問題: 即時取得(民法192条)に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものはいくつあるか。
ア. 即時取得が成立するためには、占有取得が現実の引渡しによってされた必要があり、占有改定による占有取得では即時取得は成立しない。
イ. 即時取得の対象となるのは動産であり、不動産については民法177条による対抗関係の問題となるため、即時取得は成立しない。
ウ. 即時取得の対象となる動産には、登記または登録によって権利関係が公示される自動車・船舶・建設機械等の登記・登録動産も含まれる。
エ. 盗品または遺失物については、被害者または遺失者は、盗難または遺失の時から2年間、占有者に対してその物の回復を請求することができる。
オ. 即時取得の要件のうち、平穏・公然・善意は民法186条1項により推定され、無過失についても判例上推定される。
答え: 4個(ア、イ、エ、オが正しい)
解説: ア:正しい。最判昭和35年2月11日民集14巻2号168頁は、占有改定(民法183条)による占有取得では即時取得は成立しないとする。
イ:正しい。即時取得(民法192条)の対象は「動産」に限られ、不動産物権変動は民法177条の対抗関係で処理される。
ウ:誤り。登記・登録によって権利関係が公示される動産(自動車・船舶・建設機械等)については、即時取得は成立しない(最判昭和62年4月24日裁判集民事150号925頁等)。
エ:正しい。民法193条。盗品・遺失物について被害者・遺失者は盗難・遺失の時から2年間の回復請求権を有する。
オ:正しい。民法186条1項により占有者の善意・平穏・公然は推定され、無過失についても最判昭和41年6月9日民集20巻5号1011頁により民法188条から推定されると解されている。
問題: 抵当権の被担保債権の範囲に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。
ア. 抵当権者は、利息その他の定期金を請求する権利を有するときは、その満期となった最後の2年分についてのみ、その抵当権を行使することができる。
イ. 民法375条1項ただし書により、満期後に特別の登記をすれば、2年分を超える利息についても、その登記の時から抵当権を行使することができる。
ウ. 民法375条による2年分の制限は、後順位抵当権者および第三取得者の利益保護を趣旨とするものであり、債務者本人または物上保証人との関係では2年分の制限は適用されないと解されている。
エ. 抵当権の被担保債権の利息の満期年数の制限(民法375条1項)は、根抵当権についても準用される。
オ. 抵当権者は、債務不履行によって生じた損害賠償(遅延損害金)を請求する権利を有する場合、利息と通算して2年分を超えない範囲で抵当権を行使することができる。
答え: 1個(エが誤り)
解説: ア:正しい。民法375条1項本文。
イ:正しい。民法375条1項ただし書。
ウ:正しい。民法375条の趣旨は後順位抵当権者および第三取得者の利益保護にあり、通説は債務者本人および物上保証人との関係では本条の制限を適用しないとする。
エ:誤り。根抵当権の被担保債権の範囲は極度額によって画されるため(民法398条の3第1項)、民法375条の2年分制限は根抵当権には準用されない。
オ:正しい。民法375条2項本文・ただし書。
問題: 株式会社の監査役の任期および退任に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。
ア. 監査役の任期は、選任後4年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までである。
イ. 公開会社でない株式会社(監査等委員会設置会社および指名委員会等設置会社を除く)においては、定款によって監査役の任期を選任後10年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで伸長することができる。
ウ. 監査役を解任する株主総会の決議は、普通決議で足りる。
エ. 監査役は、株主総会の決議によりいつでも解任することができるが、正当な理由がない解任については、解任された監査役は会社に対し損害賠償を請求することができる。
オ. 監査役が退任により員数を欠く場合において、後任者が選任されるまでの間、退任した監査役は監査役としての権利義務を有する。
答え: 1個(ウが誤り)
解説: ア:正しい。会社法336条1項。
イ:正しい。会社法336条2項。
ウ:誤り。監査役の解任には、会社法343条4項・309条2項7号により特別決議(議決権の過半数を有する株主の出席、出席株主の議決権の3分の2以上の賛成)が必要である。取締役の解任が普通決議で足りる(同法341条)こととの違いに注意。
エ:正しい。会社法339条1項・2項。
オ:正しい。会社法346条1項。
問題: 既判力に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものはいくつあるか。
ア. 確定判決は、主文に包含するものに限り、既判力を有する。
イ. 相殺のために主張した請求の成立または不成立の判断は、相殺をもって対抗した額について既判力を有する。
ウ. 既判力の客観的範囲は、原則として判決主文中の判断(訴訟物たる権利関係の存否)に及び、判決理由中の判断には及ばない。
エ. 既判力は、原則として口頭弁論の終結後の承継人にも及ぶ。
オ. 確定判決における訴訟費用負担の裁判についても、既判力が生じる。
答え: 4個(ア、イ、ウ、エが正しい)
解説: ア:正しい。民事訴訟法114条1項。
イ:正しい。民事訴訟法114条2項。相殺の抗弁については、例外的に判決理由中の判断にも既判力が及ぶ。
ウ:正しい。アに対応する解釈。判決主文に包含されるのは訴訟物の存否についての判断であり、判決理由中の判断(先決問題・抗弁・争点等)には原則として既判力は及ばない。
エ:正しい。民事訴訟法115条1項3号「口頭弁論終結後の承継人」。
オ:誤り。訴訟費用負担の裁判には既判力は生じないとするのが通説。訴訟費用の額は訴訟費用額確定処分(民訴法71条)により確定される。
問題: 弁済供託の取戻請求に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。
ア. 債権者が供託を受諾せず、または供託を有効と宣告した判決が確定しない間は、弁済者は、供託物を取り戻すことができる。
イ. 弁済者が供託物を取り戻したときは、供託をしなかったものとみなされる。
ウ. 供託によって質権または抵当権が消滅した場合であっても、弁済者は供託物を取り戻すことができる。
エ. 供託物の取戻請求は、供託物払渡請求書を供託所に提出して行う(供託規則22条1項)。
オ. 弁済供託の取戻請求権の消滅時効の起算点は、供託の基礎となった事実をめぐる紛争解決の時から進行するというのが判例の立場である。
答え: 1個(ウが誤り)
解説: ア:正しい。民法496条1項前段。
イ:正しい。民法496条1項後段「この場合においては、供託をしなかったものとみなす」。
ウ:誤り。民法496条2項「前項の規定は、供託によって質権又は抵当権が消滅した場合には、適用しない」。供託によって質権・抵当権が消滅した場合は、取戻請求権を行使できない。
エ:正しい。供託規則22条1項。
オ:正しい。最判昭和45年7月15日民集24巻7号771頁の趣旨に沿った判例の立場。
出題分野の振り分け
| 問題番号 | 出題分野 |
|---|---|
| 第1問 | 民法(即時取得) |
| 第2問 | 民法(抵当権) |
| 第3問 | 会社法(監査役) |
| 第4問 | 民事訴訟法(既判力) |
| 第5問 | 供託法 |