相続の相談で言いにくいこと──借金・疎遠な相続人・再婚歴ほど先に伝えたい理由

この記事の要点 借金・疎遠な相続人・前婚の子など「言いにくい事情」ほど、最初の相談で伝えたほうが手続きがスムーズに進みます 戸籍や登記を集める過程で明らかになることが多く、後から分かると段取りがやり直しになりかねません 司法書士には法律上の守秘義務があり、正当な事由がある場合でなければ、業務上知ることのできた秘密を他に漏らすことはできません(司法書士法24条) 相続の相談、何から話せばいいか分からないときは、話す中身をどう整理するかという「順序」の記事でした。今回はその一歩手前、「言いにくいけれど、実は最初に伝えたほうがよい事情」に絞って整理します。 ...

2026年8月26日 · ひぐらしさとし

亡くなった親の固定資産税は誰が払う?──『相続人代表者指定届』のしくみ

この記事の要点 固定資産税は毎年1月1日時点の登記名義人等に課税される「賦課課税」の税金。名義人が亡くなり相続登記がまだの間も、課税自体は続く 誰が納税通知書を受け取るかを市区町村に届け出る制度が「相続人代表者指定届」(地方税法9条の2第1項)。すべての相続人またはその相続分のうちに明らかでないものがあり、かつ、相当の期間内に届出がないときは、市区町村長が相続人の一人を職権で指定できる(同条2項) この届出はあくまで書類の受取人を決めるものであり、相続登記の代わりにはならず、相続人の納税義務・税額を変えるものでもない 相続で不動産を共有名義にした場合の固定資産税は、すでに相続登記を終えて共有名義になった後、誰が連帯して納めるかという話でした。今回取り上げるのは、それより一歩手前の場面です。親などの名義人が亡くなった直後、相続登記がまだ済んでいない間、市区町村から届く固定資産税の納税通知書は、いったい誰に送られてくるのか、という疑問です。 ...

2026年8月26日 · ひぐらしさとし

お墓や仏壇は相続財産に入らない?祭祀財産の承継者の決まり方と引き継ぎの段取り

この記事の要点 お墓・仏壇・位牌・家系図などの「祭祀財産」は相続財産と別扱いで、遺産分割の対象になりません(民法897条) 承継者は、①亡くなった方の指定 → ②指定がなければ慣習 → ③慣習が明らかでないときは家庭裁判所、の順で決まります 引き継いだ後は、墓地の使用者名義の変更(霊園・寺院への届出)など実務の段取りが必要です 結論から言うと、お墓や仏壇は、預貯金や不動産のような「相続財産」には入りません。家系図や過去帳(系譜)、仏壇・位牌・神棚(祭具)、お墓や墓地の使用権(墳墓)は、まとめて「祭祀財産(さいしざいさん)」と呼ばれ、民法897条により相続とは別の仕組みで引き継がれます。相続財産ではないので、遺産分割協議で分ける対象にもなりません。なお、この記事は執筆時点(2026年8月)の制度に基づく一般的な解説です。 ...

2026年8月25日 · ひぐらしさとし

戸籍の「筆頭者」とは?──亡くなっても変わらない理由と、戸籍を請求するときの使い方

この記事の要点 筆頭者とは、戸籍の最初に記載される人のことで、その戸籍を特定するための「見出し(索引)」の役割を持ちます 筆頭者が亡くなっても筆頭者は変わりません。戸籍から除かれた後も、見出しとしてそのまま使われ続けます(戸籍法9条) 戸籍を請求するときは「本籍地+筆頭者の氏名」のセットで戸籍を特定します。相続の戸籍集めでは、この2つを押さえることが出発点になります 相続の手続きで戸籍を集めようとすると、請求書に「筆頭者」という欄があって手が止まる──よくあるつまずきです。結論からいうと、筆頭者とは戸籍のいちばん最初に記載されている人のことで、その戸籍を探し当てるための「見出し」にすぎません。世帯主のような役割でも、家族の代表でもありません。 ...

2026年8月25日 · ひぐらしさとし

借りている家(借家権)も相続される──賃貸住宅の相続と大家さんへの連絡

この記事の要点 賃貸住宅を借りていた人が亡くなっても、借りる権利(借家権)は大家さんの承諾なく相続人にそのまま引き継がれる 内縁関係で同居していた人も、一定の条件のもとで住み続けられる場合がある 滞納していた家賃は「負の相続財産」として相続人が引き継ぐ 亡くなった方が持ち家ではなく賃貸住宅(アパート・マンション)に住んでいた場合、その部屋を借りる権利はどうなるのでしょうか。「借りていた家だから、契約は自動的に終わるのでは」と思われる方も多いのですが、実際はそうではありません。 ...

