第1問
問題:
建物の表題登記に関する次のア〜オの記述のうち、誤っているものはどれか。
ア. 表題登記がない建物の所有権を取得した者は、その所有権の取得の日から1か月以内に、当該建物の表題登記を申請しなければならない。
イ. 建物として認定されるためには、外気分断性、土地への定着性、及び用途性(人貨滞留性)の3要件を備える必要がある。
ウ. 建物の所有権の取得から1か月以内に表題登記の申請を怠った者は、100万円以下の過料に処せられる。
エ. 建物の表題部には、建物の所在、家屋番号、種類、構造、床面積その他不動産登記法44条1項各号に掲げる事項が記録される。
オ. 所有権の登記がされていない建物の表題登記をするときは、所有者の氏名又は名称及び住所を表題部所有者として記録する。
答え:
ウ
解説:
ア. 正しい。不動産登記法47条1項により、表題登記がない建物の所有権を取得した者は、その所有権の取得の日から1か月以内に表題登記を申請する義務を負う。土地の表題登記とは異なり、建物の場合は「取得時から起算」する点が重要である。
イ. 正しい。建物の認定要件は、登記実務上、①外気分断性(屋根及び周壁により外気から遮断されていること)、②土地への定着性(土地に継続的に定着していること)、③用途性(その目的とする用途に供し得る状態にあること、人貨滞留性とも表現される)の3要件で構成されると整理されている(登記実務の通説的整理)。
ウ. 誤り。不動産登記法164条1項により、建物の表題登記の申請を怠った場合の過料は、10万円以下である。100万円以下ではない。なお、相続登記の懈怠(同法164条1項)も10万円以下、住所等変更登記の懈怠(同法164条2項)は5万円以下と、表示・権利系の過料はいずれも100万円以下の規定はない点に注意する。
エ. 正しい。不動産登記法44条1項各号により、建物の表題部の登記事項として、所在、家屋番号、種類、構造、床面積等が定められている。
オ. 正しい。不動産登記法27条3号により、所有権の登記がされていない不動産については、所有者の氏名又は名称及び住所を表題部所有者として登記事項とする。
第2問
問題:
土地家屋調査士法22条の2(業務を行い得ない事件)に関する次のア〜オの記述のうち、誤っているものはどれか。
ア. 公務員として職務上取り扱った事件については、依頼者の同意があっても業務を行うことができない。
イ. 仲裁手続において仲裁人として取り扱った事件については、業務を行うことができない。
ウ. 相手方の協議を受けて賛助し、又はその依頼を承諾した事件については、原則として業務を行うことができない。
エ. 相手方の協議を受けた事件で、その協議の程度及び方法が信頼関係に基づくと認められるものについては、業務を行うことができない。
オ. 所属する土地家屋調査士法人の社員又は使用人として、その業務を行い得ないこととされた事件については、当該法人を退社した後であっても、自ら業務を行うことができない。
答え:
オ
解説:
土地家屋調査士法22条の2は、調査士の業務を行い得ない事件を定める規律であり、司法書士法22条と類似の構造を持つ。本問は条文の柱書から各号、及び依頼者の同意による解除可否を問う。
ア. 正しい。公務員として職務上取り扱った事件は、調査士法22条の2第1項各号に該当し、業務を行えない。これは公務の公正性確保の要請から、依頼者の同意による解除が予定されない類型である。
イ. 正しい。仲裁人として関与した事件は中立性確保の要請から、業務を行えない事件として規定される。
ウ. 正しい。相手方の協議を受けて賛助し又はその依頼を承諾した事件は、調査士法22条の2第2項該当事由として、原則として業務を行えない(ただし、同意による解除規定の対象となる類型)。
エ. 正しい。相手方の協議を受けた事件のうち、協議の程度及び方法が信頼関係に基づくと認められるものは、同様に業務制限の対象となる。
オ. 誤り。所属法人の社員又は使用人として業務を行い得ないこととされた事件についての制限は、当該法人在籍中の利益相反防止を目的とする規律であり、退社後に当該規律のみを根拠として直ちに自ら業務を行うことが制限されるわけではない。退社後の制限は別途の規律によって判断される(司法書士法22条の類似規律も同じ整理)。本選択肢の「当該法人を退社した後であっても、自ら業務を行うことができない」と一律に断定する点が誤りである。
第3問
問題:
