問題: 地積に関する更正の登記(地積更正登記)に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものはいくつあるか。
ア.地積更正登記は、登記記録上の地積と実際の地積とが当初から相違している場合に、これを正しい地積に改めるための登記である。
イ.地積更正登記は、表題部の登記事項に関する更正であるから、表題部所有者又は所有権の登記名義人が申請することができる。
ウ.地積更正登記の申請には、原則として地積測量図を添付しなければならない。
エ.一筆の土地の一部が別の地目となった場合には、地積更正登記によってこれを是正する。
オ.登記官は、地積に関する更正の登記の申請があった場合において、必要があると認めるときは、その不動産の表示に関する事項を調査することができる。
答え: 正しいものは、ア・イ・ウ・オの4つである。
解説: 地積更正登記は、登記記録上の地積が当初から実際の地積と異なっている場合に、これを正しい地積に改める登記である(分筆や地図訂正とは目的を異にする)。
アは正しい。錯誤・遺漏により当初から登記地積が実際と相違している場合の是正手続である。
イは正しい(不動産登記法38条参照)。表題部所有者又は所有権の登記名義人が申請する。
ウは正しい(不動産登記令別表の地積に関する更正の登記の項、不動産登記規則93条等)。正しい地積を明らかにするため、原則として地積測量図の添付を要する。
エは誤り。一筆の土地の一部が別の地目となったときは、分筆の登記をしたうえで地目変更の登記をする(一筆一地目の原則。不動産登記規則別表参照)。地積更正登記によって処理するものではない。
オは正しい(不動産登記法29条1項)。登記官は、表示に関する登記について必要があると認めるときは、職権で土地・建物の表示に関する事項を調査することができる。
問題: 建物図面及び各階平面図に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。
ア.建物図面は、建物の位置を示す図面であって、その建物の敷地並びにその一筆又は二筆以上の土地の地番及び形状並びに当該建物の位置及び形状を表示するものである。
イ.各階平面図には、各階の別、各階の床面積及びその求積方法を記録しなければならない。
ウ.建物図面は、原則として500分の1の縮尺により作成する。
エ.各階平面図は、原則として500分の1の縮尺により作成する。
オ.附属建物があるときは、各階平面図には主である建物のみを記録すれば足り、附属建物を記録することを要しない。
答え: 誤っているものは、エ・オの2つである。
解説: 建物図面・各階平面図は、建物の表題登記等に添付する図面であり、その内容・縮尺は不動産登記規則に定めがある。
アは正しい(不動産登記規則82条1項)。建物図面は建物の敷地及び付近の土地の地番・形状と建物の位置・形状を表示する。
イは正しい(同規則83条1項)。各階平面図には各階の別・床面積・求積方法を記録する。
ウは正しい(同規則82条2項)。建物図面は原則として500分の1の縮尺で作成する。
エは誤り。各階平面図は、原則として500分の1ではなく250分の1の縮尺により作成する(同規則83条2項)。建物図面が原則500分の1であるのに対し、各階平面図は原則250分の1であり、両者の縮尺が異なる点に注意を要する。
オは誤り。附属建物があるときは、各階平面図にも建物図面にも附属建物を記録する(同規則82条1項・83条1項参照。各階平面図には附属建物があるときは主である建物又は附属建物の別及び附属建物の符号を記録する)。主である建物のみで足りるものではない。
問題: 公道に至るための他の土地の通行権(いわゆる囲繞地通行権。民法210条以下)に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものはいくつあるか。
ア.他の土地に囲まれて公道に通じない土地の所有者は、公道に至るため、その土地を囲んでいる他の土地を通行することができる。
イ.通行の場所及び方法は、通行権を有する者のために必要であり、かつ、他の土地のために損害が最も少ないものを選ばなければならない。
ウ.通行権を有する者は、必要があるときは、通路を開設することができる。
エ.分割によって公道に通じない土地が生じたときは、その土地の所有者は、公道に至るため、分割によって他の分割者の所有地となった土地のみを通行することができ、この場合においては、償金を支払うことを要しない。
オ.囲繞地通行権の対価(償金)は、通行する他の土地の損害に対して支払うものであり、これを支払わないからといって通行権そのものが消滅するわけではない。
答え: 正しいものは、ア・イ・ウ・エ・オの5つである。
解説: 公道に至るための他の土地の通行権(民法210条〜213条)は、袋地の所有者に法律上当然に認められる相隣関係上の権利である。
アは正しい(民法210条1項)。袋地の所有者は囲んでいる土地(囲繞地)を通行できる。
イは正しい(民法211条1項)。通行の場所・方法は、通行権者に必要で、かつ囲繞地のために損害が最も少ないものを選ぶ。
ウは正しい(民法211条2項)。必要があるときは通路を開設することができる。
エは正しい(民法213条1項)。分割によって袋地が生じたときは、他の分割者の所有地のみを通行でき、この場合は償金を支払うことを要しない。これは無償通行権であり、土地が特定承継により第三者に譲渡されても存続する(最判平成2年11月20日民集44巻8号1037頁)。
オは正しい(民法212条)。これは210条の通行権について償金の支払を要する場合(エの213条による無償の通行権とは場面が異なる)に関するものであり、通行権者は損害に対して償金を支払うが、償金の不払いは債務不履行の問題を生ずるにとどまり、通行権そのものを消滅させるものではない。
