遺言書保管制度の「通知」を使いこなす──関係遺言書保管通知と指定者通知のちがい

この記事の要点 法務局に預けた遺言書についての通知は2種類。「関係遺言書保管通知」と「指定者通知(遺言者が指定した方への通知)」で、届くきっかけがまったく違う 関係遺言書保管通知は、相続人などの誰か1人が閲覧や証明書の取得をしたときに、ほかの関係者へ届く。特別な申込みは不要 指定者通知は、遺言者が生前にあらかじめ指定した人へ届く。執筆時点(2026年8月)で3名まで指定でき、遺言者が希望した場合にだけ実施される どちらの通知にも、遺言書の「中身」は書かれていない。届いたら遺言書保管所で閲覧か遺言書情報証明書の請求をする 誰も動かなければ関係遺言書保管通知は届かない。だからこそ、保管申請のときに指定者通知を申し込んでおく意味がある 法務局に遺言書を預けたあと、その遺言書の存在は家族にどうやって伝わるのでしょうか。答えは「2種類の通知」です。ひとつは相続人などの誰かが動いたときに届くもの、もうひとつは遺言者が生前に指名した人へ届くもの。この2つは、届くきっかけも、事前の手続の要否もまったく違います。 ...

2026年8月11日 · ひぐらしさとし

財産目録の作り方──パソコン作成OKになったルールと記載例

この記事の要点 自筆証書遺言に添付する財産目録は、2019年1月13日以降、パソコン作成や通帳のコピー添付が可能になった ただし目録の各ページ(両面に記載があれば両面とも)に遺言者本人の署名と押印が必要 財産目録に書き間違いがあった場合の訂正方法にも、本文と同じ厳格なルールがある 不動産・預貯金・株式の記載例と、記載時に気をつけたいポイントを紹介 「遺言書は手書きじゃないといけないから、財産が多いと大変」——そう思っている方は少なくありません。しかし、遺言に添付する財産目録については、2019年(平成31年)1月13日から自書(手書き)が不要になりました。パソコンで一覧表を作ったり、不動産の登記事項証明書や預金通帳のコピーをそのまま添付したりできるようになっています。 ...

2026年8月10日 · ひぐらしさとし

戸籍の附票の使いどころ──登記簿の住所がつながらないとき、行方のわからない相続人を探すとき

この記事の要点 戸籍の附票は「住所の履歴」を証明する書類で、市区町村をまたいだ転居も一枚で追えるのが強み 使いどころは大きく2つ。登記簿の住所と今の住所がつながらないときの住所変更登記と、行方のわからない相続人の住所をたどるとき 附票でも追えないときは、家庭裁判所の不在者財産管理人(民法25条)や失踪宣告(民法30条)が受け皿になる 戸籍の附票(こせきのふひょう)は、「住所の履歴をたどるための書類」です。使う場面はいろいろありますが、実際によく効くのは次の2つに絞られます。 ...

2026年7月29日 · ひぐらしさとし

戸籍のフリガナ、届出期限は終わりました──通知どおりで確定した後に間違いに気づいたら

この記事の要点 戸籍の氏名の振り仮名の届出期間は、令和8年(2026年)5月25日ですでに終了している 届出をしなかった場合は、本籍地の市区町村長が、通知した振り仮名のとおりに戸籍へ記載する 市区町村長によって記載された振り仮名は、一度に限り、家庭裁判所の許可を得ずに変更の届出ができる 記載された振り仮名が自分の認識と違うと気づいたら、まず本籍地の市区町村の戸籍窓口に相談する 「戸籍にフリガナが記載されるらしい」という案内を見た記憶はあるけれど、結局どうなったのか分からないままになっている方もいるかもしれません。結論から言うと、この届出の受付期間は令和8年(2026年)5月25日をもってすでに終了しています。「これから届け出よう」というタイミングは過ぎており、今戸籍に載っている(あるいはこれから載る)振り仮名は、原則として本籍地の市区町村から通知された内容がそのまま確定する仕組みになっています。 ...

