使用貸借と賃貸借はどう違う?──タダで借りている実家・土地の法律関係

この記事の要点 使用貸借(民法593条)は「無償」で借りる契約、賃貸借(民法601条)は「家賃」を払って借りる契約。この対価の有無が最大の違い 賃貸借(とくに借家)は借地借家法で借主が手厚く保護されるが、使用貸借にはこの保護がなく、貸主の都合で終了しやすい 借主が亡くなったとき、使用貸借は原則として契約が終了する(民法597条3項)が、賃貸借の借りる権利は相続人に引き継がれる 実家や親の土地を無償で使っている場合は、口約束のままにせず、期間や条件を書面で整理しておくことが将来のトラブル防止につながる 「家賃を払っていないから、この関係は法律上どうなっているのか分からない」——親の家や土地を無償で使っている方から、こうした声をよく耳にします。法律上、対価を払わずに物を借りる関係は「使用貸借(しようたいしゃく)」、家賃などの対価を払って借りる関係は「賃貸借(ちんたいしゃく)」と呼ばれ、民法上まったく別の契約として扱われています。見た目は同じ「借りている」状態でも、存続期間の保障や相続時の扱いは大きく異なります。この記事では、使用貸借と賃貸借の違いを、実家や土地を無償で借りているケースを中心に整理します。 ...

2026年8月31日 · ひぐらしさとし

相続の初回相談、聞いた話を同席しなかった家族にどう伝える?──言った言わないを防ぐ共有のしかた

この記事の要点 面談で聞いた「まだ条件付きの話」は、伝言を重ねるうちに「もう決まったこと」に変わってしまいやすい メモは「聞いた要点」「今後すべきこと」「まだ未確定の点」の3つを分けて書き留めると、伝えるときの誤解を減らせる 口頭だけに頼らず資料をそのまま見せる、その場で答えを作らずに持ち帰る、という2つの姿勢が役に立つ 相続の相談に、家族の代表者だけで、あるいは一部の家族だけで行くことは珍しくありません。誰と一緒に行くかを決めた後、実は同じくらい大事なのが、聞いてきた内容を同席しなかった家族へどう伝えるかです。結論から言うと、ここで工夫をしておかないと、「言った」「言っていない」という行き違いが起きやすくなります。この記事では、紛争になったときの言い分の話ではなく、あくまで正確に情報を共有するためのコツとして整理します。 ...

2026年8月30日 · ひぐらしさとし

固定資産税は毎年見直されるの?──3年に1度の『評価替え』と据置年度のしくみ

この記事の要点 固定資産税評価額は原則として3年に1度(基準年度)に見直され(評価替え)、残りの2年間(据置年度)は同じ価格が据え置かれる 据置年度中でも、地目の変換や家屋の増改築など特別の事情があれば例外的に価格が修正されるほか、土地には地価が下落した場合に対応する修正の仕組みもある 相続や売買で登記名義が変わっても評価額や税額がすぐには動かないことがあるのは、評価替えの周期と「賦課期日」という別のルールが関係している 「去年の固定資産税の納税通知書と、今年届いた通知書を見比べたら、評価額の欄がまったく同じ数字だった」というお話や、逆に「特に何もしていないのに評価額が上がっていた」というお話を伺うことがあります。実はどちらも、固定資産税評価額が3年に1度まとめて見直される、という制度の仕組みによるものです。なお、本記事は評価替え・据置年度の一般的なしくみをご説明するものであり、個々の土地・家屋について評価額がどう計算されるか、具体的な税額がいくらになるかといった試算は行いません。あらかじめご了承ください。 ...

2026年8月30日 · ひぐらしさとし

土地家屋調査士試験 試験対策 第129回──登記簿の附属書類の閲覧及び図面の写しの交付/土地家屋調査士の使命及び職責/境界線付近の建築の制限/測量成果・測量記録及び測量標の意義/分筆に伴う権利の消滅の登記

問題: 登記簿の附属書類の閲覧及び写しの交付に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。 ア. 政令で定める図面である土地所在図、地積測量図、地役権図面、建物図面及び各階平面図については、何人も、登記官に対し、手数料を納付して、その全部又は一部の写しの交付を請求することができる。 ...

2026年8月30日 · ひぐらしさとし

後継者を決めないまま亡くなると何が起きるか──株式分散の実例と生前にできること

この記事の要点 会社に後継者がいないまま経営者が死亡すると、株式が複数の相続人に分散し、取締役の選任すら決議できなくなることがある 一人会社では取締役がゼロになり、経営者保証・役員貸付金・死亡退職金といった「お金」の整理も同時に降りかかる 生前にできる備えとして、遺言での株式承継先の指定・計画的な生前贈与・種類株式の活用があり、事業承継税制という税の優遇制度も存在する(適用可否は税理士へ) 株式分散の実例は一般化した典型パターンの紹介にとどめる。個別の紛争解決は専門家への相談が必要 「後継者を決めないまま社長に万一のことがあったら、会社はどうなるのか」──多くの中小企業経営者が漠然と抱えながら、後回しにしがちな問いです。 ...

