相続放棄が受理されたら次の順位の人へ──誰が相続人になるか、その人の「3か月」はいつから数えるか

この記事の要点 先の順位の相続人が全員放棄すると、子→直系尊属(父母・祖父母など)→兄弟姉妹の順で、次の順位の人が相続人になります。放棄した人の子が代わりに相続人になることはありません 次の順位の人の「3か月」は、亡くなった日からではなく、先の順位の人の放棄によって自分が相続人になったことを知った時から数えるのが基本と考えられます(民法915条1項) 家庭裁判所からの受理の通知は、申述した人などに宛てたものです。次の順位の人に知らせるなら、先の順位の全員の受理を確かめたあとに、日付の残る形で伝えておくと、あとで確かめやすくなります 相続放棄が受理されると、放棄した人の手続きはひと区切りです。しかし、相続そのものは終わっていません。相続人が次の順位の人に移り、その人の期限がそこから動き出すことがあるからです。 ...

2026年10月20日 · ひぐらしさとし

戸籍の「従前本籍」「従前戸籍」の読み方──一つ前の戸籍をたどって出生までさかのぼる手順

この記事の要点 一つ前の戸籍の所在は、本籍を他の市区町村へ移した(転籍)なら戸籍事項欄の【従前本籍】、婚姻などで別の戸籍から入った人ならその人の身分事項欄の【従前戸籍】に書かれる 前の戸籍を取り寄せたら、そちら側に残る「出ていった記録」と日付・所在が合っているかを突き合わせる 出生の記載があるだけでは、出生時の戸籍とは限らない。出生に関する事項は新しい戸籍にも書き写されるため 一つ前の戸籍を探すときに見る2か所 結論から言うと、一つ前の戸籍を探すときに見る場所は2か所です。戸籍そのものがどこから移ってきたかは「戸籍事項欄」に、その人がどの戸籍から入ってきたかは、その人の「身分事項欄」に書かれています。 ...

2026年10月20日 · ひぐらしさとし

公正証書遺言があるか調べる──遺言検索システムの使い方と誰が照会できるか

この記事の要点 亡くなった方が公正証書遺言を作っていたかどうかは、全国どこの公証役場でも「遺言検索」で調べられます(平成元年以降に作成されたものが対象) 申し出られるのは相続人などの利害関係人だけ。遺言者が生きている間は、遺言者本人に限られます 遺言検索の申出は無料。除籍謄本など死亡の事実がわかる書類、相続人であることがわかる戸籍謄本、本人確認書類を用意します 見つかったら、保管している公証役場に遺言公正証書の謄本(写し)を請求します。謄本の請求は郵送でもできます 法務局に預けた自筆の遺言は別の仕組みで調べます。手続きの細かな点は、事前に公証役場へ確認しておくと安心です 親が亡くなり、「公証役場で遺言を作ったと聞いたことがあるけれど、どこにあるのかわからない」と困ってしまうことがあります。結論からいうと、公正証書遺言があるかどうかは、最寄りの公証役場で「遺言検索」を申し出れば調べられます。この記事では、日本公証人連合会の案内にそって、遺言検索の仕組み・照会できる人・必要書類・見つかった後の流れを整理します。 ...

2026年10月20日 · ひぐらしさとし

遺贈は放棄できる?──もらう側が断るときの手続きと、相続放棄との違い

この記事の要点 遺言で財産を譲られる「遺贈」は、受け取る側(受遺者)が放棄できます(民法986条1項)。ただし、遺贈の種類によって手続きがまったく違います 特定の財産を譲る「特定遺贈」は、家庭裁判所の手続きは不要で、遺贈を実行する立場の人(遺言執行者がいれば遺言執行者、いなければ相続人)に「放棄します」と伝えることで放棄できると解されています。後のトラブルを防ぐため、内容証明郵便などの書面で残しておくのが安全です 財産を割合で譲る「包括遺贈」は、相続人と同じ扱いになるため(民法990条)、相続放棄と同じく家庭裁判所への申述が必要と解されています 遺贈の放棄は、一度したら撤回できません(民法989条1項。包括遺贈も、相続放棄と同様に撤回できないと解されています)。放棄された財産は、遺言に別の定めがなければ相続人のものになります(民法995条) 迷ったら、遺言の内容が「特定遺贈」「包括遺贈」のどちらに当たるかを確かめるところから始めましょう 遺言書に「○○に土地を遺贈する」と書かれていても、受け取る側には、それを受け取らない(放棄する)自由があります。民法986条1項は、受遺者(遺贈を受ける人)は、遺言者が亡くなった後、いつでも遺贈を放棄できると定めています。 ...

2026年10月19日 · ひぐらしさとし

遺贈寄付とは──財産の一部を団体に遺す方法と、不動産を寄付するときの注意

この記事の要点 遺贈寄付とは、遺言で「遺贈」という方法を使い、亡くなったあとに財産の全部または一部を団体などに寄付することを指す呼び方です 遺贈には、財産を割合で渡す「包括遺贈」と、特定の財産を指定して渡す「特定遺贈」があり(民法964条)、受け取る団体にとっての負担が大きく違います 団体は遺贈を断ることができ(民法986条)、とくに不動産は受け入れていない団体もあるため、遺言を作る前に受け取る側への確認が欠かせません 不動産や株式などを法人に遺贈すると、値上がり分に所得税がかかる「みなし譲渡所得課税」の対象になることがあり(所得税法59条)、その申告は相続人が行うことになります。税金の判断は税理士に確認しましょう 遺贈を確実に実現するために、遺言で遺言執行者を決めておくことが大切です 遺贈寄付とは、遺言によって、自分が亡くなったあとに財産の全部または一部を、公益的な活動をしている団体などに渡すことです。「遺贈寄付」は法律の条文にある言葉ではなく、遺言による「遺贈」という仕組みを使った寄付を、一般にこう呼んでいます。 ...

