問題: 抵当権の効力の及ぶ範囲に関する次のア〜オの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。

ア. 抵当権は、抵当地の上に存する建物を除き、その目的である不動産に付加して一体となっている物に及ぶ。

イ. 土地に設定された抵当権の効力は、抵当権設定当時からその土地に生育していた立木にも及ぶ。

ウ. 借地上の建物に設定された抵当権の効力は、その建物の従たる権利である敷地の賃借権(借地権)には及ばない。

エ. 抵当不動産について被担保債権の不履行があったときは、その後に生じた抵当不動産の果実に抵当権の効力が及ぶ。

オ. 抵当権者が抵当不動産の賃料債権について物上代位権を行使するには、その払渡し又は引渡しの前に差押えをしなければならない。

答え: 誤っているものは、ウの1つである。

解説: ア(正しい)。抵当権は、抵当地の上に存する建物を除き、その目的である不動産に付加して一体となっている物(付加一体物)に及ぶ(民法370条本文)。

イ(正しい)。土地の付加一体物には、設定当時から土地に生育している立木が含まれ、原則として抵当権の効力が及ぶ(民法370条本文)。なお、立木法による登記がされた立木は独立の不動産として扱われ、土地の抵当権の効力は及ばない。

ウ(誤り)。判例は、建物に設定された抵当権の効力は、特段の事情のない限り、その建物の従たる権利である敷地の賃借権(借地権)にも及ぶとしている(最判昭和40年5月4日民集19巻4号811頁)。借地権に及ばないとする本記述は誤りである。

エ(正しい)。抵当権は、その担保する債権について不履行があったときは、その後に生じた抵当不動産の果実に及ぶ(民法371条)。

オ(正しい)。抵当権者は、抵当不動産の賃料債権などにも物上代位権を行使できるが、その払渡し又は引渡しの前に差押えをしなければならない(民法372条・304条1項ただし書)。


問題: 所有権の更正の登記に関する次のア〜オの記述のうち、正しいものはいくつあるか。

ア. 更正の登記は、登記完了後に登記事項の一部について錯誤又は遺漏があることが判明した場合に、これを是正するためにする登記である。

イ. 更正の登記は、更正の前後を通じて登記の同一性が保たれている場合に限り認められ、登記事項の全部が誤っている場合には更正の登記をすることができない。

ウ. 所有権の更正の登記は、登記上の利害関係を有する第三者の承諾の有無にかかわらず、常に付記登記によってする。

エ. 錯誤を原因とする所有権の更正の登記においては、登記原因として「錯誤」が記録される。

オ. 甲の単独所有とする所有権の登記を、甲及び乙の共有とする更正の登記をする場合、登記権利者は乙、登記義務者は甲である。

答え: 正しいものは、ア・イ・エ・オの4つである。

解説: ア(正しい)。更正の登記とは、登記事項に錯誤又は遺漏があり、登記の当初から実体と一致しない場合に、これを是正するためにする登記である(不動産登記法2条16号)。

イ(正しい)。更正の登記は、更正の前後で登記の同一性が保たれていることを要する。登記事項の全部が誤っているような場合は、もはや更正では是正できず、抹消と新たな登記によることになる。

ウ(誤り)。権利の更正の登記は、登記上の利害関係を有する第三者がないとき、又はその第三者の承諾があるときは付記登記によってするが、承諾がないときは主登記によってする(不動産登記法66条、不動産登記規則3条2号)。「常に付記登記」とする本記述は誤りである。

エ(正しい)。錯誤を原因とする更正の登記では、登記原因として「錯誤」が記録される。

オ(正しい)。単有名義を共有名義に更正する場合、新たに持分を取得する乙が登記権利者、持分を減ずる甲が登記義務者となり、共同して申請する(不動産登記法60条)。


問題: 株式会社の解散及び清算に関する次のア〜オの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。

ア. 株式会社は、株主総会の特別決議によって解散することができる。

イ. 解散した株式会社(清算株式会社)は、清算の目的の範囲内において、清算が結了するまではなお存続するものとみなされる。

ウ. 株式会社が解散したときは、合併及び破産手続開始の決定による解散の場合を除き、いかなる場合も取締役がそのまま清算人となる。

エ. 清算株式会社は、解散後遅滞なく、債権者に対し、一定の期間内にその債権を申し出るべき旨を官報に公告しなければならず、その期間は1か月を下ることができない。

オ. 清算が結了したときは、決算報告の承認の日から2週間以内に、その本店の所在地において清算結了の登記をしなければならない。

答え: 誤っているものは、ウ・エの2つである。

解説: ア(正しい)。株式会社は、株主総会の特別決議によって解散することができる(会社法471条3号、309条2項11号)。

イ(正しい)。解散した清算株式会社は、清算の目的の範囲内において、清算が結了するまではなお存続するものとみなされる(会社法476条)。

ウ(誤り)。清算人となるのは、①定款で定める者、②株主総会の決議によって選任された者であり、これらの者がいないときに③取締役が清算人となる(会社法478条1項各号)。「いかなる場合も取締役」とする本記述は誤りである。