民法上の共有に関する次のア〜オの記述のうち、誤っているものはどれか。なお、本問は令和3年法律第24号による改正後の規定を前提とする。
ア. 共有物の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴うもの。以下「重大変更」という。)は、共有者全員の同意を要する。
イ. 共有物の管理に関する事項(共有物の形状又は効用の著しい変更を伴わない変更を含む。)は、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する。
ウ. 共有物の保存行為は、各共有者が単独ですることができる。
エ. 所在等不明共有者がいる場合、裁判所は、他の共有者の請求により、所在等不明共有者以外の共有者の持分の価格に従い、その過半数で管理に関する事項を決することができる旨の裁判をすることができる。
オ. 共有者の所在等が不明であるために重大変更について同意を得ることができないときは、裁判所は、他の共有者の請求により、所在等不明共有者以外の共有者の同意を得て当該重大変更を行うことができる旨の裁判をすることができる。
答え:
オ
解説:
ア. 正しい。民法251条1項により、共有物の変更のうち、その形状又は効用の著しい変更を伴うもの(重大変更)は、共有者全員の同意を要する。
イ. 正しい。民法252条1項により、管理に関する事項(軽微変更を含む)は、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する。令和3年改正で、軽微変更(形状又は効用の著しい変更を伴わない変更)が管理事項に含まれる旨が明確化された。
ウ. 正しい。民法252条5項により、共有物の保存行為は、各共有者が単独ですることができる。
エ. 正しい。民法252条2項1号により、共有者が他の共有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、裁判所は、他の共有者の請求により、所在等不明共有者以外の共有者の持分の価格の過半数で管理に関する事項を決することができる旨の裁判をすることができる(令和3年改正で新設)。
オ. 誤り。所在等不明共有者の同意擬制制度(民法251条2項)は、共有物の変更のうち**形状又は効用の著しい変更を伴わない変更(軽微変更)**についてのみ規定されており、重大変更(形状又は効用の著しい変更を伴うもの)には同様の同意擬制制度は規定されていない。重大変更について所在等不明共有者がいる場合は、民法264条の2以下の「所有者不明土地管理命令」「所有者不明建物管理命令」等の別制度を通じて対応することになる。本選択肢の「重大変更について裁判所の同意擬制ができる」とする部分が誤りである。
第4問
問題:
三角形の3辺の長さがそれぞれ $a = 13.000$ m、$b = 14.000$ m、$c = 15.000$ m である三角形の面積を、ヘロンの公式により求めるとき、その面積はいくらか。
ヘロンの公式:3辺の長さを $a$、$b$、$c$、 $s = \dfrac{a+b+c}{2}$ とするとき、三角形の面積 $S$ は
$$ S = \sqrt{s(s-a)(s-b)(s-c)} $$
-
84.000 m²
-
91.000 m²
-
105.000 m²
-
168.000 m²
-
196.000 m²
答え:
1(84.000 m²)
解説:
ヘロンの公式に与えられた値を代入する。
まず、 $s$(半周長)を求める。
$$ s = \frac{a + b + c}{2} = \frac{13.000 + 14.000 + 15.000}{2} = \frac{42.000}{2} = 21.000 $$
次に、 $s-a$、 $s-b$、 $s-c$ を求める。
$$ s - a = 21.000 - 13.000 = 8.000 $$
$$ s - b = 21.000 - 14.000 = 7.000 $$
$$ s - c = 21.000 - 15.000 = 6.000 $$
ヘロンの公式に代入する。
$$ S = \sqrt{s(s-a)(s-b)(s-c)} = \sqrt{21.000 \times 8.000 \times 7.000 \times 6.000} $$
根号内を計算する。
$$ 21 \times 8 = 168 $$
$$ 7 \times 6 = 42 $$
