問題: 表題部所有者の更正の登記及び変更の登記(不動産登記法32条・33条)に関する次のア〜オの記述のうち、誤っているものはどれか。

ア. 表題部所有者の氏名若しくは名称または住所についての変更の登記または更正の登記は、当該表題部所有者以外の者は、申請することができない。

イ. 表題部所有者の更正の登記は、原則として当該表題部所有者以外の者は申請することができないが、表題部所有者として登記されている者がその所有権を有しないことについて確定判決により確認された者は、申請することができる。

ウ. 既に所有権の登記がある不動産については、もはや表題部所有者の更正の登記をすることはできず、所有権の更正の登記によらなければならない。

エ. 表題部所有者の更正の登記及び変更の登記は、登記官の職権により行うことができる。

オ. 表題部所有者の更正の登記及び変更の登記の申請には、登録免許税は課されない。

答え: 誤っているものは

解説: 不動産登記法32条・33条は表題部所有者の氏名・住所の変更登記と、表題部所有者自体の更正登記を区別して規律する。それぞれの申請権者と要件を整理する。

ア(正):不動産登記法32条は「表題部所有者の氏名若しくは名称又は住所についての変更の登記又は更正の登記は、当該表題部所有者以外の者は、申請することができない」と規定する。表題部所有者本人(または相続人その他の一般承継人)に限られる申請主義の原則を定めた条文である。

イ(正):不動産登記法33条1項は表題部所有者の更正登記について「当該表題部所有者以外の者は、申請することができない」と原則を定めたうえで、同条2項本文は「表題部所有者として登記されている者がその所有権を有しないことについて確定判決により確認された者は、当該表題部所有者についての更正の登記を申請することができる」と例外を規定する。真の所有者保護のための例外規定である。

ウ(正):表題部所有者の更正登記は、所有権の登記がされていない不動産について、表題部所有者の記載自体を訂正する登記である。所有権保存登記等によって所有権の登記がなされた後は、表題部所有者の記載は所有権登記名義人の記載に吸収されるため、所有権の更正登記によることになる(登記実務通説)。

エ():表題部所有者の更正登記・変更登記は、不動産登記法32条・33条により申請主義が原則であり、登記官の職権により行うことはできない。登記官の職権による更正は、不動産登記法28条所定の場合(職権による表示登記の更正等)に限定されており、表題部所有者自体の更正・変更には及ばない。本肢は職権発動を広く認める点で誤り。

オ(正):表示に関する登記(表題登記、表題部所有者の更正・変更登記等)は、登録免許税法別表第一の1の(14)等の規律により登録免許税非課税である(表示登記の非課税原則)。

不動産登記法32条と33条の使い分け(32条=氏名・住所、33条=表題部所有者自体)は試験頻出論点で、申請権者・例外規定・所有権登記との関係を一体で押さえる必要がある。


問題: 土地家屋調査士法上の調査士会の制度および会員義務(土地家屋調査士法20条・22条・24条・57条等)に関する次のア〜オの記述のうち、誤っているものはどれか。

ア. 調査士は、その事務所を設けようとする地を管轄する法務局または地方法務局の管轄区域内に設立されている調査士会の会員でなければならない。

イ. 調査士は、土地家屋調査士名簿への登録の効力が生じた時に、当然に、その所在地を管轄する区域内に設立されている調査士会の会員となる。

ウ. 調査士は、所属する調査士会及び日本土地家屋調査士会連合会の会則を遵守しなければならない。

エ. 調査士は、依頼を受けた事件に関し、正当な事由がない限り、その依頼を拒むことができない。

オ. 調査士は、その業務を行うため必要があるときは、同一の調査士会の管轄区域内に限り、複数の事務所を設けることができる。

答え: 誤っているものは

解説: 調査士の事務所と調査士会の制度は、当然加入制と事務所一個原則を中核とする。各選択肢を確認する。

ア(正):土地家屋調査士法57条1項は「調査士は、事務所を設けようとする地を管轄する法務局又は地方法務局の管轄区域内に設立されている調査士会の会員でなければならない」と規定する。

イ(正):土地家屋調査士法57条2項は「調査士は、第8条第1項の規定による登録を受けた時に、当然、前項の調査士会の会員となる」と規定する。当然加入制である。

ウ(正):土地家屋調査士法24条は調査士の会則遵守義務を定める。所属する調査士会の会則だけでなく、日本土地家屋調査士会連合会の会則も遵守する義務を負う。

エ(正):土地家屋調査士法22条は「調査士は、正当な事由がある場合でなければ、依頼……を拒んではならない」と規定する。依頼応諾義務は調査士業務の公共性を反映した制度である(同条かっこ書により、第3条第1項第4号(審査請求の代理)および第6号(相談業務)に規定する業務、並びに民間紛争解決手続代理関係業務に関する依頼は除外される)。

