生前にもらった人がいる相続──特別受益と「持戻し」のきほん

この記事の要点 特別受益は、生前贈与や遺贈を「相続分の前渡し」とみなし、遺産に足し戻して計算する調整のしくみ(民法903条) 婚姻20年以上の配偶者への自宅の贈与は、持戻し免除の意思があったと推定される(民法903条4項) 何が特別受益にあたるかは総合判断でケースにより結論が分かれるため、判断に迷うときは早めに専門家へ 「兄は家を建てるとき、親からまとまったお金を出してもらっていた」「妹だけ結婚のときに援助を受けていた」——いざ相続が始まると、こうした生前の贈与をめぐって、きょうだいの間で「不公平ではないか」という思いが表に出てくることがあります。 ...

2026年6月14日 · ひぐらしさとし

未成年の子がいる相続──親は子の代わりに遺産分割できない?「特別代理人」のしくみ

この記事の要点 親と未成年の子がともに相続人になる遺産分割では、親は子を代理できず、家庭裁判所で特別代理人を選んでもらう必要がある(民法826条) 子どもが2人以上いる場合は、子どもごとに別々の特別代理人が必要 申立てには遺産分割協議書の案を添えるのが実務の通例。特別代理人を立てずにした協議は後から効力を否定されるおそれがある 夫が亡くなり、相続人は妻と小学生の子ども2人──。 ...

2026年6月11日 · ひぐらしさとし

法定相続分とは?──配偶者・子・親・兄弟姉妹、それぞれの取り分をやさしく整理

この記事の要点 法定相続分は「遺言も話し合いもないとき」の目安であり、遺言や遺産分割協議があればそちらが優先される 配偶者は常に相続人になり、取り分は一緒に相続する相手が子・親・兄弟姉妹のどれかで1/2・2/3・3/4と変わる 兄弟姉妹が相続人になる場合、半血(父母の一方のみ共通)の兄弟姉妹の取り分は全血の半分になる 「法定相続分」という言葉を聞いたことはあっても、自分の場合はどれくらいの割合になるのか、正確にわかる方は意外と多くありません。配偶者と子がいる場合、配偶者と親の場合、配偶者と兄弟姉妹の場合では、それぞれ割合が変わります。 ...

2026年6月5日 · ひぐらしさとし

遺産の「分け方」には4つの型があります──現物・代償・換価・共有分割の違いと、登記・税金の注意点

この記事の要点 遺産分割には現物分割・代償分割・換価分割・共有分割の4つの型があり、財産ごとに組み合わせて使うこともできる どの方法を選ぶかで、相続登記の進め方や、譲渡所得税・相続税の扱いが変わる 共有分割は将来の合意形成や共有者の増殖リスクがあるため、最終的な分け方としては慎重に検討すべき 「実家の土地建物と、少しの預貯金。相続人は子ども3人」――こうした相続は珍しくありません。このとき悩むのが、「どうやって分けるか」です。 ...

2026年6月2日 · ひぐらしさとし

遺産分割協議書の作り方と落とし穴──全員署名・印鑑証明書・複数原本のポイント

この記事の要点 遺産分割協議書は相続人「全員」の署名・実印・印鑑証明書がそろって初めて使える書類。1人でも欠けると無効 不動産は登記事項証明書のとおりの表記で書かないと相続登記に使えない 相続登記の申請義務(3年以内)と遺産分割の10年ルールという2つの期限が迫っているため、後回しにしない 被相続人(亡くなった方)の財産を相続人が話し合って分けるときに作る書面が「遺産分割協議書」です。法律で書式が決まった用紙があるわけではなく、相続人が自分たちで作る私文書ですが、これ1枚で不動産の名義変更も、預貯金の解約も、相続税の申告書類も動きます。それだけ大事な書面なのに、「全員の署名がそろわない」「印鑑証明書の有効期限を勘違いしていた」「後から財産が出てきて作り直すはめになった」──そんな落とし穴で、せっかく書いた協議書が使えなくなるケースが少なくありません。 ...

