通行を妨害された・塀を建てられた──通行権をめぐるトラブルの相談先(調停・弁護士)

この記事の要点 通路を塞がれても、塀や置かれた物を自分で壊したり動かしたりするのは避け、法律の手続きで解決を目指す 手続きの選択肢は、話し合い、内容証明郵便、民事調停、通行権の確認や妨害排除を求める訴えの順に重くなる。急ぐ事情があるときは仮処分という手続きもある。必ずこの順番で進める決まりではない 認定司法書士が代理できるのは、簡易裁判所の手続きなどで価額が140万円以下のものに限られる。地方裁判所の代理と140万円を超えるものは弁護士へ 通行権をめぐる訴えのように不動産に関わる訴えは、140万円以下でも地方裁判所が扱うことがある 筆界(登記上の土地の境)の確認は土地家屋調査士へ。最初の一歩は、通路の持ち主を登記簿で確かめ、今の状態を写真で残すこと 「長年通ってきた通路に、ある日ブロックや塀が置かれた」「お隣が代替わりしたら、通らないでほしいと言われた」――こうした場面で迷うのが、何から始めて、どこへ相談するかです。 ...

2026年11月5日 · ひぐらしさとし

「処分禁止の仮処分」の登記──売ろうとしたら出てきた見慣れない記載の意味

この記事の要点 登記簿(登記事項証明書)にある「処分禁止仮処分」は、所有者が申請した登記ではなく、仮処分を申し立てた人(債権者)のために、裁判所書記官が法務局に頼んで(嘱託して)入れる登記です(民事保全法53条3項・47条3項) この登記があっても、所有者が変わるわけではなく、その後に売買や抵当権の登記がされることもあります。ただし、仮処分をした債権者が後で自分の登記をするときは、仮処分の登記より後の登記は、債権者の権利とぶつかる限度で債権者に対抗できず、抹消されることがあります(同法58条1項・2項) 記載が消える道筋は、①申立ての取下げや仮処分の取消しなどによる裁判所書記官の嘱託、②債権者が本来の登記をした際の、後れる登記の抹消とあわせた登記官による抹消、の2つが代表的です(同法53条3項が準用する民事執行法54条1項、不動産登記法111条3項・114条) 仮処分をめぐる争いそのもの(取消しを求める手続や本案の訴訟)は弁護士、登記簿の読み方や登記の手続はお近くの司法書士が相談先です 不動産を売ろうとして登記簿を取り寄せたら、甲区に「処分禁止仮処分」という見慣れない記載があった──。結論からいうと、これは「この不動産の登記をめぐって争っている人がいて、その人が勝ったときに備えて、今の状態を登記簿の上で押さえている」という印です。この記載があっても売買の登記そのものがされることはありますが、仮処分をした人が後で勝って自分の登記をすると、仮処分より後の買主の登記などが抹消されるおそれがある、という構造になっています。 ...

2026年10月28日 · ひぐらしさとし

「仮処分」とは|仮差押えとの違いと、占有移転禁止の仮処分の仕組み

この記事の要点 仮差押えは「金銭の支払を目的とする債権」を保全する手続きです(民事保全法20条1項)。これに対して仮処分は、物の引渡しや地位の確認など、お金の支払そのもの以外をめぐる場面で使われるのが典型です(同法1条・23条) 仮処分には「係争物に関する仮処分」(23条1項)と「仮の地位を定める仮処分」(23条2項)の2種類があり、要件が異なります 建物の明渡しなどの訴訟前によく使われる「占有移転禁止の仮処分」を執行しておくと、訴訟の途中で占有者が入れ替わっても、改めて訴えを起こし直さずに、執行文の付与を受けて明渡しの強制執行に進めます(同法62条) 執筆時点(2026年9月)の制度に基づく一般的な解説です。 ...

2026年9月21日 · ひぐらしさとし