後継者に株を生前贈与する──贈与契約・株主名簿の書換え・事業承継税制の入口(税理士へ)

この記事の要点 自社株の生前贈与は、①贈与契約(書面で残すのが基本)→②譲渡制限株式なら会社の譲渡承認→③株主名簿の名義書換、の順で進みます。株券発行会社では、株券が発行済みなら、それを渡さなければ株式を移す効力が生じません(会社法128条1項) 譲渡制限株式は、相続で取得した場合と違い、贈与で取得した場合は会社の承認がないと原則として名義書換を請求できません(会社法134条) 株主が誰かは登記簿に載りません。株式を贈与しても登記は不要ですが、名義書換をしないと、後継者は会社に「自分が株主だ」と主張できません(会社法130条) 名義書換は、原則として贈与した経営者と後継者が共同で請求します。経営者が元気なうちに、贈与とセットで済ませておくのが基本です 贈与税・株式の評価・事業承継税制は税理士、遺留分(法律で保障された最低限の取り分)をめぐるもめごとは弁護士の領域です。贈与を実行する前に確認しておきましょう 経営者の方に知っておいてほしいのは、自社株の生前贈与は「贈与契約を結んで終わり」ではない、ということです。株式に譲渡制限(会社の承認がないと譲渡できない定め)がある会社では会社の承認を受け、最後に会社の株主名簿を書き換えて、はじめて後継者が会社に対して株主として扱われます。そして、この一連の動きは法務局の登記簿には現れません。 ...

2026年10月24日 · ひぐらしさとし

自社株を誰に遺すか──経営者の遺言の書き方と「相続させる」株式の名義書換

この記事の要点 自社株を特定の後継者に渡したいなら、遺言で「どの会社の、どの種類の株式を、何株(または全部)」と特定して書くのが出発点です 後継者が相続人なら「相続させる」と書く遺言が一般的です。この場合、株式に譲渡制限(会社の承認がないと譲渡できない定め)があっても、会社の承認を受けずに株主名簿の名義書換を請求できます(会社法134条4号) 遺言執行者(遺言の内容を実現する役目の人)を遺言で決めておくと、名義の書き換えなどの手続きを進める役を担える場面があります 株主名簿の名義書換は会社の中の手続きで、登記ではありません。亡くなった経営者が取締役・代表取締役だった場合は、役員の変更登記が別に必要です(2週間以内) 株の値段の評価や相続税は税理士、遺留分(最低限の取り分)をめぐるもめごとは弁護士、公正証書遺言の作成は公証人の役割です 経営者が遺言を残さずに亡くなると、自社株は相続人全員で共有する状態(「準共有」)になり、遺産分割がまとまるまで株主としての権利を使うことにも手間がかかります。これを避けるもっとも基本的な備えが、遺言で「誰に」「どの株式を」渡すかを決めておくことです。 ...

2026年10月22日 · ひぐらしさとし

非上場株式を相続したら──取引相場のない株の名義書換と少数株主の現実

この記事の要点 非上場株式を相続しても会社の承認は不要だが、会社が定款で定めていれば「売渡請求」を受けることがある 株主としての権利を会社に主張するには、株主名簿の名義書換(めいぎかきかえ)が必要 配当も売却先もないまま少数株主になるケースは珍しくなく、対応は早めの整理が肝心 「親が中小企業の株を少し持っていた。相続財産の一覧に出てきたが、上場株のように証券会社に問い合わせれば済む話ではないらしい」──非上場株式(取引相場のない株式)の相続で、こうした戸惑いを抱える方は少なくありません。 ...

2026年8月18日 · ひぐらしさとし