マンション建替え決議が成立したら──反対した区分所有者はどうなるのか

この記事の要点 マンションの建替え決議が成立しても、反対した区分所有者がその場で退去や名義変更を迫られるわけではなく、まず「建替えに参加するか」を尋ねる催告の手続きが挟まります。 催告を受けた日から2か月以内(区分所有法63条3項)に回答しないと、法律上「参加しない」旨を回答したものとみなされます。 参加しない区分所有者に対しては、建替えに参加する側が区分所有権・敷地利用権を時価で買い取るよう求める「売渡請求」という制度が用意されています。 売渡請求によって権利が移った場合、実際に登記簿の名義を変更するには、通常の所有権移転登記と同様の手続きが必要です。 買い取り価格を巡って意見が食い違う場合は、この記事の範囲を超える個別交渉になるため、早めに弁護士へ相談することが実務上のポイントです。 マンションの建替え決議は、区分所有者及び議決権の各5分の4以上(一定の要件を満たす建物では4分の3以上)の賛成で成立します。決議が成立すると、次に問題になるのは「賛成しなかった区分所有者はどうなるのか」という点です。決議の瞬間にその人の権利が失われるわけではなく、法律上は段階を踏んだ手続きが用意されています。決議そのものの要件緩和(5分の4から4分の3への緩和など)については、区分所有法が変わった──2026年4月施行の改正で管理組合ができるようになったことで扱っていますので、この記事では決議が成立した後に焦点を絞って整理します。 ...

2026年9月15日 · ひぐらしさとし

自社株の相続と議決権──株式が分散すると会社が動かなくなる理由

この記事の要点 経営者が亡くなって自社株が複数の相続人に分散すると、普通決議(過半数)・特別決議(3分の2以上)の数字が揃わず、役員選任や定款変更が進められなくなることがある 遺産分割がまとまるまでの株式は相続人全員の準共有(共同で持ち合う状態)となり、権利行使者を1人定めて会社に通知しなければ、原則として議決権を行使できない(会社法106条) 会社側の対応策として「相続人等に対する売渡請求」(会社法174条)があるが、定款の定め・特別決議・1年の期限・価格の協議という条件と限界がある 最も確実なのは、経営者が元気なうちに株式を後継者へ集約しておくこと 中小企業の経営者が亡くなったとき、会社にとって最も深刻な影響のひとつが、自社株(経営者が持っていた自社の株式)の分散です。株式が複数の相続人に分かれて承継されると、株主総会で必要な賛成の数が揃わなくなり、役員の選任すら決められない──つまり「会社が動かなくなる」事態が現実に起こりえます。 ...

2026年8月25日 · ひぐらしさとし