問題:
土地の地目又は地積に関する登記のうち、地目の変更の登記に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものはいくつあるか。
ア. 地目に変更があったときは、表題部所有者又は所有権の登記名義人は、その変更があった日から1か月以内に、地目に関する変更の登記を申請しなければならない。
イ. 地目は、土地の主たる用途により、田、畑、宅地、山林、公衆用道路、雑種地その他の区分により定められる。
ウ. 一筆の土地につき二以上の地目を定めることはできず、一筆の土地の一部が別の地目となったときは、まず分筆の登記をしたうえで地目変更の登記をすることとなる。
エ. 地目の変更の登記の申請には、その態様を問わず、常に地積測量図を添付しなければならない。
オ. 登記官は、地目に関する変更の登記の申請があった場合において、必要があると認めるときは、その不動産の表示に関する事項を調査することができる。
答え:
正しいものは、ア・イ・ウ・オの4つである。
解説:
地目の変更の登記は、土地の現況としての主たる用途が変わったことに伴い、登記記録上の地目を実態に合わせて是正する表示に関する登記である。地目は土地の表題部の登記事項(不動産登記法第34条第1項第3号)である。
アは正しい。地目又は地積について変更があったときは、不動産登記法第37条第1項により、表題部所有者又は所有権の登記名義人は、その変更があった日から1か月以内に、地目又は地積に関する変更の登記を申請しなければならない。表示に関する登記の申請義務に1か月の期間制限が付されている点は、土地・建物の表題登記(第36条・第47条)や建物の滅失の登記(第57条)と共通する建付けである。
イは正しい。地目は、不動産登記規則第99条により、土地の主たる用途に従って、田・畑・宅地・学校用地・鉄道用地・塩田・鉱泉地・池沼・山林・牧場・原野・墓地・境内地・運河用地・水道用地・用悪水路・ため池・堤・井溝・保安林・公衆用道路・公園・雑種地の各区分により定めるものとされている。本記述に挙げられた区分はいずれもこれに含まれる。
ウは正しい。一筆の土地には一個の地目しか定められない(一筆一地目の原則)。一筆の土地の一部が別の地目となったときは、その部分を分筆したうえで、それぞれの土地について地目を整えることになる。なお登記官は、表題部所有者等の申請がない場合であっても、一筆の土地の一部が別の地目となったときは職権で分筆の登記をしなければならない(同法第39条第2項)。
エは誤り。地目の変更の登記は、土地の用途の変更を是正するものであって、筆界や地積に変動を生じさせるものではないから、地積測量図の添付は要しないのが原則である(不動産登記令別表参照)。地積測量図の添付を要するのは、地積に関する更正の登記や分筆の登記など、地積又は筆界を明らかにする必要がある登記である。「その態様を問わず、常に地積測量図を添付しなければならない」とする点が誤りである。
オは正しい。登記官は、表示に関する登記について申請があった場合において、必要があると認めるときは、職権で当該不動産の表示に関する事項を調査することができる(同法第29条第1項)。地目変更の登記の審査においても、現況が申請の内容と合致するかを実地調査により確認することがある。
問題:
土地家屋調査士の義務に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものはいくつあるか。
ア. 土地家屋調査士は、正当な理由がなく、その業務上取り扱った事件について知ることのできた秘密を他に漏らしてはならず、土地家屋調査士でなくなった後も、同様である。
イ. 土地家屋調査士は、その所属する土地家屋調査士会及び日本土地家屋調査士会連合会の会則を守らなければならない。
ウ. 土地家屋調査士は、常に品位を保持し、業務に関する法令及び実務に精通して、公正かつ誠実にその業務を行わなければならない。
エ. 土地家屋調査士は、その業務に関する帳簿及び関係書類を作成し、これを保存しなければならない。
オ. 土地家屋調査士は、いったん土地家屋調査士の登録を受けた後は、研修を受ける必要はなく、研修に関する義務を負うことはない。
答え:
正しいものは、ア・イ・ウ・エの4つである。
解説:
土地家屋調査士の義務に関する規律は、土地家屋調査士法の総則的規定及び業務に関する諸規定に置かれている。表示登記・筆界の専門家として高い信頼性が求められることに対応した義務群である。
アは正しい。土地家屋調査士法第24条の2は、土地家屋調査士又は土地家屋調査士であった者は、正当な理由がなく、その業務上取り扱った事件について知ることのできた秘密を他に漏らしてはならない旨を定める。資格を失った後も守秘義務が存続する点が重要である。
イは正しい。会則を守る義務は同法第24条に定められている。土地家屋調査士は、その所属する土地家屋調査士会及び日本土地家屋調査士会連合会の会則を守らなければならない。会則違反は懲戒事由ともなり得る。
ウは正しい。同法第2条は、土地家屋調査士の職責として、常に品位を保持し、業務に関する法令及び実務に精通して、公正かつ誠実にその業務を行わなければならない旨を定める。これは調査士の基本的な行為規範を示す職責規定である。
エは正しい。同法第21条は、土地家屋調査士は、法務省令の定めるところにより、業務に関する帳簿を備え、かつ、関係書類を保存しなければならない旨を定める。業務の適正と事後の検証可能性を担保するための義務である。
オは誤り。同法第25条第1項は、土地家屋調査士は、その所属する土地家屋調査士会及び連合会が実施する研修を受け、その資質の向上を図るように努めなければならない旨を定めている。登録後も継続的な研鑽が求められるのであって、「研修を受ける必要はなく、研修に関する義務を負うことはない」とする点が誤りである。