$$ 168 \times 42 = 7056 $$
したがって、
$$ S = \sqrt{7056} = 84.000 \text{ m}^2 $$
検算として、3辺13・14・15の三角形は典型的な整数辺三角形であり、面積は84になることが知られている(5・12・13と9・12・15の直角三角形の組合せで作図できる)。
第5問
問題:
区分建物の登記に関する次のア〜オの記述のうち、誤っているものはどれか。
ア. 一棟の建物に属する区分建物の表題登記の申請は、当該一棟の建物に属する他の区分建物の表題登記の申請と併せてしなければならない。
イ. 区分建物の表題部所有者から所有権を取得した者は、当該区分建物について自己を所有権の登記名義人とする所有権の保存の登記を申請することができる。
ウ. 一般の建物の床面積は壁その他の区画の中心線で囲まれた部分の水平投影面積で算定するのに対し、区分建物の床面積は壁その他の区画の内側線で囲まれた部分の水平投影面積で算定する。
エ. 規約敷地(建物の区分所有等に関する法律5条1項の規約により建物の敷地とされた土地)は、区分所有者全員の敷地利用権が登記され、かつ専有部分との分離処分が禁止されている場合には、不動産登記法上の敷地権の目的となり得る。
オ. 区分建物の敷地権の目的となる権利は、所有権、地上権、賃借権及び抵当権の4種類である。
答え:
オ
解説:
ア. 正しい。不動産登記法48条1項により、一棟の建物に属する区分建物の表題登記の申請は、当該一棟の建物に属する他の区分建物の表題登記の申請と併せてしなければならない(一括申請の原則)。区分建物は一棟全体としての構成を登記簿で把握する必要があるためである。
イ. 正しい。不動産登記法74条2項により、区分建物にあっては、表題部所有者から所有権を取得した者も、自己を所有権の登記名義人とする所有権の保存の登記を申請することができる(区分建物特有の規定。一般の建物の場合は表題部所有者本人またはその相続人等のみが保存登記を申請できる74条1項との対比で重要)。
ウ. 正しい。不動産登記規則115条により、区分建物の床面積は壁その他の区画の内側線で囲まれた部分の水平投影面積で算定する(いわゆる「内法計算」)。一般の建物の床面積は不動産登記規則115条本文により壁その他の区画の中心線で囲まれた部分の水平投影面積で算定する(「壁芯計算」)。固定資産税評価額や登記簿表示に影響する重要な対比点である。
エ. 正しい。建物の区分所有等に関する法律5条1項により、規約により建物の敷地とされた土地(規約敷地)は建物の敷地となる。当該土地について区分所有者全員が敷地利用権を有し、かつ専有部分と敷地利用権との分離処分が禁止されている場合には、不動産登記法44条1項9号の敷地権の目的たる土地として登記される(区分所有法22条1項本文、不動産登記法44条1項9号)。「当然に」敷地権となるわけではなく、分離処分禁止の成立等の要件を備える必要がある。
オ. 誤り。不動産登記法44条1項9号の敷地権の目的となる権利は、所有権、地上権、賃借権の3種類である(不動産登記規則4条等)。抵当権は敷地権の目的とならない。敷地権制度は、専有部分との分離処分の禁止を登記簿に反映する制度であり、対象となる権利は建物の敷地として「利用する」権原(用益権類似)に限られるためである。
出題分野の振り分け
| 問 | 主要科目 | 主要論点 | 主な根拠条文・判例 |
|---|---|---|---|
| 第1問 | 不動産登記法(表示) | 建物の表題登記の申請義務・建物認定3要件・過料 | 不動産登記法27条3号・44条1項・47条1項・164条1項/登記実務の通説的整理(建物認定3要件) |
| 第2問 | 土地家屋調査士法 | 業務を行い得ない事件の類型と退社後の射程 | 土地家屋調査士法22条の2 |
| 第3問 | 民法(共有・令和3年改正) | 共有物の変更・管理・保存/所在等不明共有者対応 | 民法251条1項・2項・252条1項・2項1号・5項・264条の2以下/令和3年法律第24号 |
| 第4問 | 測量計算(ヘロンの公式) | 3辺の長さから三角形面積を算定 | ヘロンの公式 |
| 第5問 | 不動産登記法(区分建物) | 区分建物表題登記の一括申請/敷地権の対象権利/内法計算 | 不動産登記法44条1項9号・48条1項・74条2項/不動産登記規則4条・115条/建物の区分所有等に関する法律5条1項 |