家を買ったあとに手元に残る書類──売買契約書・重要事項説明書・領収書は、いつまで保管するか

この記事の要点 家の引渡しを受けると、売買契約書・重要事項説明書・代金や諸費用の領収書・住宅ローンの契約書類・建築確認の書類などが手元に残ります マイホームを買った個人について、これらの書類の保存年数を一律に定めた法律の規定は見当たりません。法律で保存が義務づけられている例としては、認定長期優良住宅の記録などがあります それでも、少なくともその家を売るまで残しておくのが基本です。売るときの税金(譲渡所得)の計算や、次の買主への説明で使うことがあるためです 登記識別情報通知(いまの「権利証」)は、ほかの書類とは分けて保管します 書類は一つのファイルにまとめ、保管場所を家族にも伝えておくと、相続のときにも役立ちます 家の引渡しが終わると、たくさんの書類が手元に残ります。結論から言うと、購入のときの書類は、少なくともその家を売るまで、ひとまとめにして保管しておくのが基本です。法律で「何年保管しなさい」と決められている書類は多くありませんが、売るときの税金の手続きや、次の買主への説明の場面で、何年もたってから必要になることがあるからです。 ...

2026年10月19日 · ひぐらしさとし

夫婦で家を買うときの持分の決め方──資金の割合と登記の持分が違うと贈与として扱われ得る話(税額は税理士へ)

この記事の要点 夫婦の共有名義で家を買うときは、登記簿に「夫○分の○・妻○分の○」という持分の割合が必ず記録されます。この割合は、夫婦それぞれが購入資金をいくら負担したかに合わせて決めるのが基本です 資金の負担割合と登記の持分が食い違うと、差額の分について夫婦の間で贈与があったものとして扱われ得ます。「夫婦だから半分ずつ」は、負担の実態と合っていなければ注意が必要です 持分は登記を申請する時点で決めて書き込みます。あとから直すには別の登記(当初から誤っていた場合の更正の登記など)が必要で、手間も費用もかかります 贈与税の配偶者控除などの特例もありますが、使えるかどうか・税額・申告が要るかどうかの判断は税理士にご相談ください 持分の割合を決める前に、誰がいくら出すのかを書き出しておきましょう。登記の進め方は、お近くの司法書士にご相談ください 夫婦で家を買うとき、「名義は2人で半分ずつにしておけば公平だろう」と考える方は少なくありません。結論から言うと、共有名義の持分(その不動産に対してそれぞれが持つ権利の割合)は、夫婦それぞれが実際に負担した購入資金の割合に合わせて決めるのが基本です。夫婦であっても、資金の負担と持分がずれていると、そのずれた分について贈与があったものとして扱われ得るからです。 ...

2026年10月18日 · ひぐらしさとし

なぜ司法書士は免許証を見るのか──本人確認・意思確認と「地面師」対策

この記事の要点 司法書士が運転免許証などを確認し、本人と会って話を聞くのは、「書類の上の名義人」と「目の前の依頼者」が同じ人か、そしてその人が本当にその登記を望んでいるかを、登記の申請より前の段階で確かめるためです 司法書士は、犯罪収益移転防止法で本人確認(取引時確認)を求められる「特定事業者」の一つです。宅地や建物の売買に関する手続の代理を引き受ける契約などが、確認の対象として定められています 不動産登記法にも、権利証(登記識別情報)を出せないときの事前通知や、司法書士などが作る「本人確認情報」、登記官による本人確認の調査といった、なりすましに備える仕組みがあります 本人確認は、他人になりすまして土地を売るいわゆる「地面師」の被害を防ぐための大切な関門ですが、それだけで被害を完全に防げるわけではありません。確認に協力しつつ、心配な点は早めにお近くの司法書士にご相談ください 不動産の売買や贈与の登記を司法書士に頼むと、運転免許証やマイナンバーカードを見せてほしい、本人と直接会って話を聞きたい、と言われるのが一般的です。「家族が代わりに行けばいいのでは」「印鑑証明書もそろえたのに、なぜ」と感じる方もいるかもしれません。 ...

2026年10月17日 · ひぐらしさとし

不動産の決済で司法書士は誰が選ぶ?──売主側・買主側・銀行指定の実際と費用負担の慣行

この記事の要点 不動産の売買で司法書士を誰が選ぶかは、法律で決まっているわけではありません。一般には、買主側(不動産会社の紹介や、住宅ローンを組む金融機関の手配を含む)で決まることが多いとされています 住宅ローンを使う場合、金融機関も抵当権の登記の当事者になるため、金融機関の手続きの都合が司法書士選びに関わります 登記費用を誰が負担するかは「誰が選んだか」ではなく、売買契約書の取り決めで決まります。名義変更は買主、売主の抵当権の抹消は売主が負担する形が一般的とされています 買主が自分で司法書士を選びたいときは、決済日が決まる前に、不動産会社と金融機関へ早めに伝えて相談しましょう 不動産を売り買いするとき、「司法書士は誰が頼むものなのか」「不動産会社に紹介された人に決まっているのか」と迷う方は少なくありません。 ...