2026年8月23日 · ひぐらしさとし

貸金庫の相続──相続人の一人だけでは開けられない理由

この記事の要点 貸金庫の開扉には、銀行実務上、原則として相続人全員の同意(または遺言執行者の権限)が求められる 中身が分からないと遺産分割協議書に書けないジレンマがあり、公証人の事実実験公正証書で内容を記録する方法がある 遺言書を貸金庫に保管していると、開扉に手間取り遺言の実行が遅れるおそれがある 亡くなった方が銀行の貸金庫(貸金庫室・セーフティボックスとも呼ばれます)を借りていた場合、相続人の一人が「自分だけで開けて中を確認したい」と思っても、それは基本的にできません。銀行は名義人の死亡を確認すると口座と同じように貸金庫の利用も止め、相続人全員の同意がそろうまで開扉に応じないのが一般的な取扱いだからです。 ...

2026年8月22日 · ひぐらしさとし

亡くなった方の預金を放置すると「休眠預金」に?──10年ルールと相続手続きの段取り

この記事の要点 2009年1月1日以降の取引を最後に、10年以上「異動」のない預金は「休眠預金」として預金保険機構に移管されることがあります 移管後も、取引のあった金融機関の窓口で払戻しを請求でき、相続人も請求できます(お金を受け取れなくなるわけではありません) ただし窓口での手続きに時間と書類が余計にかかるため、相続では早めに口座を洗い出し、解約まで進めておくのが段取りの基本です 亡くなった方の預金口座を長く放置していても、預金が没収されてしまうわけではありません。ただし、10年以上取引のない預金は「休眠預金」として預金保険機構に移管されることがあり、払い戻すために窓口での手続きが必要になるなど、手間と時間が余計にかかるようになります。相続手続きの段取りとしては、口座を早めに洗い出して解約まで済ませておくことが大切です。 ...

2026年8月21日 · ひぐらしさとし

戸籍謄本と戸籍抄本の違い──相続の手続きで「抄本では足りない」と言われる理由

この記事の要点 戸籍謄本は「その戸籍に載っている全員分の写し」、戸籍抄本は「その戸籍のうち一部の人だけの写し」です 相続の手続きでは、誰が相続人かを戸籍全体で確認する必要があるため、原則として謄本(全部事項証明書)が必要です コンピュータ化後の正式名称は「全部事項証明書」「個人事項証明書」ですが、窓口では今も「謄本」「抄本」で通じます 結論からいうと、相続の手続きで使う戸籍は、原則として謄本(全部事項証明書)をそろえます。抄本を取ってしまい、あとで取り直しになるのはよくあるつまずきです。なお、本記事は執筆時点(2026年8月)の制度に基づく一般的な解説です。 ...

2026年8月21日 · ひぐらしさとし

信用金庫・農協の「出資金」も相続財産です──見落としやすい小口財産

この記事の要点 信用金庫・信用組合・農協(JA)・生協の「出資金」は、預金とは別建ての財産で、相続財産に含まれる 出資金には通帳がないため見落とされやすい。毎年届く「配当金のお知らせ」や決算関係の通知、出資証券が手がかりになる 相続時の選択肢は大きく二つ。持分の払戻しを請求するか、名義書換(組合員資格の承継)をするか 名義書換には組合員資格の要件(地区内に住んでいる・事業を営んでいる等)があり、詳細は各組合の定款によって異なる 具体的な手続きは各金融機関・組合の窓口で、相続全体の段取りはお近くの司法書士に確認するのが安心 亡くなった方が信用金庫や農協(JA)と取引していた場合、預金のほかに「出資金」という財産が残っていることがあります。出資金は預金とは別建ての財産で、相続財産に含まれます。金額は数千円から数万円程度の小口であることが多いのですが、通帳がないため相続手続きから漏れやすい財産の代表格です。 ...

2026年8月21日 · ひぐらしさとし

死亡届と死亡診断書のきほん──コピーを取っておくべき理由

ご家族が亡くなったとき、最初に行う役所の手続きが「死亡届」の提出です。結論から言うと、死亡届は「死亡の事実を知った日から7日以内」に提出しなければならず、提出の前に「死亡診断書のコピーを必ず取っておく」ことが、その後の手続きをスムーズに進めるポイントになります。 ...

2026年8月21日 · ひぐらしさとし