オ():土地家屋調査士法20条は調査士の事務所について規定し、同条と土地家屋調査士法施行規則20条の運用により、調査士の事務所は一個に限り設けなければならないものとされている(事務所一個原則)。「同一の調査士会の管轄区域内に限り複数の事務所を設けることができる」とする本肢は誤り。

事務所一個原則と当然加入制は、調査士法における基本的な業務規律であり、試験頻出論点である。


問題: 境界確定の訴え(筆界確定訴訟)に関する次のア〜オの記述のうち、誤っているものはどれか。

ア. 境界確定の訴えは、隣接する土地の所有権の範囲(所有権界)を確定することを直接の目的とする訴えである。

イ. 境界確定の訴えは、当事者の処分権主義が制限される形式的形成訴訟であり、裁判所は当事者の主張に拘束されずに境界を判断する。

ウ. 境界確定の訴えの確定判決は、当事者間のみならず第三者に対しても効力を有する(対世効)。

エ. 境界確定の訴えで確定される境界は、公法上の境界(筆界)であり、当事者間の合意で動かすことができる所有権界とは区別される。

オ. 境界確定の訴えを提起することができるのは、原則として相隣接する土地の所有者であり、地上権者・賃借権者は提起することができない。

答え: 誤っているものは

解説: 境界確定の訴えは、形式的形成訴訟の代表例として民事訴訟法の論点であると同時に、筆界と所有権界の区別が試験頻出の論点である。

ア():境界確定の訴えは、所有権界の確定ではなく筆界(公法上の境界)の確定を目的とする訴えである(最判昭和43年2月22日民集22巻2号270頁等。実務通説)。所有権の範囲(所有権界)は、当事者間の合意で処分可能な私法上の境界であり、所有権確認の訴えによって争うべきものである。両者の区別が本問の核心。

イ(正):境界確定の訴えは、当事者の処分権主義が制限される形式的形成訴訟である(最判昭和41年5月24日民集20巻5号1063頁)。裁判所は当事者の主張する境界線に拘束されることなく、自ら相当と認める境界を判断することができる(裁判所による境界の創設的確定)。

ウ(正):境界確定の訴えの確定判決は、対世効を有し、当事者間のみならず第三者に対しても効力を有する。これは筆界の公的性質を反映したものである。

エ(正):筆界は公法上の境界であり、当事者間の合意では動かせない。一方、所有権界は私法上の境界であり、当事者間の合意で変更可能(境界線付近の土地の譲渡等)。両者は概念的に区別される。

オ(正):境界確定の訴えの当事者適格は、原則として相隣接する土地の所有者に限られる。地上権者・賃借権者には当事者適格は認められない(最判昭和52年11月22日民集31巻6号892頁参照。実務通説)。

筆界と所有権界の区別、形式的形成訴訟としての性質、対世効、当事者適格は境界確定訴訟の基本論点で、調査士業務(筆界特定手続)とも密接に関連する。


問題: 平面直角座標系において、基準点 A の座標が $(X_A, Y_A) = (1000.000, 1000.000)$ である。点 A から方位角 $60°00'00’’$、水平距離 $50.000\ \text{m}$ の地点に観測点 B がある。観測点 B の座標 $(X_B, Y_B)$ として正しいものはどれか。

ただし、平面直角座標系では X 軸を北方向(正)、Y 軸を東方向(正)とし、方位角は X 軸正方向から時計回りに測るものとする。計算は $\sin 60° = 0.866025$、$\cos 60° = 0.500000$ として、小数点以下第3位まで求めよ(第4位を四捨五入)。

ア. $(X_B, Y_B) = (1043.301, 1025.000)$

イ. $(X_B, Y_B) = (1025.000, 1043.301)$

ウ. $(X_B, Y_B) = (1043.301, 1043.301)$

エ. $(X_B, Y_B) = (1025.000, 1025.000)$

オ. $(X_B, Y_B) = (1050.000, 1050.000)$

答え: 正しいものは

解説: 測量における平面直角座標系では、X 軸を北方向(正)、Y 軸を東方向(正)とする。方位角は X 軸正方向(北)から時計回りに測る角度である。

座標展開の公式は次のとおりである。

$$ X_B = X_A + D \cdot \cos \theta $$

$$ Y_B = Y_A + D \cdot \sin \theta $$

ここで、$D$ は水平距離、$\theta$ は方位角を表す。

本問の値を代入する。

$$ X_B = 1000.000 + 50.000 \times \cos 60° = 1000.000 + 50.000 \times 0.500000 = 1000.000 + 25.000 = 1025.000 $$

$$ Y_B = 1000.000 + 50.000 \times \sin 60° = 1000.000 + 50.000 \times 0.866025 = 1000.000 + 43.30125 \approx 1043.301 $$