2026年5月24日 · ひぐらしさとし

義理の親を介護したのに相続では何ももらえない?──特別寄与料制度の基本

この記事の要点 相続人でない嫁や甥姪でも、無償で被相続人を介護し「特別の寄与」をしていれば、特別寄与料(民法1050条)を相続人に請求できる 家庭裁判所への申立期限は相続の開始・相続人を知った時から6か月、または相続開始から1年と短い 介護の事実を裏付ける記録が重要。早めにお近くの司法書士にご相談ください 「義理の父(夫の父)を10年以上介護してきたのに、相続では一切財産をもらえない」──こうした相談は、相続の現場でしばしば聞かれます。なぜなら、嫁や婿は法律上の「相続人」ではないため、原則として相続財産を受け取る権利がないからです。 ...

2026年5月4日 · ひぐらしさとし

相続人が5〜6人いて遺産分割がまとまらない|連絡先の調べ方から家裁の調停・審判への進み方まで

この記事の要点 兄弟姉妹相続・代襲相続では相続人が5〜10人以上に増えやすい。まず戸籍と戸籍の附票で相続人と連絡先を確定する 話し合いがまとまらなければ、家庭裁判所の遺産分割調停・審判に進む 2023年4月からの「10年ルール」で特別受益・寄与分の主張には期限がある。早めにお近くの司法書士にご相談ください 「亡くなった伯父には子どもがいなかったので、兄弟姉妹6人で相続することになった」 「そのうち2人は既に亡くなっており、その子ども(甥・姪)が代わりに相続人になった」 「結果として相続人は8人を超え、何十年も会っていない人や、住所すら知らない人もいる」 ...

2026年5月3日 · ひぐらしさとし

亡くなった父名義の家、どうやって名義変更する?相続登記の流れを最初から最後までやさしく解説

この記事の要点 相続登記は「戸籍集め→相続関係図→遺産分割協議書→申請書→添付書類→法務局へ申請→識別情報受領」の7ステップ 費用の目安は固定資産税評価額×0.4%の登録免許税。2024年4月から3年以内の申請が義務 戦前の戸籍まで遡る・相続人が多い・数次相続など複雑なケースは、お近くの司法書士にご相談ください 「父が亡くなって何年も経つけれど、家の名義はまだ父のまま」 「そろそろ名義を変えなきゃと思いつつ、何から手をつけていいかわからない」 ...

2026年5月3日 · ひぐらしさとし

相続登記で兄弟の一人だけ協力しない場合の対処法──段階的な解決の進め方

この記事の要点 遺産分割協議に協力しない相続人がいても「話し合い→調停→審判」と段階的な解決手段が用意されている 法定相続分どおりの相続登記なら、相続人1人でも単独申請できる(不動産登記法63条2項) 相続登記義務化の「3年」の期限は待ってくれないため、協議が長引きそうなら相続人申告登記で義務違反を先に回避しておく 亡くなった親の家を相続するため遺産分割協議を進めようとしても、兄弟姉妹のうち一人だけが話し合いに応じてくれない——これは相続実務でもっとも多く見られる悩みのひとつです。 ...

2026年4月30日 · ひぐらしさとし

亡くなった方の預金、葬儀代だけでも引き出せる?──預貯金の仮払い制度

この記事の要点 遺産分割前でも、相続人ひとりで単独請求できる「預貯金の仮払い制度」(民法909条の2)がある 上限は「預金額×1/3×法定相続分」と、金融機関ごとに150万円のいずれか低い方 相続放棄を検討している場合は、仮払いの利用が「単純承認」とみなされるリスクがあるため要注意 「親の口座が凍結されて葬儀代も払えない」というご相談 身内が亡くなったあと、銀行に死亡の連絡を入れると、その方の口座は「凍結」され、原則として遺産分割協議が終わるまで引き出せなくなります。 ...

2026年4月30日 · ひぐらしさとし