登記申請は窓口・郵送・オンラインのどれで出す?──3つの出し方と受付のタイミング

この記事の要点 法律が定める申請の方法は「オンライン」と「書面の提出」の2つ。書面の提出には窓口への持参と郵送があるため、実際の出し方は3通りになる 受付は、申請の情報が法務局(登記所)に届いたときにされる。オンラインで送信できる時間帯と、登記所で受付がされる時間帯は別物 郵送は書留郵便など記録が残る方法で送り、封筒の表面に不動産登記の申請書が入っている旨を明記する決まりがある 不動産の登記申請書は、どこにどうやって出せばよいのでしょうか。結論から言えば、法律が定める申請の方法は「オンライン」と「書面を提出する方法」の2つで、書面を提出する方法の中に窓口への持参と郵送があります。つまり実際の出し方は3通りです。 ...

2026年8月27日 · ひぐらしさとし

経営者の連帯保証は相続される──会社の借金と経営者保証ガイドラインの入口

この記事の要点 会社の借金そのものは会社の債務であり、社長が亡くなっても相続人には引き継がれない ただし社長が個人として結んでいた連帯保証(経営者保証)は相続の対象になり、相続分に応じて分割して引き継がれるのが原則 継続的な融資をまとめて保証する「個人根保証契約」は、保証人の死亡によって元本が確定する(民法465条の4)=亡くなった後の新たな借入まで保証が広がることはない 対処の選択肢として相続放棄・限定承認があり、期限は原則3か月。どれを選ぶべきかは個別の事情による 金融機関との交渉や保証債務の整理方針は弁護士の領域。「経営者保証に関するガイドライン」という枠組みの存在も知っておきたい 会社を経営していた家族が亡くなったとき、遺された方が最も不安に感じることのひとつが「会社の借金はどうなるのか」という問題です。 ...

2026年8月27日 · ひぐらしさとし

隣の空き家が倒れそうなとき、苦情はどこに?──相談先と使える制度の整理

この記事の要点 隣の空き家が危険な状態のとき、最初の相談先は市区町村の空き家担当窓口です。空家等対策特別措置法にもとづき、市区町村が所有者への助言・指導や勧告などを行う仕組みがあります 空き家の所有者(名義人)は、法務局で登記事項証明書を取れば手がかりがつかめます。手数料を払えば誰でも取得できます 所有者が分からない場合や、分かっていても管理してもらえない場合には、裁判所に管理人を選んでもらう民法上の管理制度(所有者不明建物管理制度・管理不全建物管理制度)が使える可能性があります 実際に被害が出た・出そうな場合の損害賠償請求や差止め、所有者との交渉は、弁護士に相談するのが確実です 「どの窓口に何を相談するか」をまず整理するのが、解決への近道です 台風のたびに、隣の空き家の屋根材が飛んでこないか不安になる。壁が傾いてきて、いつ倒れてもおかしくない──。そんなとき、「苦情はどこに言えばいいのか」「そもそも誰に言えばいいのか」が分からず、悩んでいる方は少なくありません。 ...

2026年8月27日 · ひぐらしさとし

相続の相談で言いにくいこと──借金・疎遠な相続人・再婚歴ほど先に伝えたい理由

この記事の要点 借金・疎遠な相続人・前婚の子など「言いにくい事情」ほど、最初の相談で伝えたほうが手続きがスムーズに進みます 戸籍や登記を集める過程で明らかになることが多く、後から分かると段取りがやり直しになりかねません 司法書士には法律上の守秘義務があり、正当な事由がある場合でなければ、業務上知ることのできた秘密を他に漏らすことはできません(司法書士法24条) 相続の相談、何から話せばいいか分からないときは、話す中身をどう整理するかという「順序」の記事でした。今回はその一歩手前、「言いにくいけれど、実は最初に伝えたほうがよい事情」に絞って整理します。 ...

2026年8月26日 · ひぐらしさとし

亡くなった親の固定資産税は誰が払う?──『相続人代表者指定届』のしくみ

この記事の要点 固定資産税は毎年1月1日時点の登記名義人等に課税される「賦課課税」の税金。名義人が亡くなり相続登記がまだの間も、課税自体は続く 誰が納税通知書を受け取るかを市区町村に届け出る制度が「相続人代表者指定届」(地方税法9条の2第1項)。すべての相続人またはその相続分のうちに明らかでないものがあり、かつ、相当の期間内に届出がないときは、市区町村長が相続人の一人を職権で指定できる(同条2項) この届出はあくまで書類の受取人を決めるものであり、相続登記の代わりにはならず、相続人の納税義務・税額を変えるものでもない 相続で不動産を共有名義にした場合の固定資産税は、すでに相続登記を終えて共有名義になった後、誰が連帯して納めるかという話でした。今回取り上げるのは、それより一歩手前の場面です。親などの名義人が亡くなった直後、相続登記がまだ済んでいない間、市区町村から届く固定資産税の納税通知書は、いったい誰に送られてくるのか、という疑問です。 ...

2026年8月26日 · ひぐらしさとし

一人会社の社長が亡くなったら──後継者がいない会社はどうなる?