2026年10月18日 · ひぐらしさとし

相続の相談はいつ行けばいい?──四十九日などの区切りの考え方と、早めに動いたほうがよい場合

この記事の要点 四十九日などの区切りは、宗教・宗派や地域、家庭によって考え方が異なる慣習で、法律が定める手続きの期限ではありません。相談に行く時期を法要の日取りに合わせる必要はありません 一方で、相続放棄・限定承認の3か月、準確定申告の4か月、相続税の申告の10か月、相続登記の申請の3年など、法律で期限が決まっている手続きがあります 借金がありそうなとき、相続人と連絡がつかないとき、不動産を売る予定があるときなどは、気持ちの整理を待たずに、期限が関係するかどうかだけでも早めに確かめておくと安心です 「四十九日が済んで、落ち着いてから相談しよう」と考える方もいるでしょう。結論からいえば、相談に行く時期は法要の区切りではなく、「期限のある手続きが関係しそうかどうか」で考えるのが基本です。 ...

2026年10月17日 · ひぐらしさとし

死亡保険金の非課税枠とは──「500万円×法定相続人の数」の意味と、使える人・使えない人

この記事の要点 亡くなった方が保険料を負担していた死亡保険金は、民法上の相続財産ではなくても、相続税では「相続や遺贈で取得したもの」とみなされ、課税の対象になる(相続税法3条1項1号) 非課税枠は「500万円×法定相続人の数」。人数は、相続放棄をした人も放棄がなかったものとして数え、養子は数に入れられる人数に上限がある(同法12条1項6号・15条2項) 枠を使えるのは相続人が受け取った保険金だけ。相続放棄をした人や相続人でない人が受け取った保険金には使えず、相続人どうしでは受け取った額の割合で枠を分ける 結論から言うと、死亡保険金の非課税枠は「人数を数えるときは相続放棄をした人も含めるが、枠を使えるのは相続人が受け取った分だけ」という、少しねじれた仕組みです。順に整理します。 ...

2026年10月17日 · ひぐらしさとし

遺言で不動産を特定する書き方──「自宅」や住所だけでは相続登記で困ることがある

この記事の要点 遺言書の中で不動産を書くときは、「自宅」や住所(住居表示)だけで済ませず、登記事項証明書の表題部に書かれているとおりに書くのが基本です。土地は所在・地番・地目・地積、建物は所在・家屋番号・種類・構造・床面積です。 ふだん使う住所と、登記で使う「地番」は別の番号です。自宅の敷地が何筆にも分かれていたり、私道の持分があったりすると、住所だけでは書き漏れが起きやすくなります。 持分だけを持っている不動産、マンション(敷地権付きの区分建物)、登記されていない建物は、それぞれ書き方に注意点があります。 「その他一切の財産」と書く条項は書き漏れへの備えにはなりますが、個々の不動産をきちんと書くことの代わりにはなりません。 書いた遺言書で実際に登記ができるかどうかは、法務局の判断と個別の事情によります。書く前・書き直す前に、最新の登記事項証明書を取り寄せて照らし合わせるところから始めましょう。 遺言書に「自宅は長男に相続させる」と書いておけば、家族には気持ちが伝わります。けれども、亡くなった後に名義を変える手続き(相続登記)では、遺言書に書かれた内容からどの土地・どの建物なのかを読み取れるかが問われます。 ...

2026年10月17日 · ひぐらしさとし

預金の残高証明書はいつ・誰が取る?──死亡日現在で請求する順番と相続放棄の3か月

この記事の要点 預金の残高証明書は、相続人が金融機関に「死亡日現在」の残高で請求するのが基本で、請求は死亡の連絡とセットになる(連絡と同時に口座の取引は原則制限される) 相続放棄・限定承認を選べる期間は、原則として自分のために相続が始まったことを知った時から3か月。残高証明書はその判断材料なので、取引先の洗い出しが済んだら早めにまとめて請求する 誰が請求できるか・必要書類・手数料・発行までの日数は金融機関ごとに異なることがあるため、事前に確認する 結論から言うと、残高証明書は「遺産分割の話し合いの前」よりさらに早く、「相続するか放棄するかを決める前」に揃え始めたい書類です。この記事は、執筆時点(2026年10月)の制度に基づく一般的な解説です。 ...

2026年10月16日 · ひぐらしさとし

特別養子の戸籍はどう書かれている?──「民法817条の2」の記載と相続人確定での読み方

この記事の要点 特別養子縁組は家庭裁判所の審判で成立し、戸籍には「縁組日」ではなく裁判の確定日が記載される。法令の記載例では、養親の戸籍の養子の欄に【民法817条の2による裁判確定日】という項目で記載される 戸籍は「実方の戸籍 → 養子ひとりの新戸籍 → 養親の戸籍」とつながる。出生までさかのぼるときは、間にはさまる新戸籍を抜かさない 実親の相続では、特別養子縁組の記載がある子は原則として相続人にならない(民法817条の9)。ただし、夫婦の一方が配偶者の嫡出子(連れ子)を特別養子とした場合の例外と、離縁による親族関係の回復に注意する 結論から言うと、特別養子縁組は、ひとつの戸籍だけを見ても全体がつかめません。養親の戸籍、養子について一度だけ作られる新しい戸籍、縁組前の実方(じっかた=生みの親の側)の戸籍の3か所に、それぞれ違う形で記載が残るためです。ここでは、相続手続きのために集めた戸籍の中でこの記載に行き当たったときの読み方に絞って、法令に定められた記載例に沿って整理します。 ...

2026年10月16日 · ひぐらしさとし