2026年7月27日 · ひぐらしさとし

相続人が海外在住のとき──サイン証明・在留証明と遺産分割協議書への調印

この記事の要点 相続人の中に海外在住の方がいても、遺産分割協議書は他の相続人と同じように作成できる 海外在住者は住民登録がないため印鑑証明書を取得できず、代わりに在外公館(大使館・総領事館)で「サイン証明(署名証明)」を取得する 住民票の代わりには「在留証明書」を使う 在外公館での手続きは予約制・本人出頭が原則で、日本国内より時間がかかることを見込んでおく 協議内容そのものでもめている場合は、司法書士の対応範囲を超えるため弁護士へ相談する場面になる 「相続人の一人が海外に住んでいて、日本の実印も印鑑証明書も持っていない」──こうした相続は珍しくありません。結論から言うと、相続人に海外在住者がいても、遺産分割協議書を作ること自体はできます。ただし、日本国内にいる相続人と同じ方法(実印+印鑑証明書)は使えないため、代わりの手続きが必要になります。この記事では、その代わりの手続きである「サイン証明(署名証明)」と「在留証明」を中心に、海外在住の相続人がいるときの進め方を整理します。 ...

2026年7月24日 · ひぐらしさとし

再婚家庭の相続──前婚の子・連れ子・養子縁組で相続人の範囲はどう変わる?

この記事の要点 前婚の子(前の配偶者との間に生まれた子)は、同居の有無や交流の有無に関わらず、法律上当然に相続人になる 連れ子(再婚相手が前の関係で授かった子)は、養子縁組をしない限り、どれだけ長く同居していても相続人にはならない 養子縁組(普通養子縁組)をすると、連れ子は実子と同じ割合で相続人になる。ただし実親側の相続権も残る「二重の相続権」を持つ 前婚の子・現在の配偶者との間の子・養子縁組をした連れ子は、原則としてすべて頭割りで法定相続分を分け合う 相続人の範囲があいまいなまま放置せず、確定作業に不安があれば早めにお近くの司法書士にご相談ください 再婚をしている家庭の相続では、「誰が相続人になるのか」の見極めが、初婚同士の家庭よりも複雑になりがちです。結論から言うと、判断の基準は血のつながり、または法律上の親子関係の有無であり、一緒に暮らしていたかどうかではありません。この記事では、前婚の子・連れ子・養子縁組それぞれについて、相続人になるかどうかの制度上の違いを整理します。 ...

2026年7月22日 · ひぐらしさとし

自分が亡くなった後の事務、誰に頼む?──死後事務委任契約とは

この記事の要点 死後事務委任契約は、葬儀・医療費精算・遺品整理など「自分が亡くなった後の事務」を、生前の契約で第三者に頼んでおく仕組み 遺産の分け方(遺産分割)を決めるものではなく、遺言とは役割が異なる おひとり様や、頼れる親族が近くにいない方の「亡くなった直後の空白期間」への備えとして活用されている 自分が亡くなった直後、葬儀の手配や病院・施設への支払い、遺品の整理などは誰がやってくれるのだろう――おひとり様や、頼れる親族が遠方にしかいない方から、そうした不安の声を聞くことがあります。これらの事務を生前のうちに第三者へ委任しておく仕組みが「死後事務委任契約」です。この記事では、死後事務委任契約とは何か、遺言や任意後見契約とはどう違うのかを整理します。 ...

2026年7月8日 · ひぐらしさとし

相続人の一人が行方不明──遺産分割はどう進める?|不在者財産管理人と失踪宣告の使い分け

「父が亡くなったが、相続人の一人である弟が何十年も音信不通で、どこにいるかわからない」——このようなとき、行方不明の相続人を外して勝手に遺産分割を進めることはできません。とれる道は大きく2つで、生存はしていそうだが連絡がつかない場合は「不在者財産管理人」、**生死が長い間まったくわからない場合は「失踪宣告」**を、家庭裁判所への申立てによって使い分けます。 ...

2026年7月2日 · ひぐらしさとし

自筆の遺言書を見つけたら勝手に開けてはいけない──家庭裁判所の「検認」とは

亡くなった方の遺品を整理していたら、引き出しの奥から「遺言書」と書かれた封筒が出てきた──。そんなとき、まずやってはいけないのが「その場で封を切って中を読むこと」です。 ...

2026年6月26日 · ひぐらしさとし

法務局の「登記手続案内」の使い方|できること・できないこと・行く前の準備

「相続した土地の名義を、自分で変更してみたい」「抵当権(住宅ローンの担保)の抹消くらいなら自分でできないだろうか」——そう思って調べると、よく目にするのが法務局の「登記手続案内(とうきてつづきあんない)」という言葉です。 ...

2026年6月25日 · ひぐらしさとし