問題: 土地の分筆の登記に関する以下の記述のうち、正しいものを選びなさい。
ア. 一筆の土地の一部について地目が異なるに至った場合は、当該土地の所有者は、地目の変更登記を申請すれば足り、分筆の登記の申請を要しない。
イ. 一筆の土地の一部が別の地番区域に属するに至った場合は、当該土地の表題部所有者又は所有権の登記名義人は、当該土地の分筆の登記を申請しなければならない。
ウ. 共有に属する一筆の土地の分筆の登記の申請は、共有者の一人から単独で行うことができる。
エ. 抵当権の設定の登記がある土地の分筆の登記の申請には、抵当権者の承諾を証する情報の提供を要する。
オ. 分筆の登記の申請には、分筆後の各土地について、それぞれ別個の地積測量図を作成し、提供しなければならない。
答え: イ
解説: ア. 誤り。不動産登記規則102条1項は「一筆の土地の一部について地目又は地番区域を異にするに至ったときは、その土地の表題部所有者又は所有権の登記名義人は、当該土地の分筆の登記の申請をしなければならない」と定める。一筆の土地について複数の地目を併存させることはできない(一筆一地目の原則)ため、分筆の登記の申請が必要となる。
イ. 正しい。不動産登記規則102条1項。地番区域は登記簿の編製の単位であり、一筆の土地が複数の地番区域にまたがることは認められないため、地番区域を異にするに至った場合も分筆の登記の申請が必要となる。
ウ. 誤り。共有に属する土地の分筆の登記の申請は、当該土地の物理的状況の変更に関わるものであり、共有者全員からの申請が必要とされるのが原則である。なお、不動産登記法39条1項により表示に関する登記は所有権の登記名義人または表題部所有者から申請することとされているが、共有名義の場合は共有者全員での申請が原則であり、共有者の一人から単独で行うことはできない。
エ. 誤り。分筆の登記は表示に関する登記であり、不動産登記法40条1項は「分筆又は合筆の登記は、表題部所有者又は所有権の登記名義人以外の者は、申請することができない」と定める。抵当権者等の承諾は要件とされていない。分筆後は、不動産登記規則104条1項により、分筆前の土地の所有権の登記以外の権利に関する登記は、分筆後の各土地の登記記録に転写される。
オ. 誤り。不動産登記令別表8項・不動産登記規則74条等により、分筆の登記の申請には分筆後の各土地に係る地積測量図の提供が必要だが、これを一通の地積測量図に分筆後の各土地として表示する方式が認められており、各土地ごとに別個の地積測量図を作成する必要はない。
問題: 土地家屋調査士の使命及び業務に関する以下の記述のうち、正しいものを選びなさい。
ア. 土地家屋調査士は、その業務を行うことを通じて、不動産の表示に関する登記手続の円滑な実施に資し、もって不動産に係る国民の権利の明確化に寄与することを使命とする。
イ. 土地家屋調査士法人は、当然に簡裁訴訟代理関係業務を行うことができる。
ウ. 土地家屋調査士でない者であっても、土地家屋調査士又はこれに類似する名称を業務上用いることは、土地家屋調査士法上禁止されていない。
エ. 土地家屋調査士は、業務を行う事務所を二以上設けることができ、業務量に応じて事務所数を増やすことが認められている。
オ. 土地家屋調査士の業務には、私法上の境界である所有権界の確定そのものを目的とする業務が含まれる。
答え: ア
解説: ア. 正しい。土地家屋調査士法1条「土地家屋調査士は、この法律の定めるところによりその業務を行うことを通じて、不動産の表示に関する登記手続の円滑な実施に資し、もって不動産に係る国民の権利の明確化に寄与することを使命とする」。令和2年8月1日施行の改正により創設された使命規定。
イ. 誤り。土地家屋調査士には司法書士法3条1項6号の簡裁訴訟代理権限はなく、土地家屋調査士法人は、土地家屋調査士法3条1項各号に列挙された業務(不動産の表示に関する登記の代理、表示登記に必要な調査・測量、筆界特定の手続代理、民間紛争解決手続代理関係業務等)を行うものであり、簡裁訴訟代理関係業務は業務範囲ではない。
