。
エ(正しい)。共有者が他の共有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、裁判所は、共有者の請求により、当該他の共有者以外の共有者の持分の価格の過半数で管理に関する事項を決することができる旨の裁判をすることができる(民法252条2項1号)。
オ(正しい)。協議が調わないときは裁判所に分割を請求でき、裁判所は現物分割又は賠償分割(共有者に債務を負担させて他の共有者の持分の全部又は一部を取得させる方法)により分割することができる(民法258条1項・2項)。これらの方法で分割できないとき等は、競売を命ずることができる(同条3項)。
問題:
遺贈による所有権の移転の登記に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものはいくつあるか。
ア.相続人に対する遺贈による所有権の移転の登記は、令和5年4月1日以後は、登記権利者が単独で申請することができる。
イ.相続人以外の第三者に対する遺贈による所有権の移転の登記は、受遺者を登記権利者、遺贈者の相続人又は遺言執行者を登記義務者とする共同申請による。
ウ.遺贈による所有権の移転の登記の登記原因は「遺贈」であり、その日付は遺贈の効力が生じた日(遺贈者の死亡の日)である。
エ.遺言執行者がある場合において、相続人以外の第三者に対する遺贈による登記を共同申請するときは、登記義務者側は遺言執行者が申請人となる。
オ.相続人に対する遺贈による所有権の移転の登記を登記権利者が単独で申請するときも、登記原因を証する情報として遺言書等の提供を要する。
答え:
正しいものは、ア・イ・ウ・エ・オの5個である。
解説:
遺贈による所有権移転登記は、令和3年改正(令和5年4月1日施行)により、相続人に対する遺贈に限って単独申請が認められた点が新しい。
ア(正しい)。相続人に対する遺贈による所有権の移転の登記は、登記権利者が単独で申請することができる(不動産登記法63条3項)。相続による権利移転登記(同条2項)と並ぶ単独申請の拡張である。
イ(正しい)。相続人以外の第三者に対する遺贈による登記は、原則どおり共同申請であり(不動産登記法60条)、受遺者が登記権利者、遺贈者の相続人又は遺言執行者が登記義務者側となる。
ウ(正しい)。登記原因は「遺贈」、その日付は遺贈の効力発生日すなわち遺贈者の死亡の日である(民法985条1項)。停止条件付遺贈で条件が死亡後に成就した場合等は別異に解されるが、原則は死亡の日による。
エ(正しい)。遺言執行者があるときは、遺言の執行に必要な行為をする権限を有し(民法1012条1項)、遺贈の履行は遺言執行者のみが行うことができる(同条2項)から、共同申請の登記義務者側は遺言執行者が申請人となる。
オ(正しい)。単独申請の場合も、登記原因を証する情報として遺言書(及び遺贈者の死亡を証する情報等)の提供を要する(不動産登記法61条、不動産登記令別表)。単独申請であっても登記原因証明情報の提供は免除されない。
問題:
株式会社の設立の登記に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。
ア.株式会社は、その本店の所在地において設立の登記をすることによって成立する。
イ.発起設立の場合、設立時取締役の選任は、発起人の議決権の過半数をもって決定する。
ウ.設立の登記の申請書には、定款を添付しなければならない。
エ.募集設立の場合、設立の登記の申請書には、創立総会の議事録を添付しなければならない。
オ.設立時発行株式に係る払込みがあったことを証する書面として、発起設立の場合であっても、必ず払込取扱機関が作成した払込金保管証明書を添付しなければならない。
答え:
誤っているものは、オの1個である。
解説:
株式会社の設立登記は、会社の成立要件(会社法49条)であり、発起設立・募集設立で添付書面が異なる点が問われる。
ア(正しい)。株式会社は、その本店の所在地において設立の登記をすることによって成立する(会社法49条)。設立登記は対抗要件ではなく成立要件である。
イ(正しい)。発起設立における設立時取締役等の選任は、発起人の議決権の過半数をもって決定する(会社法40条1項)。発起人は出資の履行をした設立時発行株式につき1株1議決権を有する。
ウ(正しい)。設立登記の申請書には、定款を添付しなければならない(商業登記法47条2項1号)。
