第1問(不動産登記法・区分建物の敷地権)
問: 規約により建物の敷地とされた土地について、建物の専有部分と分離して処分することができない旨の関係が定まっているとき、当該土地の所有権その他の権利は敷地利用権として「敷地権」と呼ばれ、区分建物の表題登記の表題部に登記される。
答: ○
解説: 建物の区分所有等に関する法律(区分所有法)22条1項本文は、敷地利用権は規約に別段の定めがある場合を除き、専有部分と分離して処分することができないと定めている(分離処分の禁止)。分離処分禁止の状態にある敷地利用権を「敷地権」といい、不動産登記法44条1項9号に基づき、区分建物の表題登記の表題部に「敷地権の目的たる土地の表示」および「敷地権の表示」として登記される。敷地権の表示が登記された区分建物では、専有部分の所有権その他の権利の登記は敷地権についての登記の効力を生ずる(不動産登記法73条1項)。敷地権の登記後は、土地登記簿の権利部に当該敷地権についての変動登記は原則として行われず、区分建物の登記簿で一体的に処理される。
第2問(土地家屋調査士法・守秘義務)
問: 土地家屋調査士は、正当な事由がある場合でなければ、その業務上取り扱った事項について知り得た秘密を他に漏らしてはならない。この義務は、土地家屋調査士でなくなった後においても同様である。
答: ○
解説: 土地家屋調査士法24条の2は、「調査士又は調査士法人(以下『調査士等』という。)は、正当な事由がある場合でなければ、その業務上取り扱った事項について知り得た秘密を他に漏らしてはならない。調査士等でなくなった後も、また同様とする。」と定めている。守秘義務違反には罰則として6月以下の懲役又は50万円以下の罰金が科される(土地家屋調査士法71条の2)。なお、本罪は親告罪であり、告訴がなければ公訴を提起することができない(同条2項)。「正当な事由」には、依頼者の同意がある場合、法令に基づく開示義務がある場合(裁判官の証言要求、税務調査の求めなど)、自己の権利防御のために必要な場合などが含まれる。実務上、依頼者から預かった測量データ・境界協定書・現地写真等が守秘の対象となる。
第3問(民法・境界標設置請求)
問: 土地の所有者は、隣地の所有者と共同の費用で、境界標を設けることができる。境界標の設置及び保存の費用は相隣者が等しい割合で負担するが、測量の費用は、その土地の広狭に応じて分担する。
答: ○
解説: 民法223条は「土地の所有者は、隣地の所有者と共同の費用で、境界標を設けることができる」と定め、民法224条は「境界標の設置及び保存の費用は、相隣者が等しい割合で負担する。ただし、測量の費用は、その土地の広狭に応じて分担する」と定めている。本問は両条の正しい組み合わせである。境界標設置請求権の行使は、隣地所有者が任意の協力に応じないときは、訴えにより設置を命ずる判決を求めることができる(最判昭和31年10月12日民集10巻10号1257頁参照。※判例の民集巻号頁は執筆時点で一次資料での最終確認に至らず)。境界標の設置で問題となる「境界」は所有権の境(私法上の境界)であり、筆界(公法上の境界)そのものを争うには、筆界特定制度(不動産登記法123条以下)または境界確定訴訟による。
第4問(測量計算・座標法による多角形の面積)
問: 次の4点で囲まれる多角形ABCDの面積を、座標法(倍面積方式)により求めよ。点列はA→B→C→D→Aの順で結ぶものとする。
- 点A(X = 100.000 m, Y = 200.000 m)
- 点B(X = 150.000 m, Y = 200.000 m)
- 点C(X = 150.000 m, Y = 250.000 m)
- 点D(X = 100.000 m, Y = 250.000 m)
答: 2,500.000 m²
解説: 座標法(倍面積方式)では、多角形の面積 $S$ は次式で求められる(点列は閉じるものとし、$Y_0 = Y_n$、$Y_{n+1} = Y_1$ と置く)。
$$ 2S = \left| \sum_{i=1}^{n} X_i \left(Y_{i+1} - Y_{i-1}\right) \right| $$
各点について倍面積への寄与を求める。
- A:$X_A (Y_B - Y_D) = 100.000 \times (200.000 - 250.000) = -5{,}000.000$
- B:$X_B (Y_C - Y_A) = 150.000 \times (250.000 - 200.000) = 7{,}500.000$
- C:$X_C (Y_D - Y_B) = 150.000 \times (250.000 - 200.000) = 7{,}500.000$
- D:$X_D (Y_A - Y_C) = 100.000 \times (200.000 - 250.000) = -5{,}000.000$
合計:$-5{,}000.000 + 7{,}500.000 + 7{,}500.000 - 5{,}000.000 = 5{,}000.000$
したがって $2S = |5{,}000.000| = 5{,}000.000$ m² であり、$S = 2{,}500.000$ m²。
検算:本問は1辺50.000 mの正方形であり、面積は $50 \times 50 = 2{,}500.000$ m² となり一致する。座標法の倍面積方式では、点列の閉合と回り方向(時計回り/反時計回り)に注意し、最後に絶対値を取って2で除すのが要点となる。
第5問(作図書式・地積測量図の記載事項)
問: 地積測量図には、申請に係る土地の所在・地番・地目・地積・求積の方法・筆界点間の距離その他法令で定める事項を記載しなければならず、座標法による求積の場合は、各筆界点の座標値も記載することを要する。
答: ○
解説: 不動産登記規則77条1項は、地積測量図に記載すべき事項として、(1)地番区域の名称、(2)方位、(3)縮尺、(4)地番(隣接する土地の地番を含む)、(5)地積及びその求積方法、(6)筆界点間の距離、(7)国土調査法施行令2条1項1号に規定する平面直角座標系の番号又は記号、(8)基本三角点等に基づく測量の成果による筆界点の座標値、(9)境界標があるときは、当該境界標の表示、(10)測量の年月日、を列挙している。求積方法(座標法・三斜法等)の記載は同項5号、座標法を用いる場合の筆界点の座標値は同項8号の要求である。地積測量図の縮尺は原則として250分の1だが、これにより難い場合は別の縮尺によることができる(不動産登記規則77条2項)。
出題分野の振り分け
| 問 | 分野 | 論点 | 主な根拠 |
|---|---|---|---|
| 第1問 | 不動産登記法(表示) | 区分建物の敷地権の表示 | 区分所有法22条、不動産登記法44条1項9号・73条1項 |
| 第2問 | 土地家屋調査士法 | 守秘義務 | 土地家屋調査士法24条の2、71条の2 |
| 第3問 | 民法(相隣関係) | 境界標の設置と費用負担 | 民法223条・224条、最判昭和31年10月12日民集10巻10号1257頁 |
| 第4問 | 測量計算 | 座標法(倍面積方式)による多角形面積 | — |
| 第5問 | 作図書式 | 地積測量図の記載事項 | 不動産登記規則77条 |