問題: 建物の表題登記の申請義務および建物の認定について、次の記述のうち誤っているものはどれか。

ア 新築した建物の所有権を取得した者は、その所有権の取得の日から1か月以内に、建物の表題登記を申請しなければならない。

イ 建物の認定にあたっては、外気分断性(屋根・周壁等で外気と遮断されていること)、土地への定着性、用途上の独立性(その用途のために独立した利用ができること)の3要件を満たす必要があり、これらをすべて欠く場合は建物として登記することができない。

ウ 建物の認定基準のうち「定着性」は、土地への永続的な固着を要するとされ、容易に移動できる仮設物・モバイルハウス等は建物として認定されない。

エ 建物の表題登記を申請すべき義務を負う者がその申請を怠ったときは、10万円以下の過料に処せられる。

オ 区分建物が属する一棟の建物が新築された場合の表題登記の申請は、原始取得者である建築主が、すべての区分建物について一括して申請しなければならず、区分建物ごとの個別申請はできない。

答え:

解説: 建物の表題登記は、土地家屋調査士の中核業務であり、申請義務・認定基準・申請単位の整理は試験頻出論点である。

ア 正しい。不動産登記法47条1項により、「新築した建物又は区分建物以外の表題登記がない建物の所有権を取得した者は、その所有権の取得の日から1月以内に、表題登記を申請しなければならない」と規定されている。

イ 誤り。建物の認定にあたって必要な3要件(外気分断性・定着性・用途上の独立性)は、いずれか1つを欠いても建物として登記することはできない(いずれも独立した必要要件であり、「すべてを欠く場合のみ建物として認定されない」という整理は誤り)。実務上、不動産登記事務取扱手続準則77条等で建物の認定基準が整理されており、3要件のうち1つでも欠ければ建物としての登記ができない。

ウ 正しい。建物の認定要件のうち「定着性」は、土地への永続的な固着を要するとされ、容易に移動できる仮設物・モバイルハウス(車輪付きで継続的に移動可能なもの)等は、原則として建物として認定されない。実務上、コンクリート基礎等で固着しているかが判断のポイントになる。

エ 正しい。不動産登記法164条1項により、表題登記の申請義務に違反した場合、10万円以下の過料に処せられる。なお、表示に関する登記の申請義務違反(不登法164条1項)と、令和8年4月1日施行の住所等変更登記の申請義務違反(不登法164条2項・5万円以下の過料)は過料の金額と根拠条項が異なる点に留意する必要がある。

オ 正しい。不動産登記法48条1項により、区分建物が属する一棟の建物が新築された場合の表題登記の申請は、その建物の原始取得者(建築主)がすべての区分建物について一括して申請しなければならず、区分建物ごとの個別申請は認められない。これは区分建物特有の規律で、専有部分の登記と一棟の建物の表示登記を一体として処理するための制度である。

建物の認定3要件(外気分断性・定着性・用途上の独立性)は、いずれも欠けてはならない独立した要件であることを正確に押さえる必要がある。


問題: 土地家屋調査士の使命および研修義務について、次の記述のうち正しいものはどれか。

ア 土地家屋調査士法1条は、土地家屋調査士の使命を「不動産の表示に関する登記及び土地の筆界を明らかにする業務の専門家として、不動産に係る権利の明確化に寄与し、もって国民の権利の擁護に資すること」と定めている。

イ 土地家屋調査士は、所属する調査士会が実施する研修を受ける義務を負うが、当該義務は努力義務であり、研修不受講に対する制裁規定は設けられていない。

ウ 土地家屋調査士は、業務に関し各種の社会的責務を負うが、その品位を保持し、業務に関する法令および実務に精通して、公正かつ誠実にその業務を行わなければならない旨は、土地家屋調査士法には明文化されていない。

エ 土地家屋調査士でない者は、土地家屋調査士またはこれに類似する名称を用いることはできるが、業務として不動産の表示に関する登記の申請手続を反復継続して行うことはできない。

オ 土地家屋調査士が業務を行うことができる地域は、所属する調査士会の区域に限定されており、当該区域外で業務を行うためには、他の調査士会への所属変更が必要である。

答え:

解説: 本問は、土地家屋調査士法1条の使命規定(令和2年8月1日施行の改正で新設)と、関連する責務・研修義務・名称独占等の規律を整理する問題である。

ア 正しい。土地家屋調査士法1条(使命)は、令和元年改正(令和元年法律第29号、令和2年8月1日施行)で新設された規定で、「土地家屋調査士は、不動産の表示に関する登記及び土地の筆界を明らかにする業務の専門家として、不動産に係る権利の明確化に寄与し、もつて国民の権利の擁護に資することを使命とする」と定められている。同改正により司法書士法・土地家屋調査士法の両法に使命規定が明文化された。

イ 誤り。土地家屋調査士法25条1項により、「土地家屋調査士は、その所属する土地家屋調査士会及び日本土地家屋調査士会連合会が実施する研修を受け、その資質の向上を図るように努めなければならない」とされ、研修受講は努力義務である。しかし、研修義務の懈怠は調査士法42条に基づく懲戒の対象となり得るほか、所属調査士会の会則違反として処分される場合もある。「制裁規定が設けられていない」という記述は不正確である。

