登記の「抹消」と「更正」はどう違う──消す・直す・戻す、3つの手段の使い分け

この記事の要点 登記が終わった後に誤りや無効が分かったときの直し方は、主に抹消(消す)・更正(直す)・真正な登記名義の回復(本当の持ち主へ名義を戻す)の3つです。 見分けの軸は、①誤りが登記した時点からあったか、②直した後も同じ登記といえるかの2つです。名前の字や持分の割合のように一部だけ直せば足りるなら更正、登記そのものが成り立たないなら抹消が基本です。 抹消には、抵当権を持つ銀行など登記上の利害関係を有する第三者の承諾が必要です(不動産登記法68条)。承諾が得られない場合などに、名義を移す形で直す「真正な登記名義の回復」が使われることがあります。 登録免許税は、抹消が不動産1個につき1,000円、名前・住所の更正も1個につき1,000円です。真正な登記名義の回復は、不動産の価額の1000分の20で扱われると考えられます。 相手が協力しない、権利が誰のものかで争いがある、という場合は訴訟が必要になることがあり、弁護士への相談が必要です。 登記簿を見たら名義や内容が事実と違っていた──そんなとき、「登記を直す」方法は一つではありません。結論から言うと、登記が終わった後の直し方は、次の3つに分かれます。 ...

2026年10月25日 · ひぐらしさとし

真正な登記名義の回復とは──本当の持ち主に名義を戻す登記と、贈与・売買との違い

この記事の要点 「真正な登記名義の回復」とは、登記簿の名義が本当の持ち主と違っているときに、間違った名義を消すのではなく、本当の持ち主へ名義を移す形で直す登記の原因(登記の理由)です。 本来は間違った登記を消す(抹消する)のが基本ですが、抹消には登記上の利害関係のある人(抵当権を持つ銀行など)の承諾が必要です。その承諾が得られない場合などに使われる方法です。 贈与や売買は「権利が新しく移った」ことを記録する登記です。真正な登記名義の回復は「もともと本当の持ち主の権利だった」ことを前提に、名義だけを正しい人に合わせる登記である点が違います。 登録免許税は、相続の税率(1000分の4)ではなく、「その他の原因による移転」の区分として不動産の価額の1000分の20で扱われると考えられます。 権利が実際に順番に移っている(元の持ち主→中間の人→いまの持ち主)のに登記名義が元の持ち主のまま残っている場合に、中間の人を飛ばしてこの方法を使うことは、最高裁判決で認められていません。 真正な登記名義の回復(しんせいなとうきめいぎのかいふく)とは、登記簿に載っている名義が本当の持ち主と食い違っているときに、その名義を本当の持ち主へ移す「所有権の移転の登記」の形で直すときに使われる登記の原因です。登記簿の甲区(所有者の欄)には「原因 真正な登記名義の回復」と記録されます。 ...

2026年10月23日 · ひぐらしさとし

遺産分割をやり直したら登記はどうなる──「錯誤」による抹消と、再協議で動く税金の注意(税理士へ)

この記事の要点 遺産分割の「やり直し」には、①相続人全員の合意で最初の協議を解消して改めて協議する場合と、②最初の協議にそもそも無効・取消しの原因があった場合の2種類があり、登記の直し方が違います。 相続人全員の合意で協議を解消し、改めて協議することは、最高裁判所の判例で認められています。一方、ほかの相続人が協議で約束したことを守らないという理由で、一方的に協議を解除することはできないとされています。 最初の協議が無効だった場合は、登記した時点から登記が事実と合っていなかったことになるため、「錯誤」を原因として登記を消す(抹消)か直す(更正)のが基本です。抹消の登録免許税は不動産1個につき1,000円です(更正の登録免許税は、課税の区分を申請前に確認します)。 全員の合意によるやり直しは、登記の後に事情が変わったものなので「錯誤」にはなじまないと考えられ、どの形で登記するかによって登録免許税が大きく変わります(相続による移転なら固定資産評価額の0.4%、相続以外の原因による移転なら2%)。申請の前に確認が必要です。 やり直しで財産の行き先が変わると、贈与税や所得税(譲渡所得)が問題になる可能性があります。再協議の前に税理士にご相談ください。 いったんまとまった遺産分割協議を、後から「やり直したい」と考えることがあります。結論から言うと、やり直しの登記は、なぜやり直すのかによって直し方が分かれます。 ...

2026年10月22日 · ひぐらしさとし