親子間売買はなぜ住宅ローンが通りにくい?──売買・贈与・相続の分かれ道

この記事の要点 親子間の不動産売買は、金融機関の住宅ローン審査で慎重に扱われる傾向があるとされている 売買・贈与・相続は、登記の原因も必要書類も登録免許税の税率もそれぞれ異なる 時価に比べて著しく低い価格での売買は、その差額部分が「贈与」とみなされる可能性があるため、価格の決め方には注意が必要 税額の計算や個別の判断は税理士へ相談するのが基本 親から子へ、あるいは子から親へ不動産を譲るとき、「売買にするか、贈与にするか、それとも将来の相続まで待つか」で迷う方は少なくありません。とくに売買を選んだ場合、「住宅ローンを組もうとしたら金融機関から難色を示された」という声を聞くことがあります。この記事では、親子間売買で住宅ローンが通りにくいと言われる一般的な背景と、売買・贈与・相続で登記や税金の扱いがどう変わるのかを整理します。 ...

2026年8月29日 · ひぐらしさとし

成年後見人は途中で辞められる?代えられる?──辞任・解任と後任選任のしくみ

この記事の要点 成年後見人は自分の判断だけでは辞められません。辞任には「正当な事由」と家庭裁判所の許可が必要です(民法844条) 解任できるかどうかを判断するのは家庭裁判所です。不正な行為など「後見の任務に適しない事由」があるときに、請求または職権で解任されます(民法846条) 辞任・解任があっても成年後見そのものは終わりません。後任の成年後見人は家庭裁判所が選任します 結論からお伝えします。成年後見人は、途中で辞めることも、家庭裁判所の判断で交代となることもありますが、いずれも「本人(成年被後見人)を保護する仕組みを途切れさせない」形でしか進みません。辞めるのも代わるのも、家庭裁判所の関与のもとで行われます。 ...

2026年8月28日 · ひぐらしさとし

古い借金や未払い代金の請求が届いたら|『時効の援用』とは──時効は自動では成立しない

この記事の要点 消滅時効は、期間が過ぎれば自動的にお金の支払い義務が消える制度ではありません。民法145条により、当事者が「援用」しなければ、裁判所は時効を理由とする裁判ができません 権利を「承認」すると、時効はその時から新たに進行し直します(民法152条1項)。援用と承認は正反対の方向に働くため、どちらに当たる行動かを知っておくことが大切です 個別の請求にどう対応するかの判断は、この記事では扱いません。手続きの仕組みの一般解説です 古い借金や未払い代金の請求が届いたとき、「時効だからもう関係ない」と考えて放置してよいかというと、そうではありません。結論から言うと、消滅時効は期間が過ぎただけでは効力が生じず、時効の利益を受ける側が「援用(えんよう)」という主張をして初めて意味を持ちます。 ...

2026年8月28日 · ひぐらしさとし

土地家屋調査士試験 試験対策 第127回──建物の所在及び家屋番号/共用部分である旨の登記/土地家屋調査士の欠格事由/境界線付近の掘削の制限/測量士及び測量士補となる資格

問題: 建物の所在及び家屋番号に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。 ア. 区分建物である建物の表示に関する登記においては、登記事項である建物の所在として、当該建物が属する一棟の建物の所在する市、区、郡、町、村、字及び土地の地番が登記される。 ...

2026年8月28日 · ひぐらしさとし

社長個人と会社の貸し借り──役員貸付金・借入金は相続でどうなる?

この記事の要点 会社が社長個人に貸していたお金(役員貸付金)は、社長の「借金」=相続債務として相続人に引き継がれる 逆に、社長個人が会社に貸していたお金(役員借入金)は、社長の「財産」=相続財産になり、相続人が会社に対する債権者になる 貸し借りの有無と金額は、決算書の貸借対照表(役員貸付金・役員借入金などの科目)で確認できる 相殺・債権放棄・債務免除といった整理の方法は税務が絡むため、具体的な検討は税理士に相談する まず決算書で貸し借りの有無を確認すること。債務のほうが大きい場合は、相続放棄の期限(原則3か月)にも注意する 会社を経営していた方が亡くなったとき、見落とされやすいのが「社長個人と会社の間のお金の貸し借り」です。結論から言うと、会社が社長に貸していたお金(役員貸付金)は社長の相続債務として、社長が会社に貸していたお金(役員借入金)は社長の相続財産として、どちらも相続人に引き継がれます。貸した方向によって、相続人の立場は「会社にお金を返す側」と「会社からお金を返してもらう側」の正反対になります。 ...