2026年10月16日 · ひぐらしさとし

中古住宅を買う前に登記簿でチェックする5項目──所有者・抵当権・差押え・仮登記・共有

この記事の要点 中古住宅を買う前は、土地と建物の登記簿(登記事項証明書)で5項目を確認する──①売主と所有者(登記名義人)は一致しているか ②抵当権が残っていないか ③差押え・仮差押えが入っていないか ④仮登記がないか ⑤共有になっていないか 登記された権利の内容と登記名義人は、不動産会社(宅地建物取引業者)の重要事項説明でも説明される事項です(宅地建物取引業法35条1項1号)。説明に代わるものではなく、説明とあわせて自分の目でも確かめるためのチェックです 登記事項証明書は1通600円、オンラインで請求すれば窓口受取490円・郵送520円(登記手数料令2条1項・3条1項) 気になる登記を見つけたら、それが何を意味するかを確かめ、決済(代金の支払いと引き渡し)までに抹消されるのか、どういう段取りなのかを契約前に確認します 中古住宅を買う前に、登記簿で確認しておきたいのは「所有者」「抵当権」「差押え」「仮登記」「共有」の5項目です。どれも登記事項証明書(いわゆる登記簿謄本)の甲区(こうく=所有権に関する欄)と乙区(おつく=所有権以外の権利に関する欄)を見れば分かります。 ...

2026年10月15日 · ひぐらしさとし

家を買うときの登記費用の内訳──登録免許税の軽減・住宅用家屋証明書・実費と報酬の考え方

この記事の要点 家を買うときの登記費用は、大きく「登録免許税(国に納める税金)」「証明書の取得などの実費」「司法書士の報酬」の3つに分かれます 登録免許税は登記の種類ごとに別々にかかります。土地の名義変更・建物の名義の登記・住宅ローンの抵当権設定で、それぞれ税率が違います 自分が住む家で一定の要件を満たせば、建物と住宅ローンの登記の税率が軽くなる措置があり、その入場券が住宅用家屋証明書です。土地の売買にも別の軽減措置があります 軽減措置には適用期限があり、税制改正で変わることがあります。登記の時点の条文で確認するのが基本です 報酬は事務所ごとに決めるものなので、見積書で「何が含まれているか」を確かめましょう 家を買うときの登記費用は、「登記1件いくら」という決まった料金があるわけではありません。どんな登記をいくつするかによって積み上がる、足し算の費用です。 ...

2026年10月12日 · ひぐらしさとし

登記の「住所証明情報」とは?──新しく名義人になる人の住民票・印鑑証明書と、住民票コードで省略できる場合

この記事の要点 住所証明情報とは、売買や相続などで新しく不動産の名義人になる人の住所を証明する書類です。個人なら住民票の写しや戸籍の附票の写しで、印鑑証明書に記載された住所を使うこともできると法務局は案内しています。 申請書に住民票コード(11桁の番号)を書くと、住民票の写しの提出を省略できます(不動産登記令9条・不動産登記規則36条4項)。住民票の写しを出す場合は、マイナンバー(個人番号)の記載がないものを使います。なお、不動産登記令・不動産登記規則は、住所証明情報に印鑑証明書のような「作成後3か月以内」の定めを置いていません(ただし、取った後に引っ越した場合、その書類では今の住所を証明できません)。 2026年10月5日以降に申請する所有権の保存・移転などの登記では、新しく名義人になる個人(その登記の申請人になる人)について、申請書に国籍等を書き、原則としてそれを証する書類も添付することになります(改正後の不動産登記規則158条の39)。日本国籍の方は、本籍地が記載された住民票の写しで住所証明情報と兼ねられると法務省は案内しています。 売買や相続で不動産の名義を変える手続きを調べると、必要書類の欄に「住所証明情報」という言葉が出てきます。結論から言えば、これは新しく名義人になる人の住所を証明する書類のことで、個人の場合は住民票の写しが代表例です。そして、申請書に住民票コードを書けば、その住民票の写しを出さずに済みます。 ...

2026年9月24日 · ひぐらしさとし

共有名義の実家を単独名義に――持分放棄・持分売買・持分贈与の違いと登記手続き

この記事の要点 共有名義の不動産を単独名義にする方法は主に「持分放棄」「持分売買」「持分贈与」の3つで、登記原因と必要な合意が異なる どの方法でも共有者全員の協力(署名・押印・書類提出)が前提になる点は共通 持分放棄・持分贈与では、単独名義になる側に課税関係が生じ得るため、事前に税理士へ確認しておくと安心 相続をきっかけに兄弟姉妹の共有名義になった実家を、そろそろ誰か一人の名義に整理したい――そうした相談は少なくありません。共有名義を単独名義にする方法はいくつかありますが、代表的なのは「持分放棄」「持分売買」「持分贈与」の3つです。それぞれ登記原因や必要な合意、課税関係が異なるため、この記事で違いを整理します。 ...

2026年7月8日 · ひぐらしさとし

登記原因証明情報とは?──不動産の名義変更に欠かせない「理由を証明する書類」

不動産を売買したり、相続で受け継いだり、贈与を受けたりすると、登記簿(とうきぼ。誰がその不動産を持っているかを国=法務局が記録した帳簿)の名義を書き換える手続きが必要になります。このとき、ほぼ必ず登場するのが**登記原因証明情報(とうきげんいんしょうめいじょうほう)**と呼ばれる書類です。 ...

2026年6月27日 · ひぐらしさとし

不動産の売買で司法書士は何をしている?──決済当日の流れと所有権移転登記のしくみ

この記事の要点 不動産の売買では代金支払いと同時に登記簿の名義を書き換える所有権移転登記が必要(代金を払っただけでは自動的に変わらない) 決済当日は司法書士が本人・書類を確認し、「登記できる」状態を見届けてから代金を動かす橋渡し役を担う 権利証(登記識別情報)を紛失していても、事前通知・本人確認情報・公証人認証などの代替手段がある マイホームや土地を買うとき、契約から「鍵の受け渡し」までの間に、**決済(けっさい)**と呼ばれる日があります。買主が売買代金を支払い、売主が不動産を引き渡す、いわば取引の山場です。 ...

2026年6月24日 · ひぐらしさとし