問題: 所有権の登記がある一筆の土地について、その一部を分割して別の地番の土地とする分筆登記の申請は、登記権利者と登記義務者の共同申請によるか、それとも所有権の登記名義人の単独申請によるか。
答え: 所有権の登記名義人の単独申請による(表示に関する登記であり、申請適格者は表題部所有者又は所有権の登記名義人)。
解説: 分筆登記は表示に関する登記の一種であり、不動産登記法39条1項は「表題部所有者又は所有権の登記名義人は、その一筆の土地の一部について分筆の登記の申請をすることができる」と定める。表示に関する登記は権利登記(共同申請が原則・不動産登記法60条)とは別系統であり、表題部所有者又は所有権の登記名義人の単独申請による。
申請に必要な主な添付情報(不動産登記令別表8項添付情報欄):
- 申請人を表示する書類(資格証明・代理権限証明)
- 地積測量図(必須添付情報・不動産登記規則77条・78条)
- 申請人の印鑑証明書(書面申請の場合・不動産登記令17条)
地積測量図は分筆登記の必須添付情報であり、これを欠くと申請却下事由となる。地積測量図の縮尺は原則250分の1(不動産登記規則77条2項)。
分筆登記の効果:
- 分割後の各土地に独立した地番が付与される
- 各土地が独立した登記簿(表題部・甲区・乙区)を持つに至る
- 所有権以外の権利(抵当権・地役権等)は原則として分筆後の各土地に承継される(不動産登記法40条、不動産登記規則74条による地役権登記の処理など)
中級論点として頻出するのは、(i)分筆登記と地積更正登記の同時申請の処理、(ii)分筆後に承継される地役権の登記処理(承役地分筆の場合)、(iii)実務上の前提となる隣接地所有者の筆界確認書(登記法上の必須添付ではないが、実務上不可欠)の取扱い。
問題: 土地家屋調査士法人を設立する場合、社員(出資者)は何人以上必要であり、社員の資格には制限があるか。
答え: 社員は1人以上で足り、社員は全員が調査士でなければならない。
解説: 土地家屋調査士法人は、土地家屋調査士法26条以下に基づき設立される法人形態である。令和元年改正(令和2年8月1日施行)により、従前2人以上必要だった社員数要件は1人以上に緩和され、いわゆる「一人法人」が許容された。
主な要件:
- 社員数:1人以上(土地家屋調査士法26条以下、令和元年改正後)
- 社員の資格:全員が調査士であること(土地家屋調査士法28条)
- 業務範囲:土地家屋調査士法3条1項各号の業務(同条2項に基づくADR代理関係業務は所属社員のうちADR認定調査士のみが取り扱える)
- 登録:日本土地家屋調査士会連合会の名簿に登録(土地家屋調査士法32条)
- 法人の登記:商業登記簿に法人登記(設立・解散・社員変更等)
調査士法人は合同会社に類似した社員責任構造を持ち、社員は法人の業務に関して連帯責任を負う場面がある(条文構造は調査士法と合同会社法準用規定で整理)。
中級論点として頻出するのは、(i)社員と使用人調査士の区別(社員は出資者、使用人は雇用関係の調査士)、(ii)主たる事務所と従たる事務所の登記、(iii)業務取扱地域に制限がない点(個人開業の調査士も同じ)、(iv)社員調査士の懲戒と法人の業務停止の関係。
なお、調査士法人とよく対比される司法書士法人も社員1人以上で足りる構造であり、士業法人は概ね同様の規制体系をとっている。
問題: 通行地役権について、民法283条による時効取得を主張するためには、どのような要件が必要とされているか。
答え: 継続的に行使され、かつ外形上認識することができる地役権であること(民法283条)。通行地役権では、通路の開設が要役地所有者によりなされていることが必要(最判昭和30年12月26日民集9巻14号2097頁)。
解説: 民法283条は「地役権は、継続的に行使され、かつ、外形上認識することができるものに限り、時効によって取得することができる」と定める。これを通行地役権に当てはめると、次の要件整理になる。
- 継続性:通行が一定期間継続していること(中断がないこと)
- 表現性:通路の存在が外形上明らかであること(敷石、舗装、橋等の物理的構築物の存在)
判例は通行地役権の時効取得の要件として、通路の開設が要役地所有者によりなされたことを求める(最判昭和30年12月26日民集9巻14号2097頁、最判昭和33年2月14日民集12巻2号268頁)。承役地所有者が自ら設置した通路をたまたま通行しているだけでは、要件を満たさないとされる。
時効取得期間は、占有開始時に善意・無過失であれば10年、悪意又は有過失であれば20年(民法283条が民法162条の時効取得規定を準用する整理)。
調査士試験での出題ポイント:
- 「通路を誰が開設したか」を問う引っかけ
- 「外形上認識可能か」の客観的判断基準(自然発生的な踏み分け道は不可)
- 時効取得した通行地役権の対抗要件(民法177条により登記が必要)と承役地譲渡時の取扱い
調査士業務との関連では、境界確認の現場で「先代から通っている道がある」「地役権設定登記はない」というケースに遭遇することがある。時効取得の可能性と登記の有無を整理して対応する必要がある。
問題: 平面直角座標系において、点A(100.000, 100.000)、点B(300.000, 300.000)、点C(100.000, 300.000)、点D(300.000, 100.000)が与えられたとき、直線ABと直線CDの交点Pの座標を求めよ。座標値は小数第3位まで求めること。
