隣地使用権とは──工事や測量で「お隣の土地に入る」ときのルール

この記事の要点 隣地使用権は、境界標の調査・測量や、塀・建物の築造・修繕などのために、必要な範囲でお隣の土地を使わせてもらえる民法上の権利 使える目的は限定されており、あらかじめ目的・日時・場所・方法を通知する必要がある 住まいとして使われている建物に立ち入るときは、居住者の承諾が別途必要 隣地の所有者や使用者が損害を受けたときは、償金(金銭による償い)を請求できる 「境界標の調査で測量士さんがお隣の土地に立ち入ると言っている」「塀を建て替えるのに、どうしてもお隣側から作業しないといけない」――こうした場面で出てくるのが「隣地使用権」です。 ...

2026年8月23日 · ひぐらしさとし

相続の相談、本人が体調不良や遠方で行けないときは家族だけでもいい?

この記事の要点 本人が体調や距離の事情で同行できないときも、まず家族だけで状況や進め方を聞いてもらうこと自体は一般的にできる ただし正式に手続きを依頼する段階では、原則として本人の意思確認が必要になる 家族だけで相談に行くときは、本人が同行できない理由と、本人がこれまでどう考えているかを整理しておくとスムーズ 入院中や施設入所中、あるいは遠方に住んでいるなどの事情で、本人が相談の場に同行できないことは珍しくありません。結論から言うと、こうした場合でもまずは家族だけで相談に行き、状況や今後の進め方について話を聞いてもらうこと自体は、多くの事務所で一般的に対応してもらえます。相続や登記の相談は、その場で契約を結ぶ場に限らず、状況整理や見通しを聞く場でもあるためです(相談と依頼の違いについては相談したら必ず依頼しないといけない?もあわせてご覧ください)。 ...

2026年8月22日 · ひぐらしさとし

固定資産税の『免税点』とは──小さな土地でも税金がかからないことがある仕組み

この記事の要点 固定資産税には「免税点」があり、土地30万円未満・家屋20万円未満・償却資産150万円未満なら原則として課税されない 免税点は一筆・一棟ごとではなく、同じ市区町村内でその人が持つ土地全体(または家屋全体)の合計額で判定される(共有名義の持分の取扱いは別途確認が必要) 令和9年度(2027年度)分から家屋の免税点は30万円、償却資産は180万円に引き上げられる(土地の30万円は据え置き) 「納税通知書が来ない=相続登記もしなくていい」ではない点に注意 固定資産税の納税通知書が届かない土地がある、というご相談を受けることがあります。山林や評価額の低い小さな土地などで起こりやすい現象で、その理由のひとつが、地方税法が定める「免税点」という仕組みです。ただし、通知が届かない理由は免税点だけとは限らず、公共の用に供する道路のようにそもそも非課税とされている場合など、別の理由によることもあります。 ...

2026年8月22日 · ひぐらしさとし

土地家屋調査士試験 試験対策 第121回──土地家屋調査士法人/継続的給付を受けるための設備の設置権等/共有物の分割及び持分の放棄/筆界特定の申請の却下/永久標識及び一時標識に関する通知

問題: 土地家屋調査士法人に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。 ア. 調査士は、土地家屋調査士法第五章の定めるところにより、調査士の業務を行うことを目的とする法人である土地家屋調査士法人(以下「調査士法人」という。)を設立することができ、調査士法人の社員は、調査士でなければならない。 ...

2026年8月22日 · ひぐらしさとし

貸金庫の相続──相続人の一人だけでは開けられない理由

この記事の要点 貸金庫の開扉には、銀行実務上、原則として相続人全員の同意(または遺言執行者の権限)が求められる 中身が分からないと遺産分割協議書に書けないジレンマがあり、公証人の事実実験公正証書で内容を記録する方法がある 遺言書を貸金庫に保管していると、開扉に手間取り遺言の実行が遅れるおそれがある 亡くなった方が銀行の貸金庫(貸金庫室・セーフティボックスとも呼ばれます)を借りていた場合、相続人の一人が「自分だけで開けて中を確認したい」と思っても、それは基本的にできません。銀行は名義人の死亡を確認すると口座と同じように貸金庫の利用も止め、相続人全員の同意がそろうまで開扉に応じないのが一般的な取扱いだからです。 ...