この記事の要点 取締役1名・株主1名の「一人会社」で社長が亡くなると、会社には取締役も代表者も誰もいない状態が生じる 緊急の対応策として、裁判所に一時取締役・一時代表取締役の選任を申し立てる方法がある(会社法346条2項・351条2項)。申立ての代理は弁護士、裁判所へ提出する書類の作成は司法書士という役割分担がある 株式は相続人に引き継がれるため、相続人が株主として新しい取締役を選ぶ道筋もある 誰も引き継がない場合は解散・清算という選択肢になるが、清算人も自動的には決まらない点に注意が必要 放置すると役員変更登記の懈怠で過料の対象になり、最終的には休眠会社として強制的に解散させられることもある 「社長がすべてを兼ねている」会社は、中小企業では珍しくありません。取締役が1人だけで、その人がほぼ全部の株式も持っている──いわゆる一人会社です。効率的に経営できる反面、その1人に万一のことがあったとき、会社の意思決定を担う人が文字どおり誰もいなくなるという弱点を抱えています。 ...

2026年8月26日 · ひぐらしさとし

管理不全土地・建物管理制度とは──荒れ放題の隣地に裁判所から管理人

この記事の要点 持ち主は分かっているのに管理が行き届かず、他人の権利・利益が侵害されている(またはそのおそれがある)とき、裁判所に管理人を選んでもらえる制度があります(民法264条の9・264条の14。2023年4月1日施行) 申立てができるのは「利害関係人」。被害を受けている(受けるおそれのある)隣地の所有者などが該当し得ます 管理人が処分(売却など)を行うには、裁判所の許可に加えて所有者本人の同意が必要です。所有者が分からない場合の制度とは、この点が大きく異なります 裁判所は原則として、対象となる土地・建物の所有者の言い分(陳述)を聴いたうえで判断します 申立てにあたっては、管理費用に充てるお金(予納金)を納めるのが通常です 隣の土地が何年も手入れされず、雑草や枝が敷地にはみ出し、建物は今にも崩れそう。持ち主が誰かは分かっている、あるいは連絡もつく。それでも管理をしてもらえない──そのような場合に使える可能性があるのが、この記事で解説する「管理不全土地・建物管理制度」です。 ...

2026年8月26日 · ひぐらしさとし

お墓や仏壇は相続財産に入らない?祭祀財産の承継者の決まり方と引き継ぎの段取り

この記事の要点 お墓・仏壇・位牌・家系図などの「祭祀財産」は相続財産と別扱いで、遺産分割の対象になりません(民法897条) 承継者は、①亡くなった方の指定 → ②指定がなければ慣習 → ③慣習が明らかでないときは家庭裁判所、の順で決まります 引き継いだ後は、墓地の使用者名義の変更(霊園・寺院への届出)など実務の段取りが必要です 結論から言うと、お墓や仏壇は、預貯金や不動産のような「相続財産」には入りません。家系図や過去帳(系譜)、仏壇・位牌・神棚(祭具)、お墓や墓地の使用権(墳墓)は、まとめて「祭祀財産(さいしざいさん)」と呼ばれ、民法897条により相続とは別の仕組みで引き継がれます。相続財産ではないので、遺産分割協議で分ける対象にもなりません。なお、この記事は執筆時点(2026年8月)の制度に基づく一般的な解説です。 ...

2026年8月25日 · ひぐらしさとし

戸籍の「筆頭者」とは?──亡くなっても変わらない理由と、戸籍を請求するときの使い方

この記事の要点 筆頭者とは、戸籍の最初に記載される人のことで、その戸籍を特定するための「見出し(索引)」の役割を持ちます 筆頭者が亡くなっても筆頭者は変わりません。戸籍から除かれた後も、見出しとしてそのまま使われ続けます(戸籍法9条) 戸籍を請求するときは「本籍地+筆頭者の氏名」のセットで戸籍を特定します。相続の戸籍集めでは、この2つを押さえることが出発点になります 相続の手続きで戸籍を集めようとすると、請求書に「筆頭者」という欄があって手が止まる──よくあるつまずきです。結論からいうと、筆頭者とは戸籍のいちばん最初に記載されている人のことで、その戸籍を探し当てるための「見出し」にすぎません。世帯主のような役割でも、家族の代表でもありません。 ...

2026年8月25日 · ひぐらしさとし

自社株の相続と議決権──株式が分散すると会社が動かなくなる理由

この記事の要点 経営者が亡くなって自社株が複数の相続人に分散すると、普通決議(過半数)・特別決議(3分の2以上)の数字が揃わず、役員選任や定款変更が進められなくなることがある 遺産分割がまとまるまでの株式は相続人全員の準共有(共同で持ち合う状態)となり、権利行使者を1人定めて会社に通知しなければ、原則として議決権を行使できない(会社法106条) 会社側の対応策として「相続人等に対する売渡請求」(会社法174条)があるが、定款の定め・特別決議・1年の期限・価格の協議という条件と限界がある 最も確実なのは、経営者が元気なうちに株式を後継者へ集約しておくこと 中小企業の経営者が亡くなったとき、会社にとって最も深刻な影響のひとつが、自社株(経営者が持っていた自社の株式)の分散です。株式が複数の相続人に分かれて承継されると、株主総会で必要な賛成の数が揃わなくなり、役員の選任すら決められない──つまり「会社が動かなくなる」事態が現実に起こりえます。 ...

2026年8月25日 · ひぐらしさとし