家賃の供託──大家が受け取らない・大家が誰か分からないときの弁済供託

この記事の要点 家賃を法務局(供託所)に預ける「弁済供託」ができるのは、①大家が受け取りを拒んだ(受領拒否)、②大家が受け取れない(受領不能)、③借りている側に落ち度がないのに大家が誰か分からない(債権者不確知)の3つの場面に限られます(民法494条) 受領拒否を理由にするときは、原則として、先に支払日に契約どおりの家賃を差し出す「弁済の提供」をしておく必要があります。値上げを求められたというだけでは提供を省けないとされています 供託先は、家賃を支払うべき場所(債務の履行地)の供託所です(民法495条1項)。供託の申請自体に手数料はかかりません 供託したら、遅滞なく大家に通知しなければなりません(民法495条3項)。供託所から「供託通知書」を送ってもらう方法があります 要件を満たさない供託は、支払ったことにならないおそれがあります。値上げ・値下げや立退きの争いそのものは弁護士へ、供託の手続や書類作成は司法書士へ相談できます 家賃を払うつもりがあるのに、大家が受け取ってくれない、大家が亡くなって誰に払えばよいか分からない──このような場合、借りている側は、家賃を法務局(供託所)に預ける「弁済供託(べんさいきょうたく)」をすることで、家賃を支払ったのと同じ効果を得られる場合があります。民法494条1項は、弁済者が供託をした時に債権(ここでは大家の家賃を受け取る権利)が消滅すると定めています。 ...

2026年11月8日 · ひぐらしさとし

賃貸アパートを相続したら──入居者への通知・敷金の引き継ぎ・家賃の分け方

この記事の要点 アパートの大家さんが亡くなっても賃貸借契約は終わらず、貸主(賃貸人)の立場は相続人に引き継がれます 入居者から預かっている敷金を返す義務も、家賃を受け取る権利と一緒に引き継がれます 遺産分割が終わるまでの家賃は、各相続人が相続分に応じて受け取るものとされ、後の遺産分割の結果に左右されないとした最高裁判決があります 入居者には、貸主が変わったことと家賃の振込先・連絡先を早めに知らせましょう 相続登記は、相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内の申請が義務です アパートやマンションの一室、貸家などを人に貸していた方が亡くなったとき、結論からいうと、入居者との契約はそのまま続き、貸主の立場は相続人が引き継ぎます。入居者に出ていってもらう必要はなく、相続人が新しい大家さんとして家賃を受け取り、修繕や敷金の返還といった貸主の義務も負うことになります。 ...

2026年11月8日 · ひぐらしさとし