したがって、$(X_B, Y_B) = (1025.000, 1043.301)$ となる(選択肢イ)。

つまずきやすいポイント:

座標展開の公式で、$\cos \theta$ と $\sin \theta$ をどちらの座標に掛けるかは、座標系の取り方で逆になる。測量の平面直角座標系(X 軸=北、Y 軸=東)と数学の直交座標系(x 軸=東、y 軸=北)では、X 軸と Y 軸の意味が入れ替わっている。

測量の平面直角座標系での座標展開の公式は次のとおりである。

  • X 増分(北方向) $= D \cdot \cos \theta$(方位角は北から測るため、cos が北成分)
  • Y 増分(東方向) $= D \cdot \sin \theta$(方位角の sin が東成分)

数学の直交座標系(x 軸=東、y 軸=北、角度は東から反時計回り)の感覚で $\sin$ と $\cos$ を当てはめると逆になる。測量計算では**「北は cos、東は sin」**を強く意識する必要がある。

選択肢アは sin と cos を逆に当てた典型的な誤答である。


問題: 土地家屋調査士の業務範囲(土地家屋調査士法3条1項)に関する次のア〜オの記述のうち、誤っているものはどれか。

ア. 調査士は、不動産の表示に関する登記につき必要な土地または家屋に関する調査および測量をすることができる。

イ. 調査士は、不動産の表示に関する登記に関して、法務局または地方法務局に提出し、または提供する書類または電磁的記録を作成することができる。

ウ. 調査士は、不動産の表示に関する登記に関する審査請求の手続について、依頼者の代理人となることができる。

エ. 調査士は、筆界特定の手続について、その筆界特定の対象となる土地の所有者の代理人となることができる。

オ. 調査士は、不動産の権利に関する登記についても、依頼者の代理人として登記の申請をすることができる。

答え: 誤っているものは

解説: 土地家屋調査士法3条1項は調査士の業務範囲を限定列挙する条文である。各号の業務範囲を確認する。

ア(正):土地家屋調査士法3条1項2号は「不動産の表示に関する登記につき必要な土地又は家屋に関する調査及び測量」を業務範囲とする。表示登記の前提となる現地調査・測量は調査士の独占業務である。

イ(正):土地家屋調査士法3条1項3号は「不動産の表示に関する登記に関して法務局又は地方法務局に提出し、又は提供する書類又は電磁的記録……を作成すること」を業務範囲とする。表示登記の申請書類・電磁的記録の作成権限である。

ウ(正):土地家屋調査士法3条1項4号は「不動産の表示に関する登記に関する審査請求の手続について代理すること」を業務範囲とする。表示登記についての行政不服審査法上の審査請求代理である。

エ(正):土地家屋調査士法3条1項5号は「筆界特定の手続について、当該筆界特定の対象となる土地の所有者である者を代理してすること」を業務範囲とする。なお、民間紛争解決手続(筆界ADR)代理は同条1項7号・8号で「特定調査士(法務大臣の認定を受けた調査士)」のみに認められ、本問は対象外。

オ():不動産の権利に関する登記(所有権・抵当権等の登記)は、司法書士の独占業務(司法書士法3条1項2号)であり、調査士の業務範囲には含まれない。調査士の業務範囲は「不動産の表示に関する登記」に限定される。本肢は調査士と司法書士の業務範囲の混同を問う誤答肢である。

「表示登記=調査士/権利登記=司法書士」の業務範囲の区分は、両資格者の役割分担の中核であり、試験では繰り返し問われる論点である。


出題分野の振り分け

問題 分野 主な根拠条文・判例
第1問 不動産登記法(表示) 不動産登記法32条、33条1項・2項本文、28条、登録免許税法別表第一の1の(14)
第2問 土地家屋調査士法 土地家屋調査士法20条、22条、24条、57条1項・2項、8条1項、土地家屋調査士法施行規則20条
第3問 民法・民事訴訟法(境界確定) 最判昭和43年2月22日民集22巻2号270頁、最判昭和41年5月24日民集20巻5号1063頁、最判昭和52年11月22日民集31巻6号892頁
第4問 測量計算(座標展開) 平面直角座標系、座標展開公式($X_B = X_A + D\cos\theta$、$Y_B = Y_A + D\sin\theta$)
第5問 土地家屋調査士法 土地家屋調査士法3条1項2号〜5号・7号・8号、司法書士法3条1項2号