問題: 分筆の登記に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。
ア.分筆の登記は、表題部所有者又は所有権の登記名義人以外の者は、申請することができない。
イ.分筆の登記を申請するときは、分筆後の各土地の地積測量図を提供しなければならない。
ウ.登記官は、一定の場合には、職権で分筆の登記をすることができる。
エ.分筆の登記は、分筆後の土地の所有者が異なることとなる場合に限り、申請することができる。
オ.甲土地から乙土地を分筆する登記がされた場合、分筆後の土地のうち一筆については従前の登記記録が用いられ、他の土地については新たに登記記録が作成される。
答え: 誤っているものは、エの1つである。
解説: ア(正しい)。分筆又は合筆の登記は、表題部所有者又は所有権の登記名義人以外の者は、申請することができません(不動産登記法39条1項)。
イ(正しい)。分筆の登記の申請には、分筆後の各土地の地積測量図を提供しなければなりません(不動産登記令別表8の項添付情報欄)。
ウ(正しい)。登記官は、一定の場合(地図作成手続や表題部の更正に伴う場合等)には、職権で分筆の登記をすることができます(不動産登記法39条2項・3項)。
エ(誤り)。分筆の登記は、一筆の土地を数筆に分けるための登記であり、所有者が同一であっても申請することができます。「所有者が異なることとなる場合に限り」申請できるわけではありません。
オ(正しい)。分筆の登記をするときは、分筆後の土地のうち一筆については従前の登記記録を用い、その余の土地については新たに登記記録が作成されます(不動産登記規則の分筆登記の処理)。
問題: 建物の表題登記に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものはいくつあるか。
ア.建物の表題登記の登記事項には、家屋番号並びに建物の種類、構造及び床面積が含まれる。
イ.数個の建物が用途上一体として利用される状態にあり、かつ、所有者が同一であるときは、これらを主である建物及び附属建物として一個の建物として登記することができる。
ウ.建物の種類は、建物の主たる用途により、居宅、店舗、倉庫等に区分して定める。
エ.附属建物は、主である建物とは別個の家屋番号を付して、それぞれ独立の登記記録に登記される。
オ.建物として登記の対象となるためには、屋根及び周壁又はこれらに類するものを有し、土地に定着した建造物であって、その目的とする用途に供し得る状態にあることを要する。
答え: 正しいものは、ア・イ・ウ・オの4つである。
解説: ア(正しい)。建物の表示に関する登記の登記事項には、家屋番号(不動産登記法44条1項1号)、建物の種類・構造・床面積(同項3号)などが含まれます。
イ(正しい)。主である建物と用途上一体として利用される従たる建物(物置・車庫等)は、所有者が同一であれば、主である建物及び附属建物として一個の建物として登記することができます(不動産登記準則78条参照)。
ウ(正しい)。建物の種類は、建物の主たる用途により、居宅・店舗・倉庫等に区分して定めます(不動産登記規則113条1項)。
エ(誤り)。附属建物は、主である建物と同一の登記記録に記録され、独立の家屋番号は付されません。主である建物と附属建物は符号によって区別されます。「別個の家屋番号を付して独立の登記記録に登記される」とする点が誤りです。
オ(正しい)。建物として登記の対象となるためには、屋根及び周壁又はこれらに類するものを有し(外気分断性)、土地に定着した建造物であって(定着性)、その目的とする用途に供し得る状態にあること(用途性)を要します(不動産登記規則111条)。
問題: 筆界特定制度に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。
ア.筆界とは、表題登記がある一筆の土地とこれに隣接する他の土地との間において、当該一筆の土地が登記された時にその境を構成するものとされた二以上の点及びこれらを結ぶ直線をいう。
イ.筆界特定は、当事者の合意によって筆界を新たに創設し、又は変更する手続である。
ウ.筆界特定は、筆界特定登記官が、筆界調査委員の意見を踏まえて行う。
エ.筆界特定の申請は、対象土地について筆界に争いのある隣接土地の占有者であれば、所有権の登記名義人等でなくても、誰でもすることができる。
オ.筆界特定がされた後であっても、その筆界について争いがある者は、別途、筆界の確定を求める訴え(境界確定訴訟)を提起することができる。
答え: 誤っているものは、イ・エの2つである。
解説: ア(正しい)。筆界の定義はこのとおりです(不動産登記法123条1号)。筆界は、土地が登記された時に定められた公法上の境界であり、当事者が合意で動かせる所有権の境界(所有権界)とは区別されます。
イ(誤り)。筆界特定は、登記された時に定められた筆界がどこにあるかを明らかにする手続であって、新たに筆界を創設したり変更したりするものではありません(不動産登記法123条2号)。当事者の合意で動かせるのは所有権界であって、筆界そのものではありません。
ウ(正しい)。筆界特定は、筆界特定登記官が、筆界調査委員の意見を踏まえて行います(不動産登記法143条1項)。
エ(誤り)。筆界特定の申請をすることができるのは、対象土地の所有権の登記名義人等です(不動産登記法131条1項)。単なる隣接土地の占有者が誰でも申請できるわけではありません。
オ(正しい)。筆界特定は境界確定訴訟を妨げるものではなく、筆界特定後も境界確定訴訟を提起することができます。境界確定訴訟の判決が確定したときは、筆界特定はその判決と抵触する範囲で効力を失います(不動産登記法148条)。
