株券発行会社のままになっていませんか──株券廃止の登記と相続・譲渡での不都合

この記事の要点 登記事項証明書に「株券を発行する旨の定め」が載っていれば、その会社は「株券発行会社」です。会社法の施行前からある会社は、実際に株券を使っていなくても、この定めが残っていることがあります 株券の定めの廃止は、株主総会の特別決議による定款変更で行います。株券を1枚でも発行していれば、効力が生じる日の2週間前までに公告と株主などへの個別の通知が必要で、全く発行していなければ通知(または公告)だけで足ります(会社法218条) 定款変更の効力が生じたら、2週間以内に本店の所在地で変更の登記をします(会社法915条1項)。登録免許税は1件3万円です 株券発行会社のままだと、株式の譲渡に株券の交付が必要になり、株券をなくしていると手続きに1年かかることもあります。相続の名義書換でも、株券のありかが問題になりやすくなります まずは登記事項証明書と、株券を実際に発行しているかどうかを確認するところから始めます 株券を発行する旨の定款の定めが残っていて、実際には株券を使っていない会社であれば、定めを廃止して登記まで済ませておくのが基本です。株券発行会社のままにしておくと、株式を譲るときや相続が起きたときに「株券」という紙が手続きの前提になり、事業承継の場面で思わぬ足止めになることがあるためです。 ...

2026年10月27日 · ひぐらしさとし

発行可能株式総数とは──増資で足りなくなったときの定款変更と登記

この記事の要点 発行可能株式総数とは、その会社が発行できる株式の数の上限のことです。定款で定め、登記簿にも載ります(会社法37条1項・911条3項6号) 増資で新しい株式を出したいのに上限の空きが足りないときは、増資の手続の前に、上限を広げる定款変更(株主総会の特別決議)が必要です 上限を変えたら、変更が生じたときから2週間以内に、本店所在地の法務局で変更登記をします。登録免許税は1件3万円で、増資の登記と同じ申請書で出すときは増資分と合算されます 「発行済株式の総数の4倍まで」という制限は、公開会社(株式に譲渡制限がない会社)に関する規制です。株式の全部に譲渡制限がある会社が上限を増やす場合には、この制限は課されません(ただし、譲渡制限をやめるなどして公開会社になる定款変更をするときは、4倍以内に収める必要があります。会社法113条3項) 個別の会社の手続は、お近くの司法書士にご相談ください(増資に伴う税務は税理士へ) 結論から言うと、発行可能株式総数とは「その会社が発行できる株式の数の上限」のことです。増資で新しく株式を発行すれば、発行済みの株式の数は増えていきます。その数が上限に届きそうなとき、あるいはもう届いているときは、増資の手続を進める前に、上限そのものを広げる定款変更と、その変更登記が必要になります。 ...

2026年10月4日 · ひぐらしさとし

種類株式とは──「拒否権付株式(黄金株)」を事業承継で使うときの基本と注意点

この記事の要点 種類株式とは、剰余金の配当や議決権など「権利の内容が違う株式」を、1つの会社の中で複数のタイプ発行できるしくみです。 事業承継の場面では、重要事項に「待った」をかけられる拒否権付株式(通称・黄金株)や、議決権のない株式がよく話題になります。 導入するには定款を変更する必要があり、原則として株主総会の特別決議と、2週間以内の変更登記が必要です。 拒否権付株式には、持っている人の判断能力が下がったときや、相続で株式が分散したときに、会社の意思決定が止まってしまうという裏側のリスクがあります。 どの種類株式をどう組み合わせるかは会社ごとの事情で大きく変わります。検討する段階で、お近くの司法書士にご相談ください。 種類株式とは──「権利の中身が違う株式」を作れる制度 種類株式とは、権利の内容が異なる2つ以上のタイプの株式を発行できるしくみのことです。 ...

2026年8月6日 · ひぐらしさとし