問題: 次の座標値をもつ四筆相当の閉合トラバース(点A・B・C・Dを順に結ぶ四角形の土地)について、倍横距法により地積を求める。各点の座標(単位:メートル)は、A(X=0.00, Y=0.00)、B(X=0.00, Y=20.00)、C(X=20.00, Y=30.00)、D(X=30.00, Y=0.00)である。ここでX軸を縦軸(北方向)、Y軸を横軸(東方向)とする。この土地の地積として最も近いものはどれか(関数電卓の使用可)。
ア.600.00平方メートル
イ.625.00平方メートル
ウ.650.00平方メートル
エ.675.00平方メートル
オ.700.00平方メートル
答え: 最も近いものは、ウの650.00平方メートルである。
解説: 倍横距法(DMD法)は、各測線の倍横距(Double Meridian Distance)に緯距(X方向の差)を乗じた値を合計し、その絶対値を2で除して面積を求める方法である。座標法と数学的に同値の結果を与える。
まず各測線の緯距 $\Delta X$(終点X−始点X)と経距 $\Delta Y$(終点Y−始点Y)を求める。測線は A→B→C→D→A の順とする。
$$\text{AB}:\Delta X = 0.00,\quad \Delta Y = 20.00$$
$$\text{BC}:\Delta X = 20.00,\quad \Delta Y = 10.00$$
$$\text{CD}:\Delta X = 10.00,\quad \Delta Y = -30.00$$
$$\text{DA}:\Delta X = -30.00,\quad \Delta Y = 0.00$$
倍横距は「直前の測線の倍横距 + 直前の測線の経距 + 当該測線の経距」で順に求める(最初の測線の倍横距は、その測線の経距に等しい)。
$$\text{AB}:D_1 = 20.00$$
$$\text{BC}:D_2 = 20.00 + 20.00 + 10.00 = 50.00$$
$$\text{CD}:D_3 = 50.00 + 10.00 + (-30.00) = 30.00$$
$$\text{DA}:D_4 = 30.00 + (-30.00) + 0.00 = 0.00$$
次に、各測線の倍横距に緯距 $\Delta X$ を乗じて合計し、倍面積を得る。
$$2S = \sum (D_i \times \Delta X_i)$$
$$= 20.00 \times 0.00 + 50.00 \times 20.00 + 30.00 \times 10.00 + 0.00 \times (-30.00)$$
$$= 0 + 1000.00 + 300.00 + 0 = 1300.00$$
したがって地積は、
$$S = \frac{|2S|}{2} = \frac{1300.00}{2} = 650.00\ \text{m}^2$$
座標法($2S = \sum X_i (Y_{i+1} - Y_{i-1})$)で検算しても同じ650.00平方メートルとなり、倍横距法の結果と一致する。
問題: 土地家屋調査士の使命及び業務(民間紛争解決手続の代理を含む。)に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものはいくつあるか。
ア.土地家屋調査士は、不動産の表示に関する登記及び土地の筆界を明らかにする業務の専門家として、不動産に関する権利の明確化に寄与し、もって国民生活の安定と向上に資することを使命とする。
イ.法務大臣の認定を受けた土地家屋調査士は、筆界が現地において明らかでないことを原因とする民事に関する紛争につき、一定の民間紛争解決手続について、弁護士が代理人として加わる場合に限り、当事者を代理することができる。
ウ.土地家屋調査士は、いかなる場合も、境界に関する紛争について一方当事者の代理人として相手方と交渉することはできない。
エ.筆界特定の手続については、土地家屋調査士は、その代理業務を行うことができる。
オ.民間紛争解決手続の代理に関する業務を行うことができる土地家屋調査士であっても、その業務を行うには、当該手続の対象となる紛争の目的の価額に法定の上限が設けられている。
答え: 正しいものは、ア・イ・エ・オの4つである。
解説: 土地家屋調査士の使命と業務範囲は、土地家屋調査士法に定められている。
アは正しい(土地家屋調査士法1条)。平成31年(2019年)改正で創設された使命規定であり、表示登記・筆界の専門家としての役割を明確にした。
イは正しい(同法3条1項7号・2項)。法務大臣の認定を受けた調査士(ADR認定調査士)は、筆界が現地において明らかでないことを原因とする紛争に係る民間紛争解決手続について、弁護士が手続代理人として共同して受任している場合に限り、当事者を代理できる。
ウは誤り。イ・エのとおり、ADR認定調査士による民間紛争解決手続の代理や、筆界特定手続の代理など、法律で認められた範囲では関与できる。「いかなる場合も」とはいえない。
エは正しい(同法3条1項4号)。筆界特定の手続についての代理は調査士の業務に含まれる。
オは正しい(同法3条1項7号かっこ書)。民間紛争解決手続の代理は、紛争の目的の価額が一定額(土地の価額の2分の1に相当する額が140万円を超えない範囲等、法令の定める範囲)を超えないものに限られる。
出題分野の振り分け
| 問 | 分野 | 主な論点 | 根拠条文等 |
|---|---|---|---|
| 第1問 | 不動産登記法(表示) | 地積更正登記の要件・添付図面・職権調査 | 不登法29条・38条、不登規93条 |
| 第2問 | 不動産登記法(表示) | 建物図面・各階平面図の内容・縮尺 | 不登規82条・83条 |
| 第3問 | 民法(相隣関係) | 公道に至るための他の土地の通行権 | 民法210条〜213条、最判平2.11.20 |
| 第4問 | 測量計算 | 倍横距法(DMD法)による面積計算 | 倍横距法・座標法 |
| 第5問 | 土地家屋調査士法 | 調査士の使命・ADR代理・筆界特定代理 | 調査士法1条・3条 |