2026年8月22日 · ひぐらしさとし

隣の木の枝が越境してきたら──2023年民法改正で「自分で切れる」ようになった条件

この記事の要点 令和5年(2023年)4月1日施行の民法改正で、一定の条件を満たせば隣地の木の枝を自分で切除できるようになった 条件は「催告しても切除されない」「所有者が分からない」「急迫の事情がある」の3つのうちいずれか一つ 木の根は改正前から変わらず自分で切り取れる。実際にもめている場合は弁護士にご相談ください 切るために隣地に立ち入る必要があるときは、あらかじめ隣地の所有者などへの通知が必要(民法209条) 「隣の家の木の枝が、うちの敷地にどんどん伸びてきている」「柿の実が越境した枝になっていて、落ち葉の掃除も負担」――こうした境界をまたぐ木の枝のトラブルは、昔からよくある近隣間のもめごとの一つです。 ...

2026年8月22日 · ひぐらしさとし

亡くなった方の預金を放置すると「休眠預金」に?──10年ルールと相続手続きの段取り

この記事の要点 2009年1月1日以降の取引を最後に、10年以上「異動」のない預金は「休眠預金」として預金保険機構に移管されることがあります 移管後も、取引のあった金融機関の窓口で払戻しを請求でき、相続人も請求できます(お金を受け取れなくなるわけではありません) ただし窓口での手続きに時間と書類が余計にかかるため、相続では早めに口座を洗い出し、解約まで進めておくのが段取りの基本です 亡くなった方の預金口座を長く放置していても、預金が没収されてしまうわけではありません。ただし、10年以上取引のない預金は「休眠預金」として預金保険機構に移管されることがあり、払い戻すために窓口での手続きが必要になるなど、手間と時間が余計にかかるようになります。相続手続きの段取りとしては、口座を早めに洗い出して解約まで済ませておくことが大切です。 ...

2026年8月21日 · ひぐらしさとし

戸籍謄本と戸籍抄本の違い──相続の手続きで「抄本では足りない」と言われる理由

この記事の要点 戸籍謄本は「その戸籍に載っている全員分の写し」、戸籍抄本は「その戸籍のうち一部の人だけの写し」です 相続の手続きでは、誰が相続人かを戸籍全体で確認する必要があるため、原則として謄本(全部事項証明書)が必要です コンピュータ化後の正式名称は「全部事項証明書」「個人事項証明書」ですが、窓口では今も「謄本」「抄本」で通じます 結論からいうと、相続の手続きで使う戸籍は、原則として謄本(全部事項証明書)をそろえます。抄本を取ってしまい、あとで取り直しになるのはよくあるつまずきです。なお、本記事は執筆時点(2026年8月)の制度に基づく一般的な解説です。 ...

2026年8月21日 · ひぐらしさとし

土地家屋調査士試験 試験対策 第120回──区分建物の敷地権/土地家屋調査士会の組織と権限/共有物の使用・管理・変更/登記所に備え付けられる地図等/基本測量及び公共測量以外の測量

問題: 区分建物の敷地権に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものはいくつあるか。 ア. 不動産登記法上の「敷地権」とは、区分建物について、建物の区分所有等に関する法律に規定する敷地利用権(登記されたものに限る。)であって、区分所有者の有する専有部分と分離して処分することができないものをいう。 ...

2026年8月21日 · ひぐらしさとし

信用金庫・農協の「出資金」も相続財産です──見落としやすい小口財産

この記事の要点 信用金庫・信用組合・農協(JA)・生協の「出資金」は、預金とは別建ての財産で、相続財産に含まれる 出資金には通帳がないため見落とされやすい。毎年届く「配当金のお知らせ」や決算関係の通知、出資証券が手がかりになる 相続時の選択肢は大きく二つ。持分の払戻しを請求するか、名義書換(組合員資格の承継)をするか 名義書換には組合員資格の要件(地区内に住んでいる・事業を営んでいる等)があり、詳細は各組合の定款によって異なる 具体的な手続きは各金融機関・組合の窓口で、相続全体の段取りはお近くの司法書士に確認するのが安心 亡くなった方が信用金庫や農協(JA)と取引していた場合、預金のほかに「出資金」という財産が残っていることがあります。出資金は預金とは別建ての財産で、相続財産に含まれます。金額は数千円から数万円程度の小口であることが多いのですが、通帳がないため相続手続きから漏れやすい財産の代表格です。 ...

2026年8月21日 · ひぐらしさとし