問題: 次の図のように、点A及び点Bの平面直角座標値が下表のとおり与えられているとき、点Aから点Bへの方向角及び平面距離の組合せとして最も近いものは、後記1から5までのうちどれか。なお、方向角はX軸の正の方向(北)から右回りに測るものとし、計算には関数電卓を使用してよい(土地家屋調査士試験では関数電卓の持込みが認められている)。
| 点 | X座標 (m) | Y座標 (m) |
|---|---|---|
| A | 150.00 | 100.00 |
| B | 210.00 | 180.00 |
1.方向角 36°52′12″ 平面距離 100.00 m
2.方向角 53°07′48″ 平面距離 100.00 m
3.方向角 53°07′48″ 平面距離 140.00 m
4.方向角 53°52′12″ 平面距離 100.00 m
5.方向角 36°52′12″ 平面距離 140.00 m
答え: 2
解説: まず、座標差を求めます。
$$\Delta X = X_B - X_A = 210.00 - 150.00 = +60.00\ \text{m}$$
$$\Delta Y = Y_B - Y_A = 180.00 - 100.00 = +80.00\ \text{m}$$
平面距離は、三平方の定理により求めます。
$$D = \sqrt{\Delta X^2 + \Delta Y^2} = \sqrt{60^2 + 80^2} = \sqrt{3600 + 6400} = \sqrt{10000} = 100.00\ \text{m}$$
方向角は、X軸の正方向(北)から右回りに測る角として求めます。
$$T = \arctan\frac{\Delta Y}{\Delta X} = \arctan\frac{80.00}{60.00} = \arctan 1.3333\cdots \approx 53^\circ 07’ 48’’$$
$\Delta X > 0$ かつ $\Delta Y > 0$ なので、AからBへの向きは第1象限にあり、方向角はそのまま約 $53^\circ 07’ 48’’$ となります。
したがって、方向角 $53^\circ 07’ 48’’$、平面距離 $100.00\ \text{m}$ の組合せである 2 が正解です。なお、$\Delta X$ と $\Delta Y$ を取り違えると方向角は $36^\circ 52’ 12’’$(= $90^\circ - 53^\circ 07’ 48’’$)となり、誤りの選択肢に誘導されます。
問題: 隣地の竹木に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものはいくつあるか(令和3年の民法改正後の規律による)。
ア.隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは、土地の所有者は、その竹木の所有者に、その枝を切除させることができる。
イ.隣地の竹木の根が境界線を越えるときは、土地の所有者は、自らその根を切り取ることができる。
ウ.竹木の所有者に枝を切除するよう催告したにもかかわらず、竹木の所有者が相当の期間内に切除しないときは、土地の所有者は、自らその枝を切り取ることができる。
エ.竹木の所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないときであっても、土地の所有者が自ら枝を切り取ることはできず、必ず竹木の所有者に切除させなければならない。
オ.隣地の竹木が数人の共有に属する場合において、その枝が境界線を越えるときは、各共有者は、その枝を切り取ることができる。
答え: 正しいものは、ア・イ・ウ・オの4つである。
解説: 令和3年の民法改正(令和5年4月1日施行)により、竹木の枝の切除に関する規律が見直されました。
ア(正しい)。隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは、その竹木の所有者に枝を切除させることができます(民法233条1項)。これは原則的なルールで、改正後も維持されています。
イ(正しい)。隣地の竹木の「根」が境界線を越えるときは、土地の所有者は自らその根を切り取ることができます(民法233条4項)。枝と根で扱いが異なる点に注意が必要です。
ウ(正しい)。竹木の所有者に催告したにもかかわらず相当の期間内に切除しないときは、土地の所有者が自ら枝を切り取ることができます(民法233条3項1号)。改正で新設された規律です。
エ(誤り)。竹木の所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、土地の所有者は自らその枝を切り取ることができます(民法233条3項2号)。「必ず竹木の所有者に切除させなければならない」とする点が誤りです。
オ(正しい)。竹木が数人の共有に属するときは、各共有者は、その枝を切り取ることができます(民法233条2項)。共有者全員の同意は不要です。
出題分野の振り分け
| 問 | 分野 | 論点 |
|---|---|---|
| 第1問 | 不動産登記法(土地) | 分筆の登記(申請人・地積測量図・職権分筆) |
| 第2問 | 不動産登記法(建物) | 建物の表題登記(登記事項・附属建物・建物認定) |
| 第3問 | 不動産登記法 | 筆界特定制度(筆界の意義・申請人・訴訟との関係) |
| 第4問 | 測量計算 | 座標から方向角・平面距離を求める計算(関数電卓使用可) |
| 第5問 | 民法 | 相隣関係(竹木の枝の切除・令和3年改正) |