問題:
共有に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものはいくつあるか。なお、令和3年法律第24号による改正後の民法(令和5年4月1日施行)によるものとする。
ア. 各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができる。
イ. 各共有者の持分は、相等しいものと推定される。
ウ. 共有物の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)を加えるには、各共有者は、他の共有者全員の同意を得なければならない。
エ. 共有物の管理に関する事項は、共有物の変更に当たる場合を除き、各共有者の持分の価格にかかわらず、共有者の頭数の過半数で決する。
オ. 各共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができる。ただし、5年を超えない期間内は分割をしない旨の契約をすることを妨げない。
答え:
正しいものは、ア・イ・ウ・オの4つである。
解説:
共有(民法第249条以下)は、一個の物を複数人が持分により所有する関係である。令和3年の物権法改正により、共有物の管理・変更に関する規律が整理され、所有者不明・所在不明の共有者がいる場合の手続も整備された。土地の分筆・合筆や境界確定の前提として共有関係の把握が必要になることがあり、調査士試験でも基礎知識として問われる。
アは正しい。民法第249条第1項は、各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができる旨を定める。持分は使用の量的な割合を画するものであり、特定の一部分のみを排他的に使用できるという意味ではない。
イは正しい。同法第250条は、各共有者の持分は、相等しいものと推定する旨を定める。あくまで推定であり、別段の合意や取得の経緯により持分割合が異なることが立証されれば、その割合による。
ウは正しい。同法第251条第1項は、各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないもの=いわゆる軽微変更を除く。)を加えることができない旨を定める。重大な変更には共有者全員の同意を要する。なお改正により、軽微な変更は次のエの管理に関する規律(持分価格の過半数)で決し得ることとされた。
エは誤り。同法第252条第1項は、共有物の管理に関する事項は、共有物の変更に当たる場合を除き、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する旨を定めている。基準は「頭数の過半数」ではなく「持分の価格の過半数」である。「持分の価格にかかわらず、共有者の頭数の過半数で決する」とする点が誤りである。
オは正しい。同法第256条第1項は、各共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができる旨を定めるとともに、そのただし書で、5年を超えない期間内は分割をしない旨の契約(不分割特約)をすることを妨げない旨を定めている。なお、この不分割特約は更新することができるが、更新の時から5年を超えることができない(同条第2項)。
問題:
平面直角座標系において、一筆の土地の各筆界点A・B・C・D・Eの座標値が次のとおり与えられている。点A→B→C→D→Eの順に各点を直線で結んだ五角形の土地について、座標法によりその地積を求めるとき、地積として正しいものはどれか。なお、座標値はX軸を北方向、Y軸を東方向にとり、関数電卓を使用してよい(座標値の単位はメートル)。
| 点 | X座標 | Y座標 |
|---|---|---|
| A | +50.00 | +30.00 |
| B | +80.00 | +60.00 |
| C | +60.00 | +110.00 |
| D | +20.00 | +90.00 |
| E | +10.00 | +40.00 |
ア. 3000.00 平方メートル
イ. 3200.00 平方メートル
ウ. 3400.00 平方メートル
エ. 3600.00 平方メートル
オ. 3800.00 平方メートル
答え:
正しいものは、エ(3600.00 平方メートル)である。
解説:
座標法(座標による求積)は、各筆界点の座標値から土地の面積を求める方法であり、地積測量図における求積方法として最も一般的に用いられる。X軸を北・Y軸を東にとるとき、各点の座標を $(x_i,,y_i)$ とすると、地積 $S$ は次式で与えられる。
$$S = \frac{1}{2}\left|\sum_{i=1}^{n} x_i,(y_{i+1}-y_{i-1})\right|$$
ここで添字は循環し、$y_0=y_n$、$y_{n+1}=y_1$ とする(最初の点の一つ前は最後の点、最後の点の一つ後は最初の点とみなす)。各点について $x_i,(y_{i+1}-y_{i-1})$ を計算すると、次のとおりである。
点A:$x_A(y_B-y_E)=50.00\times(60.00-40.00)=50.00\times20.00=1000.00$
点B:$x_B(y_C-y_A)=80.00\times(110.00-30.00)=80.00\times80.00=6400.00$
点C:$x_C(y_D-y_B)=60.00\times(90.00-60.00)=60.00\times30.00=1800.00$
点D:$x_D(y_E-y_C)=20.00\times(40.00-110.00)=20.00\times(-70.00)=-1400.00$