エ(正しい)。募集設立の場合、設立登記の申請書には創立総会の議事録を添付しなければならない(商業登記法47条2項)。設立時役員の選任等が創立総会で行われるためである。
オ(誤り)。払込みがあったことを証する書面につき、発起設立の場合は、払込取扱機関の払込金保管証明書に代えて、払込みがされた預金通帳の写し等を合綴したもので足りる。払込金保管証明書が必須となるのは募集設立の場合であり(商業登記法47条2項5号、会社法64条1項)、発起設立で必ず保管証明書を要するとする点が誤りである。
問題:
控訴に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものはいくつあるか。
ア.控訴は、第一審の終局判決に対し、その判決書又は判決書に代わる調書の送達を受けた日から2週間の不変期間内に提起しなければならない。
イ.控訴は、控訴状を第一審裁判所に提出してしなければならない。
ウ.第一審判決の全部に対して控訴をすることができ、全部勝訴した当事者であっても、判決の理由中の判断に不服があれば控訴の利益が認められる。
エ.控訴審において、第一審判決の取消し又は変更は、不服申立ての限度においてのみ、これをすることができる。
オ.控訴裁判所は、第一審判決を不当とするとき、又は第一審の判決の手続が法律に違反したときは、第一審判決を取り消さなければならない。
答え:
正しいものは、ア・イ・エ・オの4個である。
解説:
控訴は事実審たる第二審への不服申立てであり、控訴期間・控訴状の提出先・控訴の利益・不利益変更禁止が頻出論点となる。
ア(正しい)。控訴は、判決書又は判決書に代わる調書の送達を受けた日から2週間の不変期間内に提起しなければならない(民事訴訟法285条本文)。
イ(正しい)。控訴の提起は、控訴状を第一審裁判所に提出してしなければならない(民事訴訟法286条1項)。控訴裁判所ではない点に注意する。
ウ(誤り)。控訴の利益は、原判決が申立てに対して不利益な内容であること(形式的不服説)を要し、全部勝訴した当事者には原則として控訴の利益がない。判決理由中の判断に既判力は生じないから、理由中の判断への不服のみでは控訴の利益は認められない。
エ(正しい)。第一審判決の取消し及び変更は、不服申立ての限度においてのみすることができる(民事訴訟法304条)。これにより不利益変更禁止・利益変更禁止が導かれる。
オ(正しい)。控訴裁判所は、第一審判決を不当とするとき(民事訴訟法305条)、又は第一審の判決の手続が法律に違反したとき(同法306条)は、第一審判決を取り消さなければならない。
問題:
司法書士法人に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。
ア.司法書士法人の社員は、司法書士でなければならない。
イ.司法書士法人を設立するには、その社員となろうとする司法書士が、定款を定めなければならない。
ウ.司法書士法人は、その主たる事務所の所在地において設立の登記をすることによって成立する。
エ.司法書士法人の社員は、すべて法人の業務を執行する権利を有し、義務を負う。
オ.司法書士法人の社員は、他の社員の承諾があれば、自己若しくは第三者のためにその司法書士法人の業務の範囲に属する業務を行うことができる。
答え:
誤っているものは、オの1個である。
解説:
司法書士法人(司法書士法26条以下)は、社員資格・設立手続・社員の競業避止義務が問われる。
ア(正しい)。司法書士法人の社員は、司法書士でなければならない(司法書士法28条1項)。社員資格が司法書士に限定される。
イ(正しい)。司法書士法人を設立するには、その社員となろうとする司法書士が定款を定めなければならない(司法書士法32条1項)。
ウ(正しい)。司法書士法人は、その主たる事務所の所在地において設立の登記をすることによって成立する(司法書士法33条)。
エ(正しい)。司法書士法人の社員は、すべて業務を執行する権利を有し、義務を負う(司法書士法36条1項)。社員は原則として業務執行権を有する。
オ(誤り)。司法書士法人の社員は、自己若しくは第三者のためにその司法書士法人の業務の範囲に属する業務を行うこと等が禁止されており(司法書士法42条1項、競業の禁止)、合名会社の社員(会社法594条1項)のように「他の社員の承諾があれば行うことができる」という例外規定は設けられていない。「他の社員の承諾があれば……行うことができる」とする点が誤りである。