問題: 詐害行為取消権に関する次のア〜オの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。

ア. 詐害行為取消権は、債務者が債権者を害することを知ってした行為の取消しを裁判所に請求するものであり、訴えによって行使しなければならない。

イ. 債権者は、その債権が詐害行為の前の原因に基づいて生じたものである場合に限り、詐害行為取消請求をすることができる。

ウ. 債権者は、受益者に対して逸出財産の返還を請求する場合において、その返還の請求が金銭の支払又は動産の引渡しを求めるものであるときは、自己に対して支払又は引渡しをすることを求めることができる。

エ. 債務者がした財産の処分に関する行為が取り消されたときであっても、受益者が債務者に対して反対給付の返還を請求することはできず、受益者の反対給付に関する権利は取消しによって当然に消滅する。

オ. 詐害行為取消請求に係る訴えは、債務者が債権者を害することを知って行為をしたことを債権者が知った時から2年を経過したときは、提起することができない。

答え: 誤っているものは、エの1つである。

解説: 詐害行為取消権は、平成29年改正(令和2年4月1日施行)で大きく条文化された分野です。

アは正しい記述です。詐害行為取消権は「裁判所に請求する」ことによって行使する権利であり、訴えによって行使しなければなりません(民法424条1項本文)。

イも正しい記述です。被保全債権は、原則として詐害行為の前の原因に基づいて生じたものであることが必要です(民法424条3項)。

ウも正しい記述です。金銭の支払又は動産の引渡しを求めるときは、債権者は自己に対して支払・引渡しをすることを求めることができます(民法424条の9第1項)。

エが誤りです。債務者がした財産処分行為が取り消されたときは、受益者は、債務者に対し、その財産を取得するためにした反対給付の返還を請求することができます(民法425条の2)。受益者の反対給付に関する権利が「当然に消滅する」わけではありません。

オは正しい記述です。詐害行為取消請求に係る訴えは、債権者が詐害の事実を知った時から2年で提起できなくなります(民法426条前段)。行為の時から10年を経過したときも同様です(同条後段)。


問題: 仮登記に関する次のア〜オの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。

ア. 所有権の移転の登記を申請するために提供しなければならない登記識別情報を提供することができないときは、仮登記をすることができる。

イ. 所有権の移転に関する請求権が始期付又は停止条件付である場合のように、将来確定することが見込まれる請求権を保全しようとするときは、仮登記をすることができる。

ウ. 仮登記は、仮登記の登記権利者と登記義務者が共同して申請しなければならず、登記義務者の承諾があっても、登記権利者が単独で申請することはできない。

エ. 所有権に関する仮登記に基づく本登記は、登記上の利害関係を有する第三者がある場合には、当該第三者の承諾があるときに限り、申請することができる。

オ. 仮登記の抹消は、仮登記の登記名義人が単独で申請することができる。

答え: 誤っているものは、ウの1つである。

解説: アは正しい記述です。手続上の条件が備わらない場合の仮登記(いわゆる1号仮登記)であり、登記識別情報を提供できないときはその典型例です(不動産登記法105条1号)。

イも正しい記述です。将来の請求権を保全するための仮登記(いわゆる2号仮登記)であり、始期付・停止条件付の請求権も対象です(不動産登記法105条2号)。

ウが誤りです。仮登記は、仮登記の登記義務者の承諾があるとき、又は仮登記を命ずる処分があるときは、仮登記の登記権利者が単独で申請することができます(不動産登記法107条1項)。「承諾があっても単独申請できない」わけではありません。

エは正しい記述です。所有権に関する仮登記に基づく本登記は、登記上の利害関係を有する第三者がある場合、その第三者の承諾があるときに限り申請できます(不動産登記法109条1項)。

オも正しい記述です。仮登記の抹消は、仮登記の登記名義人が単独で申請することができます(不動産登記法110条前段)。仮登記の登記上の利害関係人も、登記名義人の承諾を得て単独で申請できます(同条後段)。


問題: 株主総会の決議の瑕疵を争う訴えに関する次のア〜オの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。

ア. 株主総会の招集手続又は決議の方法が法令若しくは定款に違反するときは、株主等は、決議の日から3か月以内に、訴えをもって決議の取消しを請求することができる。

イ. 決議取消しの訴えにおいて、招集手続又は決議方法の法令・定款違反があっても、その違反する事実が重大でなく、かつ決議に影響を及ぼさないものであると認められるときは、裁判所は請求を棄却することができる。