点E:$x_E(y_A-y_D)=10.00\times(30.00-90.00)=10.00\times(-60.00)=-600.00$
これらを合計すると、
$$\sum x_i,(y_{i+1}-y_{i-1})=1000.00+6400.00+1800.00-1400.00-600.00=7200.00$$
したがって地積は次のとおりである。
$$S=\frac{1}{2},|7200.00|=3600.00\ \text{m}^2$$
よって、正しいものはエの3600.00平方メートルである。
検算として、いわゆる靴ひも公式 $2S=\sum (x_i,y_{i+1}-x_{i+1},y_i)$ により計算しても、
$$\begin{aligned} 2S &= (x_A y_B - x_B y_A)+(x_B y_C - x_C y_B)+(x_C y_D - x_D y_C)\ &\quad +(x_D y_E - x_E y_D)+(x_E y_A - x_A y_E)\ &= (3000-2400)+(8800-3600)+(5400-2200)\ &\quad +(800-900)+(300-2000)\ &= 600+5200+3200-100-1700 = 7200.00 \end{aligned}$$
となり、$S=3600.00$ 平方メートルで先の結果と一致する。計算に誤りがないことが確認できる。なお、点を結ぶ順序が反時計回りか時計回りかにより合計の符号が変わるため、最後に絶対値をとって面積とする点に注意する。
問題:
建物の表題登記及びその登記事項に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものはいくつあるか。
ア. 新築した建物の所有権を取得した者は、その所有権の取得の日から1か月以内に、表題登記を申請しなければならない。
イ. 建物の表題部の登記事項には、建物の所在する市、区、郡、町、村及び字並びに土地の地番、家屋番号、建物の種類、構造及び床面積が含まれる。
ウ. 建物の表題登記の申請情報と併せて、当該建物の所有権を証する情報を提供しなければならない。
エ. 建物の表題登記の申請には、建物図面及び各階平面図を提供しなければならない。
オ. 建物の床面積は、各階ごとに壁その他の区画の中心線(区分建物にあっては、壁その他の区画の内側線)で囲まれた部分の水平投影面積により、平方メートルを単位として定め、1平方メートルの100分の1未満の端数は切り捨てる。
答え:
正しいものは、ア・イ・ウ・エ・オの5つである。
解説:
建物の表題登記は、いまだ登記記録のない建物について初めて表題部を起こす登記であり、土地家屋調査士が中心的に取り扱う基本的な業務である。申請義務・登記事項・添付情報・床面積の算定方法はいずれも頻出である。
アは正しい。新築した建物又は区分建物以外の表題登記がない建物の所有権を取得した者は、その所有権の取得の日から1か月以内に、表題登記を申請しなければならない(不動産登記法第47条第1項)。表示に関する登記の申請義務に1か月の期間制限が付される代表例である。
イは正しい。建物の表示に関する登記の登記事項は不動産登記法第44条第1項各号に定められており、建物の所在する市・区・郡・町・村及び字並びに土地の地番(第1号)、家屋番号(第2号)、建物の種類・構造及び床面積(第3号)などが含まれる。これらは建物を特定し、その物理的現況を公示するための事項である。
ウは正しい。建物の表題登記を申請するときは、申請情報と併せて、当該建物の所有権を証する情報(いわゆる所有権証明情報)を提供しなければならない(不動産登記令別表十二の項添付情報欄)。建築確認に関する書類や工事完了引渡証明書などがこれに当たる。表題登記は所有者を表題部所有者として記録する登記であるため、その所有権の帰属を裏付ける情報が要求される。
エは正しい。建物の表題登記の申請には、建物図面及び各階平面図を提供しなければならない(同令別表十二の項添付情報欄)。建物の位置・形状及び各階の形状・床面積を図面により明らかにする必要があるためである。
オは正しい。建物の床面積の算定方法は不動産登記規則第115条に定められており、各階ごとに壁その他の区画の中心線(区分建物にあっては、壁その他の区画の内側線)で囲まれた部分の水平投影面積により、平方メートルを単位として定め、1平方メートルの100分の1未満の端数は切り捨てるものとされている。区分建物については内側線(いわゆる内法)で測る点が、一般の建物(中心線=壁芯)と異なる点に注意を要する。
出題分野の振り分け
| 問 | 分野 | 主な論点 | 根拠条文等 |
|---|---|---|---|
| 第1問 | 不動産登記法(表示) | 土地の地目変更の登記の申請義務・地目の区分・一筆一地目・添付図面・職権調査 | 不登法34条・37条・39条・29条、不登規99条 |
| 第2問 | 土地家屋調査士法 | 調査士の義務(秘密保持・会則遵守・職責・帳簿書類・研修) | 調査士法2条・21条・24条・24条の2・25条 |
| 第3問 | 民法(物権・共有) | 共有物の使用・持分の推定・変更・管理・分割請求と不分割特約 | 民法249条・250条・251条・252条・256条(令和3年改正・令和5年4月1日施行) |
| 第4問 | 測量計算 | 座標法による五角形の地積計算(関数電卓持込み可) | 座標法・靴ひも公式 |
| 第5問 | 不動産登記法(表示) | 建物の表題登記の申請義務・登記事項・所有権証明情報・建物図面・床面積の算定 | 不登法44条・47条、不登令別表十二の項、不登規115条 |