ウ 誤り。土地家屋調査士法2条(職責)に「土地家屋調査士は、常に品位を保持し、業務に関する法令及び実務に精通して、公正かつ誠実にその業務を行わなければならない」と明文で規定されている。本選択肢は「明文化されていない」としており誤り。

エ 誤り。土地家屋調査士法68条1項により、「土地家屋調査士でない者は、土地家屋調査士又はこれに類似する名称を用いてはならない」と規定され、名称独占が定められている。さらに同法68条2項では、土地家屋調査士または土地家屋調査士法人でない者の業務独占(不動産の表示に関する登記の申請手続等を業として行うことの禁止)も規定されている。本選択肢は「類似する名称を用いることはできる」としており誤り。

オ 誤り。土地家屋調査士の業務地域は所属調査士会の区域に限定されない。土地家屋調査士法上、業務地域を限定する明文の規定はなく、登録を受けた調査士は全国で業務を行うことができると解されている(属人主義)。所属調査士会は登録上の所属を示すものに過ぎない。本選択肢は誤り。

使命規定(1条)と職責規定(2条)の区別、研修義務の懈怠による懲戒対象性、名称独占(68条1項)と業務独占(同条2項)の対比は試験頻出論点である。


問題: 境界標の設置請求権について、次の記述のうち誤っているものはどれか。

ア 土地の所有者は、隣地の所有者と共同の費用で、境界標を設置することができる。

イ 境界標の設置およびその保存の費用は、当事者の合意がない限り、相隣者が等しい割合で負担する。

ウ 境界標の設置に要する測量の費用は、相隣者の土地の広狭に応じて按分して負担する。

エ 隣地の所有者は、正当な理由なく境界標の設置を拒むことができず、拒んだ場合は他方の所有者は単独で境界標を設置することができる。

オ 設置された境界標の保存・修繕の費用は、当該境界標が現に存する土地の所有者が単独で負担し、相隣者に分担を請求することはできない。

答え:

解説: 本問は、相隣関係における境界標の設置請求権(民法223条・224条)の細部を問う問題である。条文の規律をそのまま押さえることが攻略の核心。

ア 正しい。民法223条により、「土地の所有者は、隣地の所有者と共同の費用で、境界標を設けることができる」とされている。境界標の設置は、相隣者の合意のもとで共同の費用で行う点に注意。

イ 正しい。民法224条本文により、「境界標の設置及び保存の費用は、相隣者が等しい割合で負担する」と規定されている。境界標の「設置」とその後の「保存」の双方の費用について、相隣者が等分で負担するのが原則である。

ウ 正しい。民法224条ただし書により、「ただし、測量の費用は、その土地の広狭に応じて分担する」とされている。設置・保存費用は等分(同条本文)であるのに対し、測量費用については広狭按分とされる点が両者の対比として整理される頻出論点である。

エ 正しい。隣地の所有者が正当な理由なく境界標の設置を拒んだ場合、他方の所有者は単独で境界標を設置することができると解されている(民法223条の解釈)。境界標の設置は相隣者の共同利益のためであり、一方が合理的理由なく拒むことは権利濫用にあたり得る。

オ 誤り。民法224条本文により、「境界標の設置及び保存の費用は、相隣者が等しい割合で負担する」とされており、保存費用も相隣者が等分で負担するのが原則である。「境界標が現に存する土地の所有者が単独で負担し、相隣者に分担を請求することはできない」とする本選択肢は明確に条文と異なる。

境界標の設置・保存費用の規律(224条本文=設置・保存は等分、ただし書=測量費用は広狭按分)は試験頻出論点で、条文の文言通り押さえる必要がある。


問題: 2点A(200.000, 100.000)、B(400.000, 300.000)を結ぶ線分を、2:3に内分する点Pの座標を求めよ(小数点以下3位まで)。

答え: P(280.000, 180.000)

解説: 線分の内分点座標は、平面直角座標系における基本的な計算問題である。中級レベルの調査士試験では、距離・方向角の計算とあわせて頻出する論点である。

【内分点公式】

線分ABを m:n(A側からB側へ)に内分する点Pの座標は次の式で求められる。

$$P\left(\frac{n X_A + m X_B}{m+n}, \quad \frac{n Y_A + m Y_B}{m+n}\right)$$

【与えられた値】

  • A(200.000, 100.000)
  • B(400.000, 300.000)
  • 内分比 m:n = 2:3

【計算】

X座標:

$$P_X = \frac{n X_A + m X_B}{m+n} = \frac{3 \times 200.000 + 2 \times 400.000}{2+3} = \frac{600.000 + 800.000}{5} = \frac{1400.000}{5} = 280.000$$

Y座標:

$$P_Y = \frac{n Y_A + m Y_B}{m+n} = \frac{3 \times 100.000 + 2 \times 300.000}{2+3} = \frac{300.000 + 600.000}{5} = \frac{900.000}{5} = 180.000$$