2026年8月28日 · ひぐらしさとし

境界標と塀の費用負担──「筆界」の話は土地家屋調査士へ

この記事の要点 境界標の設置・保存の費用は、隣どうしが等しい割合で負担する(=折半)のが民法の原則です(民法224条本文) ただし測量の費用だけは折半ではなく、土地の広さ(面積)に応じて分担します(民法224条ただし書) 境界の塀(囲障)も、所有者の異なる2棟の建物の間に空き地があるときは共同の費用で設置でき、協議がまとまらないときは「板塀・竹垣など、高さ2メートル」が基準になります(民法225条) もっと良い材料・もっと高い塀にしたい側は、その増加分の費用を自分で負担します(民法227条) 費用の話の前に「そもそも境界(筆界)がどこか分からない」ときは、まず筆界特定制度や土地家屋調査士への相談が先です お隣との境界に目印(境界標)を置くときや、境界に塀を作るときの費用は、原則としてお隣との折半──これが民法の答えです。ただし例外もあり、測量の費用は面積に応じた分担になりますし、立派な塀にしたい側はその分を余計に負担します。 ...

2026年8月28日 · ひぐらしさとし

条・項・号の読み方と枝番号──「第213条の2」の「の2」は第2項ではない

この記事の要点 条文は「条 → 項 → 号 → イ・ロ・ハ」の階層でできている(項は算用数字、号は漢数字) 「第213条の2」の「の2」は枝番号で、独立したひとつの「条」。「第213条第2項」とは別の条文 枝番号や「削除」の表示は、改正のときに後ろの条文番号をずらさないための立法の工夫 条文を調べていて「民法第213条の2」という表記に出会ったとき、「213条の2番目の項(=第2項)のことかな」と読んでしまう方が少なくありません。結論から言うと、これは誤りです。「第213条の2」は、第213条と第214条の間に挟まれた独立したひとつの条であり、「第213条第2項」とはまったく別の条文です。 ...

2026年8月27日 · ひぐらしさとし

登記申請は窓口・郵送・オンラインのどれで出す?──3つの出し方と受付のタイミング

この記事の要点 法律が定める申請の方法は「オンライン」と「書面の提出」の2つ。書面の提出には窓口への持参と郵送があるため、実際の出し方は3通りになる 受付は、申請の情報が法務局(登記所)に届いたときにされる。オンラインで送信できる時間帯と、登記所で受付がされる時間帯は別物 郵送は書留郵便など記録が残る方法で送り、封筒の表面に不動産登記の申請書が入っている旨を明記する決まりがある 不動産の登記申請書は、どこにどうやって出せばよいのでしょうか。結論から言えば、法律が定める申請の方法は「オンライン」と「書面を提出する方法」の2つで、書面を提出する方法の中に窓口への持参と郵送があります。つまり実際の出し方は3通りです。 ...

2026年8月27日 · ひぐらしさとし

土地家屋調査士試験 試験対策 第126回──地目・地積の変更と土地の滅失の登記/業務を行い得ない事件/公道に至るための通行権/公共測量の測量成果/表題部所有者に関する登記

問題: 土地の表示に関する登記の変更の登記、更正の登記及び滅失の登記に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。 ア. 地目について変更があったときは、表題部所有者又は所有権の登記名義人は、その変更があった日から1か月以内に、当該地目に関する変更の登記を申請しなければならない。 ...

2026年8月27日 · ひぐらしさとし

経営者の連帯保証は相続される──会社の借金と経営者保証ガイドラインの入口

この記事の要点 会社の借金そのものは会社の債務であり、社長が亡くなっても相続人には引き継がれない ただし社長が個人として結んでいた連帯保証(経営者保証)は相続の対象になり、相続分に応じて分割して引き継がれるのが原則 継続的な融資をまとめて保証する「個人根保証契約」は、保証人の死亡によって元本が確定する(民法465条の4)=亡くなった後の新たな借入まで保証が広がることはない 対処の選択肢として相続放棄・限定承認があり、期限は原則3か月。どれを選ぶべきかは個別の事情による 金融機関との交渉や保証債務の整理方針は弁護士の領域。「経営者保証に関するガイドライン」という枠組みの存在も知っておきたい 会社を経営していた家族が亡くなったとき、遺された方が最も不安に感じることのひとつが「会社の借金はどうなるのか」という問題です。 ...

2026年8月27日 · ひぐらしさとし