2026年8月30日 · ひぐらしさとし

親の土地に家を建てるとき──「使用貸借」のままだと相続で何が起きるか

この記事の要点 親の土地を無償で借りて家を建てる関係は「使用貸借(しようたいしゃく)」といい、貸主(親)が亡くなっても、それだけで契約が当然に終わるわけではないとされています ただし「終わらない」は「ずっと続く」ではなく、使い道に従って使用・収益をするのに足りる期間が経過すれば、貸主の側から契約を解除できるとされています(民法598条1項) また、貸主が亡くなれば土地そのものは相続財産となり、きょうだいなど他の相続人との遺産分割の対象になり得ます 自分の家が建っている土地を、自分以外の相続人が取得する事態も制度上はあり得るため、早い段階で家族間の話し合いを始めておくことが大切です 「親の土地に家を建てさせてもらっている。地代も家賃も払っていない」——こうした関係は、法律上は「使用貸借(しようたいしゃく)」と呼ばれる契約にあたります。契約書を交わしていなくても、口約束や暗黙の了解だけで成り立っている使用貸借は少なくありません。 ...

2026年8月30日 · ひぐらしさとし

遺言執行者が引き受けるかどうか分からないとき──『相当の期間』を定めて返事を求める催告のしくみ

この記事の要点 遺言書に遺言執行者として名前が書かれていても、その人が引き受けるかどうかは本人の自由で、断ることもできる 返事がないまま止まってしまうときは、相続人などが「相当の期間」を定めて確答を求める催告ができ、期間内に返事がなければ承諾したものとみなされる 承諾したあとは「直ちに」任務を始め、「遅滞なく」相続人へ遺言の内容を通知する義務がある 遺言書に「遺言執行者に指定する」と名前が書かれていても、それだけで手続きが自動的に始まるわけではありません。遺言執行者に指定された人が実際に**引き受ける(就任を承諾する)**かどうかは、本人の意思次第です。承諾する義務はなく、断ることもできます。 ...

2026年8月29日 · ひぐらしさとし

戸籍の旧字体・異体字とは?──相続登記で氏名の字が戸籍ごとに違うときの考え方

この記事の要点 明治・大正期の手書き戸籍には、旧字体や異体字で書かれた氏名が数多く残っている 相続で複数世代の戸籍をつなげていくと、同じ人物なのに戸籍ごとに氏名の字体が違って見えることがある 字体の違いだけで別人・誤記と決めつけず、生年月日・父母の氏名・本籍の変遷など他の記載事項を突き合わせて同一人物かどうかを確認する 相続の手続きでは、亡くなった方の戸籍を死亡時から出生時までさかのぼって集める必要があります。何代分もの戸籍を並べていくと、同じ人物のはずなのに、戸籍ごとに氏名の漢字の形が違って見えることがあります。「高橋」の「高」が古い戸籍では「髙」(はしごだか)になっている、「澤田」が後の戸籍では「沢田」になっている――このような食い違いに気づいたとき、誤記や別人ではないかと不安になる方は少なくありません。 ...

2026年8月29日 · ひぐらしさとし

土地家屋調査士試験 試験対策 第128回──建物の合体による登記等/非調査士等の取締り/水流に関する相隣関係/測量業者の登録制度/建物の分割・区分・合併の登記

問題: 二以上の建物が合体して一個の建物となった場合の登記に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。 ア. 合体前の二以上の建物がいずれも表題登記がある建物であるときは、当該建物の表題部所有者が、合体の日から一月以内に、合体後の建物についての建物の表題登記及び合体前の建物についての建物の表題部の登記の抹消を申請しなければならない。 ...

2026年8月29日 · ひぐらしさとし

死亡退職金と弔慰金のきほん──受取人と相続財産の関係(税額は税理士へ)

この記事の要点 死亡退職金は、会社に役員退職慰労金規程や慶弔規程があるかどうかで、受取人の定まり方が変わる 規程がなく、亡くなるたびに株主総会の決議だけで支給を決めている場合は、相続財産にあたるかどうかが問題になり得る 死亡退職金と弔慰金は性格の異なるお金であり、扱いも分けて考える必要がある 遺産分割協議書に載せるかどうかは、受取人の定まり方によって変わる。税額の計算・申告は税理士へ 「役員が亡くなり、死亡退職金を支給することになった。この退職金は、遺産分割の話し合いに入れるべきものなのか、それとも別扱いでよいのか」──会社側でも遺族側でも、判断に迷いやすい場面です。 ...

2026年8月29日 · ひぐらしさとし