エ(誤り)。清算株式会社が債権者に対してする債権申出の公告の期間は、2か月を下ることができない(会社法499条1項)。「1か月」とする本記述は誤りである。

オ(正しい)。清算結了の登記は、決算報告の承認の日から2週間以内に、本店の所在地においてしなければならない(会社法929条1号、507条3項)。


問題: 不動産に対する強制執行(強制競売)に関する次のア〜オの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。

ア. 不動産に対する強制執行は、強制競売又は強制管理の方法により行われ、これらの方法は併用することができる。

イ. 強制競売の開始決定においては、債権者のために不動産を差し押さえる旨を宣言しなければならない。

ウ. 差押えの効力は強制競売の開始決定が債務者に送達された時に生ずるのであって、差押えの登記が送達より前にされたときであっても、効力の発生時期に影響はない。

エ. 差押えは、債務者が通常の用法に従って不動産を使用し、又は収益することを妨げない。

オ. 差押えの登記前に登記された抵当権を有する者は、配当要求をしなければ売却代金から配当を受けることができない。

答え: 誤っているものは、ウ・オの2つである。

解説: ア(正しい)。不動産に対する強制執行は、強制競売又は強制管理の方法により行い、これらは併用することができる(民事執行法43条1項)。

イ(正しい)。強制競売の開始決定では、債権者のために不動産を差し押さえる旨を宣言する(民事執行法45条1項)。

ウ(誤り)。差押えの効力は、強制競売の開始決定が債務者に送達された時に生ずるが、差押えの登記がその送達前にされたときは、登記がされた時に効力を生ずる(民事執行法46条1項)。早い方を基準とするため、本記述は誤りである。

エ(正しい)。差押えは、債務者が通常の用法に従って不動産を使用し、又は収益することを妨げない(民事執行法46条2項)。

オ(誤り)。差押えの登記前に登記された抵当権者などは、配当要求をしなくても当然に配当等を受けることができる(民事執行法87条1項4号)。配当要求を要するとする本記述は誤りである。


問題: 司法書士の業務に関する次のア〜オの記述のうち、正しいものはいくつあるか。

ア. 司法書士は、登記又は供託に関する手続について代理することを業とすることができる。

イ. 司法書士は、法務局又は地方法務局に提出し、又は提供する書類又は電磁的記録を作成することを業とすることができる。

ウ. 簡裁訴訟代理等関係業務を行うことができるのは、法務大臣の認定を受けた司法書士に限られる。

エ. 認定を受けた司法書士であっても、簡易裁判所における訴訟事件が地方裁判所に控訴された場合に、その控訴審の訴訟代理人となることはできない。

オ. 認定を受けた司法書士は、裁判外の和解について、当事者の双方から委任を受けて、その双方を代理することができる。

答え: 正しいものは、ア・イ・ウ・エの4つである。

解説: ア(正しい)。司法書士は、登記又は供託に関する手続について代理することを業とすることができる(司法書士法3条1項1号)。

イ(正しい)。司法書士は、法務局又は地方法務局に提出し、又は提供する書類又は電磁的記録を作成することを業とすることができる(司法書士法3条1項2号)。

ウ(正しい)。簡裁訴訟代理等関係業務(司法書士法3条1項6号〜8号の業務)は、法務大臣の認定を受けた司法書士に限り行うことができる(司法書士法3条2項)。

エ(正しい)。認定司法書士の訴訟代理権は、簡易裁判所における手続を対象とするものであり(司法書士法3条1項6号イ)、地方裁判所で行われる控訴審の訴訟代理人となることはできない。

オ(誤り)。当事者双方から委任を受けて双方を代理すること(双方代理)は、一方の利益が他方の不利益となる利益相反行為であり、許されない(民法108条、司法書士法22条参照)。


出題分野の振り分け

問題 科目 主な論点・根拠条文
第1問 民法 抵当権の効力の及ぶ範囲(民法370条・371条・372条・304条、最判昭40.5.4)
第2問 不動産登記法 所有権の更正の登記(不登法2条16号・66条、不登規則3条2号)
第3問 商業登記法・会社法 株式会社の解散・清算(会社法471条・476条・478条・499条・929条)
第4問 民事執行法 不動産の強制競売(民執法43条・45条・46条・87条)
第5問 司法書士法 司法書士の業務範囲・簡裁訴訟代理等関係業務(司法書士法3条・22条)