答え: P(200.000, 200.000)
解説: 2直線の交点を求めるには、各直線の方程式を立てて連立方程式を解く方法が確実である。
直線ABの方程式
傾き: $$m_{AB} = \frac{Y_B - Y_A}{X_B - X_A} = \frac{300 - 100}{300 - 100} = 1$$
y切片:$b_{AB} = Y_A - m_{AB} \cdot X_A = 100 - 1 \times 100 = 0$
よって直線ABの式は $y = x$ ……①
直線CDの方程式
傾き: $$m_{CD} = \frac{Y_D - Y_C}{X_D - X_C} = \frac{100 - 300}{300 - 100} = -1$$
y切片:$b_{CD} = Y_C - m_{CD} \cdot X_C = 300 - (-1) \times 100 = 400$
よって直線CDの式は $y = -x + 400$ ……②
連立して解く
①②より $x = -x + 400$ → $2x = 400$ → $x = 200.000$
これを①に代入して $y = 200.000$
よって交点P(200.000, 200.000)
別解:媒介変数表示
直線ABの媒介変数表示:$(X_A + t(X_B - X_A), Y_A + t(Y_B - Y_A)) = (100 + 200t, 100 + 200t)$
直線CDの媒介変数表示:$(X_C + s(X_D - X_C), Y_C + s(Y_D - Y_C)) = (100 + 200s, 300 - 200s)$
交点の条件は、X座標とY座標が一致することなので:
$100 + 200t = 100 + 200s$ → $t = s$
$100 + 200t = 300 - 200s$ → $400t = 200$ → $t = 0.500$
よってP $(100 + 200 \times 0.5, 100 + 200 \times 0.5) = (200.000, 200.000)$
実務上の注意
- 直線がX軸に垂直(X座標が一定)な場合は傾きの式が使えないため、媒介変数表示で処理するか、X=一定として別個に処理する
- 2直線が平行な場合(傾きが等しい)は交点が存在しない(または無数)ため、別途の処理が必要
- 連立方程式の解の有無は事前にチェックする習慣をつけたい
調査士試験では、隣接2筆の境界線の交点、用地境界と道路境界の交点、地役権設定範囲の境界線の交点など、2直線交点を求める場面が頻出する。電卓は**関数電卓持ち込み可(プログラム機能なし・2台まで)**であるため、連立方程式を手早く処理できる練習が必要。
問題: 建物の登記事項としての階数は、地下階を含めて数えるか。また、屋上にある階段室・エレベーター機械室・水槽室といった付帯施設は階数に含まれるか。
答え: 地下階は階数に含まれる(不動産登記規則114条)。屋上の階段室等の付帯施設は、原則として階数に含まれない(不動産登記事務取扱手続準則80条等の運用)。
解説: 建物の階数は登記事項のうち重要な要素で、不動産登記法27条3号により表題部の必要的記載事項とされる。具体的な表示方法は不動産登記規則114条が定め、「地上階数」と「地下階数」を区別して表示する(例:「地上3階建」「地上3階地下1階建」)。
階数の認定基準(運用は不動産登記事務取扱手続準則80条等で整理):
- 地下階:床から地盤面までの高さが、その天井高の1/3以上のもの。地下階は階数に含まれる。
- 屋上塔屋(屋階・PH):階段室・エレベーター機械室・水槽室など、その階の水平投影面積が建築面積の1/8以下である付帯施設は階数に含めない。一方、住居・事務所として独立して使用される塔屋(一般居室や事務所として機能する場合)は階数に含まれる。
- 小屋裏物置(ロフト):建築基準法上のロフトの要件(最高天井高1.4m以下、設置階の床面積の1/2未満、固定階段が原則不可など)を満たせば、階数・床面積に算入しない。
- メゾネット型区分建物:上下2階にまたがる専有部分の場合、建物全体としての階数表示と専有部分の階数表示を整理して記載する必要がある。
実務的注意
- 階数の認定で迷う場合(特に塔屋・小屋裏)は、登記官の判断によって補正が出ることがある
- 建築確認申請上の階数と登記簿上の階数は基本的に一致するが、後の増改築で差異が生じることがある
- 表題部変更登記(増築等)の場面で、階数変更が必要かどうかの判断が問題となる
調査士業務との関連では、建物の表題登記・表題部変更登記(増築等)における階数認定が中心論点。建物図面・各階平面図(不動産登記規則82条・83条)の作成でも、階数の表示は必須であり、認定の正確性が業務品質に直結する。
出題分野の振り分け
| 問 | 分野 | 論点 |
|---|---|---|
| 第1問 | 不動産登記法(表示・土地) | 分筆登記の申請適格と添付情報 |
| 第2問 | 土地家屋調査士法 | 調査士法人の社員要件 |
| 第3問 | 民法(物権・地役権) | 通行地役権の時効取得の要件 |
| 第4問 | 測量(座標計算) | 2直線の交点座標計算 |
| 第5問 | 不動産登記法(表示・建物) | 建物の階数の認定基準 |