ウ. 誤り。土地家屋調査士法19条2項は「土地家屋調査士でない者は、土地家屋調査士又はこれに類似する名称を用いてはならない」と定めており、違反には罰則が定められている(名称独占規定)。
エ. 誤り。土地家屋調査士法20条は事務所一個の原則を定めており、土地家屋調査士は二以上の事務所を設けることはできない。
オ. 誤り。土地家屋調査士法3条1項3号の「筆界を明らかにする業務」は、公法上の境界である筆界(一筆の土地の範囲を区切る線)を明らかにすることを目的とするものであり、私法上の境界である所有権界そのものの確定を目的とする業務とは区別される。所有権界の争いに代理人として関与することは弁護士法72条との関係で問題となる。
問題: 他人の土地への電気・ガス・水道等の継続的給付を受けるための設備の設置・使用に関する以下の記述のうち、誤っているものを選びなさい。
ア. 土地の所有者は、他の土地に設備を設置し、又は他人が所有する設備を使用しなければ電気、ガス又は水道水の供給その他これらに類する継続的給付を受けることができないときは、継続的給付を受けるため必要な範囲内で、他の土地に設備を設置し、又は他人が所有する設備を使用することができる。
イ. 前項の設備の設置又は使用の場所及び方法は、他の土地又は他人が所有する設備のために損害が最も少ないものを選ばなければならない。
ウ. 第一項の規定による権利を有する者は、あらかじめ、その目的、場所及び方法を他の土地等の所有者及び他の土地を現に使用している者に通知しなければならない。
エ. 第一項の規定による権利を有する者は、他の土地に設備を設置する場合であっても、その土地の損害に対して償金を支払う義務を負わない。
オ. これらの相隣関係の規定は、令和3年法律第24号により新設され、令和5年4月1日から施行されている。
答え: エ
解説: ア. 正しい。民法213条の2第1項。隣地通行権(民法210条)を補完するライフライン版の規律として、令和3年法律第24号で新設された。
イ. 正しい。民法213条の2第2項。場所及び方法選択の制約。
ウ. 正しい。民法213条の2第3項「第一項の場合には、土地の所有者は、あらかじめ、その目的、場所及び方法を他の土地等の所有者及び他の土地を現に使用している者に通知しなければならない」。事前通知義務を定める。
エ. 誤り。民法213条の2第5項「第一項の規定による権利を有する者は、他の土地に設備を設置する場合には、その土地の損害(前項において準用する第二百九条第四項に規定する損害を除く。)に対して償金を支払わなければならない」。償金支払義務がある。償金については一時払いと分割払いの選択肢があり、土地の使用が継続的なものとなるときは一年ごとに支払うことができるなどの調整規定もある。
オ. 正しい。民法213条の2及び213条の3(分割・一部譲渡準用)は、令和3年法律第24号「民法等の一部を改正する法律」で新設され、令和5年4月1日に施行されている。所有者不明土地問題への対応の一環として整備された相隣関係改正のひとつ。
問題: 平面直角座標系において、次の4点が与えられている。
- 点A:$(X, Y) = (0.000, 0.000)$
- 点B:$(X, Y) = (100.000, 0.000)$
- 点C:$(X, Y) = (0.000, 50.000)$
- 点D:$(X, Y) = (100.000, 100.000)$
直線ABと直線CDの交点Pの座標$(X, Y)$として、正しいものを選びなさい。なお、計算結果は小数第3位まで求めるものとする。
ア. $(50.000, 25.000)$
イ. $(-100.000, 0.000)$
ウ. $(0.000, 50.000)$
エ. $(100.000, 0.000)$
オ. 二直線は平行であり、交点は存在しない
答え: イ
解説:
直線ABの方程式
点A$(0, 0)$と点B$(100, 0)$を通る直線は、両点ともY座標が0であるから、
$$Y = 0$$
直線CDの方程式
点C$(0, 50)$と点D$(100, 100)$の方向ベクトルは$(100-0,\ 100-50) = (100,\ 50)$であり、傾きは