【検算】

A→Pの距離:

$$\sqrt{(280.000 - 200.000)^2 + (180.000 - 100.000)^2} = \sqrt{80.000^2 + 80.000^2} = \sqrt{12800} \approx 113.137$$

A→Bの距離:

$$\sqrt{(400.000 - 200.000)^2 + (300.000 - 100.000)^2} = \sqrt{200.000^2 + 200.000^2} = \sqrt{80000} \approx 282.843$$

比率:

$$\frac{AP}{AB} = \frac{113.137}{282.843} \approx 0.400 = \frac{2}{5}$$

すなわち、AP:AB = 2:5 となり、AP:PB = 2:3 が確認できる。

【ポイント】

  • 内分点公式は m:n の比率が「A側から数えて m、P以降がn」という構造を理解することが重要
  • 公式の係数は「対辺との比」になる:A側の座標X_Aには n(B側の比)が掛かり、B側の座標X_Bには m(A側の比)が掛かる
  • 検算は距離計算により内分比を逆算する方法で確認できる
  • 本試験は関数電卓2台まで持ち込み可(プログラム機能なし)。距離計算には平方根が必要だが、内分点計算自体は四則演算のみで処理できる

内分点・外分点・中点の座標計算は地積測量図の作成・分筆登記の現場で頻繁に登場する基本論点であり、公式を正確に運用できるよう繰り返し演習しておくことが望ましい。


問題: 地積測量図の縮尺について、次の記述のうち誤っているものはどれか。

ア 地積測量図の縮尺は、原則として250分の1とされている。

イ 土地の形状または広狭等により250分の1の縮尺によることが適当でないときは、500分の1・1,000分の1・2,500分の1・5,000分の1等の他の縮尺によることができる。

ウ 地積測量図の縮尺は、土地の登記事項証明書の縮尺と一致させなければならない。

エ 地積測量図には、方位を記載するとともに、地番、地目、地積、申請人の氏名または名称、作成の年月日、作成者の表示および作成者の職印を記載する。

オ 地積測量図に用いる紙の大きさ・余白等の規定は不動産登記規則およびその別記様式で定められている。

答え:

解説: 地積測量図の縮尺と記載事項は、土地家屋調査士業務の中核論点であり、不動産登記規則77条以下および別記第二号様式の規律を正確に押さえる必要がある。

ア 正しい。不動産登記規則77条3項本文により、「地積測量図は、250分の1の縮尺により作成しなければならない」と原則が定められている。

イ 正しい。同条3項ただし書により、「ただし、土地の状況その他の事情により当該縮尺によって作成することが適当でないときは、この限りでない」とされ、適当な他の縮尺(500分の1・1,000分の1・2,500分の1・5,000分の1等)によることが認められている。広大な土地・狭小地・複雑な形状の土地等で実用上の調整余地がある。

ウ 誤り。登記事項証明書(登記簿)には縮尺の概念はそもそも存在せず、登記事項証明書と地積測量図の縮尺を「一致させる」という規律は存在しない。地積測量図の縮尺は、不動産登記規則77条3項により定まる独立の規律である。本選択肢は概念の混同に基づく誤り。

エ 正しい。不動産登記規則77条1項各号により、地積測量図には、地番区域の名称(1号)、方位(2号)、縮尺(3号)、地番(4号)、地積および求積方法(5号)、筆界点間の距離(6号)、平面直角座標系の番号または記号(7号)、基本三角点等に基づく筆界点の座標値(8号)、境界標があるときの当該境界標の表示(9号)、測量の年月日(10号)の記載が義務付けられている。さらに別記第二号様式により、申請人の氏名・作成者の表示・作成年月日・職印等の記載要式が定められている。

オ 正しい。不動産登記規則73条・74条等により、登記申請に添付する図面(地積測量図を含む)の用紙の大きさ・余白等の規定がある(一般的にはA4判の用紙を用いるとされる)。別記第二号様式に地積測量図の作成様式が定められている。

地積測量図の縮尺(原則250分の1・例外的に他の縮尺可)と記載事項(不登規則77条1項各号10項目)は試験頻出論点であり、別記第二号様式とあわせて整理しておくことが重要。


出題分野の振り分け

問題 科目 主な根拠条文・先例
第1問 不動産登記法(表示) 不登法47条1項(建物表題登記申請義務)・48条1項(区分建物一括申請)・164条1項(過料10万円以下)、不動産登記事務取扱手続準則(建物認定基準)
第2問 土地家屋調査士法 調査士法1条(使命・令和元年改正令和2年8月1日施行)・2条(職責)・25条1項(研修)・68条1項2項(名称独占・業務独占)/業務地域は条文上限定なし(属人主義)
第3問 民法(相隣関係) 民法223条・224条本文・224条ただし書
第4問 測量計算(内分点座標) 内分点公式:$P(\frac{n X_A + m X_B}{m+n}, \frac{n Y_A + m Y_B}{m+n})$
第5問 作図書式(地積測量図) 不動産登記規則77条1項各号・77条3項・別記第二号様式