ウ. 株主総会の決議の内容が法令に違反することを理由とする決議無効確認の訴えには、提訴期間の制限はない。

エ. 株主総会の決議が存在しないことの確認は、決議不存在確認の訴えによって求めることができる。

オ. 決議取消しの訴えは、当該決議について法律上の利害関係を有する者であれば、株主や取締役等でなくても誰でも提起することができる。

答え: 誤っているものは、オの1つである。

解説: 株主総会決議の瑕疵は、①取消し(手続・方法の瑕疵、内容の定款違反など)、②無効確認(内容の法令違反)、③不存在確認(決議が物理的・法的に存在しない)の3類型で整理します。

アは正しい記述です。決議取消しの訴えは、決議の日から3か月以内に提起しなければなりません(会社法831条1項柱書)。

イも正しい記述です。いわゆる裁量棄却の規定です(会社法831条2項)。

ウも正しい記述です。決議無効確認の訴え(会社法830条2項)には提訴期間の制限がありません。

エも正しい記述です。決議不存在確認の訴え(会社法830条1項)です。

オが誤りです。決議取消しの訴えを提起できるのは「株主等」(株主・取締役・監査役・執行役・清算人など、会社法831条1項柱書に定める者)に限られます。法律上の利害関係を有する者なら誰でも提起できるわけではありません。


問題: 民事訴訟における補助参加に関する次のア〜オの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。

ア. 補助参加が認められるためには、訴訟の結果について法律上の利害関係を有することが必要であり、単なる事実上・経済上・感情上の利害関係では足りない。

イ. 当事者が補助参加について異議を述べたときは、裁判所は、補助参加の許否について決定で裁判をする。

ウ. 補助参加人は、上訴の提起をすることができるが、その訴訟行為が被参加人の訴訟行為と抵触するときは、その効力を有しない。

エ. 補助参加人がした訴訟行為は、被参加人の訴訟行為と抵触する場合であっても、その効力を有する。

オ. 補助参加に係る訴訟の裁判は、一定の例外を除き、補助参加人に対してもその効力(参加的効力)を有する。

答え: 誤っているものは、エの1つである。

解説: アは正しい記述です。補助参加の要件である「訴訟の結果について利害関係を有する」とは、判例・通説上、法律上の利害関係を意味し、事実上・経済上・感情上の利害では足りないとされています(民事訴訟法42条)。

イも正しい記述です。当事者が異議を述べたときは、裁判所は補助参加の許否を決定で裁判します(民事訴訟法44条1項)。

ウも正しい記述です。補助参加人は上訴の提起を含め一切の訴訟行為をすることができますが、被参加人の訴訟行為と抵触するときはその効力を有しません(民事訴訟法45条1項本文・2項)。

エが誤りです。補助参加人の訴訟行為は、被参加人の訴訟行為と抵触するときは、その効力を有しません(民事訴訟法45条2項)。抵触する場合でも効力を有するという記述は誤りです。

オは正しい記述です。補助参加に係る訴訟の裁判は、同法46条各号の例外を除き、補助参加人に対しても効力(参加的効力)を有します。これは既判力とは性質の異なる効力であると解されています。


問題: 司法書士法人に関する次のア〜オの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。

ア. 司法書士法人の社員は、司法書士でなければならない。

イ. 司法書士法人は、その主たる事務所の所在地において設立の登記をすることによって成立する。

ウ. 社員が一人の司法書士法人を設立することもできる。

エ. 司法書士法人の社員は、原則として、すべて法人の業務を執行する権利を有し、義務を負う。

オ. 司法書士法人の社員は、自己又は第三者のためにその司法書士法人の業務の範囲に属する業務を行うことも、他の司法書士法人の社員となることも自由である。

答え: 誤っているものは、オの1つである。

解説: アは正しい記述です。司法書士法人の社員は司法書士でなければなりません(司法書士法28条1項)。

イも正しい記述です。司法書士法人は、主たる事務所の所在地における設立の登記によって成立します。

ウも正しい記述です。かつては社員2名以上が必要でしたが、令和元年改正(令和2年8月1日施行)により、社員が一人の司法書士法人(いわゆる一人法人)の設立が認められました。

エも正しい記述です。社員は、原則として全員が業務を執行する権利を有し義務を負います。

オが誤りです。司法書士法人の社員には競業避止義務があり、自己又は第三者のためにその法人の業務の範囲に属する業務を行うこと、及び他の司法書士法人の社員となることは禁止されています(司法書士法42条)。「自由である」という記述は誤りです。


出題分野の振り分け

分野 主な論点
第1問 民法(債権総論) 詐害行為取消権(民法424条〜426条、令和2年改正)
第2問 不動産登記法 仮登記(不登法105条・107条・109条・110条)
第3問 会社法 株主総会決議の瑕疵を争う訴え(会社法830条・831条)
第4問 民事訴訟法 補助参加(民訴法42条・44条・45条・46条)
第5問 司法書士法 司法書士法人(社員資格・一人法人・競業避止)