$$\frac{100 - 50}{100 - 0} = \frac{50}{100} = 0.5$$
点C$(0, 50)$を通り傾き$0.5$の直線の方程式は
$$Y - 50 = 0.5 \cdot (X - 0)$$
整理すると
$$Y = 0.5X + 50$$
交点Pの算出
直線AB($Y = 0$)と直線CD($Y = 0.5X + 50$)を連立する。
$$0 = 0.5X + 50$$
$$0.5X = -50$$
$$X = -100.000$$
このとき$Y = 0$。
よって交点Pの座標は
$$P = (-100.000,\ 0.000)$$
他の選択肢の検討
- 二直線の傾きはそれぞれ0と0.5で異なるため、平行ではなく必ず交点を持つ(選択肢オは誤り)。
- 交点は線分AB・線分CDの延長線上にあるため、両線分の内部に交点があるとは限らない。本問でも$X = -100$は線分AB($0 \leq X \leq 100$)の外側にあり、延長線上で交わる。
問題: 建物図面及び各階平面図に関する以下の記述のうち、正しいものを選びなさい。
ア. 建物図面は、常に500分の1の縮尺により作成しなければならない。
イ. 各階平面図は、原則として50分の1の縮尺により作成しなければならない。
ウ. 建物図面には、当該建物の存する敷地並びに当該敷地に接続する敷地の地番を表示して作成しなければならない。
エ. 区分建物の各階平面図に表示される床面積は、各階ごとに壁その他の区画の中心線で囲まれた部分の水平投影面積による。
オ. 建物図面及び各階平面図の縮尺については、不動産登記規則上の定めはなく、申請人が自由に選択することができる。
答え: ウ
解説: ア. 誤り。不動産登記規則82条2項「建物図面は、500分の1の縮尺により作成しなければならない。ただし、特に必要があるときは、この限りでない」。原則として500分の1だが、特に必要があるときは異なる縮尺によることができる。
イ. 誤り。不動産登記規則82条1項「各階平面図は、250分の1の縮尺により作成しなければならない。ただし、特に必要があるときは、この限りでない」。原則として250分の1(50分の1ではない)。
ウ. 正しい。不動産登記規則82条3項「建物図面は、当該建物の存する敷地並びに当該敷地に接続する敷地の地番を表示して作成しなければならない」。建物の位置を特定するため、敷地の地番だけでなく接続敷地の地番も含めて表示する。
エ. 誤り。不動産登記規則115条「建物の床面積は、各階ごとに壁その他の区画の中心線(区分建物にあっては、壁その他の区画の内側線)で囲まれた部分の水平投影面積により、平方メートルを単位として定め、一平方メートルの百分の一未満の端数は、切り捨てるものとする」。区分建物は中心線ではなく内側線で囲まれた部分の水平投影面積による(区分所有建物の専有部分の独立性を考慮した内法計算)。
オ. 誤り。不動産登記規則82条1項・2項により、各階平面図は原則250分の1、建物図面は原則500分の1と縮尺が定められており、自由に選択することはできない(ただし書による例外あり)。
出題分野の振り分け
| 問題 | 分野 | 主要論点 | 根拠条文 |
|---|---|---|---|
| 第1問 | 不動産登記法(表示) | 土地の分筆登記 | 不動産登記法39条1項・40条1項/不動産登記規則74条・102条1項・104条1項/不動産登記令別表8項 |
| 第2問 | 土地家屋調査士法 | 使命・業務範囲・事務所一個原則・名称独占 | 土地家屋調査士法1条・3条1項3号・19条2項・20条 |
| 第3問 | 民法(相隣関係) | ライフライン設備設置・使用権 | 民法213条の2第1項〜第5項・213条の3/令和3年法律第24号・令和5年4月1日施行 |
| 第4問 | 測量計算(座標法) | 二直線の交点座標 | 直線の方程式・連立方程式 |
| 第5問 | 作図書式 | 建物図面・各階平面図の縮尺・記載事項・床面積 | 不動産登記規則82条1項2項3項・83条・115条 |