第1問

問: 基準点測量における多角測量(トラバース測量)には、閉合トラバース、結合トラバース、開放トラバースなどがある。結合トラバースの特徴を述べ、なぜ精度評価が可能なのかを説明せよ。

答: 結合トラバースは、既知点(基準点)から出発し、別の既知点に結合する形のトラバース測量。出発点と結合点の座標がいずれも既知のため、計算により求めた到達点座標と既知の結合点座標との較差を閉合差として算出でき、これにより精度評価ができる。

解説:

  • 閉合トラバース:1点の既知点から出発し、同じ点に戻ってくる閉ループ。閉合誤差により精度評価が可能。
  • 結合トラバース:既知点A→未知点を経由→既知点Bへ結合する形。既知点Bへ到達したときの座標較差が閉合差。
  • 開放トラバース:1点の既知点から出発し、戻らずに点列をつなげる形。精度評価ができないため、公共測量では原則として認められない(点検が困難なため)。

公共測量作業規程の準則における基準点測量では、結合トラバース方式が原則となる。


第2問

問: トラバース測量における水平角の観測方法のうち、「方向観測法」の手順を述べよ。あわせて、観測の精度評価指標である倍角差観測差の意味を説明せよ。

答: 方向観測法は、器械点から複数の方向(後視点・前視点等)を順に視準し、各方向の角度を読み取る観測方法。一連の観測(正・反)を1セットとし、複数セット行って平均する。

  • 倍角差:同一方向について、正・反の観測を組み合わせた倍角値の、各セット間の最大値と最小値の差。
  • 観測差:各セットで得られた観測角の、各セット間の最大値と最小値の差。

解説: 公共測量作業規程の準則では、基準点測量の級別に応じて倍角差・観測差の許容値が定められている。代表的な数値は次のとおり(受験参考書で広く流布する標準値)。

  • 1級基準点測量:倍角差15″以下、観測差8″以下
  • 2級基準点測量:倍角差20″以下、観測差10″以下
  • 3級基準点測量:倍角差30″以下、観測差20″以下
  • 4級基準点測量:倍角差60″以下、観測差40″以下

級別と数値のペアは試験頻出論点。「倍角差は2倍に開く、観測差は1セットの差」とイメージで覚えると整理しやすい。

※ 詳細な許容値の最新版は、国土地理院公表の「公共測量作業規程の準則」別表で確認のこと。


第3問

問: 基準点測量におけるトラバース測量で、「器械点」「後視点」「前視点」の用語の意味と、点検測量の意義を述べよ。

答:

  • 器械点:トータルステーション等の測量機器を据え付ける点。
  • 後視点:器械点から後方(既に通過した方向)にある観測対象点。出発時には既知点である。
  • 前視点:器械点から前方(これから進む方向)にある観測対象点。新たに座標を求める点。

点検測量:観測の終了後に、再度観測点を視準して値の整合性を確認する手順。観測誤差・記録誤差を発見するために必須。点検観測を省略すると測量成果として認められない。

解説: 方向観測法では、器械点で後視点を視準して0°方向を取り、そのうえで前視点を視準して水平角・距離を観測する。点検測量では、最終観測点で再度後視点側を視準し、初期視準値との整合を確認するのが基本。

公共測量作業規程の準則では、点検測量の実施が義務付けられている。


第4問

問: 直接水準測量における「前視」「後視」の意味を述べよ。また、レベルを各観測点(中間点)の前後等距離に据えることが推奨される理由を説明せよ。

答:

  • 後視(B.S.: Backsight):レベルから見て、既知の標高を持つ点(出発点側)に立てた標尺の読み。
  • 前視(F.S.: Foresight):レベルから見て、これから標高を求める点(前方)に立てた標尺の読み。

レベルを前後等距離に据えると、視準距離が前後で等しくなり、視準軸誤差(コリメーション誤差)および地球曲率・大気差の影響が前後の読み取りに同じだけ働く。両者を差し引きする計算により、これらの誤差が消去される

解説: 直接水準測量では、

$$ \text{高低差} = \text{後視の読み} - \text{前視の読み} $$

の関係。レベルが中央にあれば、視準軸が水平からわずかに傾いていても、前後の読みに同じ量の補正が加わるため、差を取ることで誤差が打ち消される。

公共測量作業規程の準則では、直接水準測量の前後の視準距離の差について、級別に許容値が定められている(一般に1級水準測量で2.5m以下、2級水準測量で5m以下、3級水準測量で10m以下、4級水準測量で20m以下とされる)。

「レベルは中央に据える」は水準測量の最も基本だが、その理論的根拠(誤差消去)まで説明できることが中級レベルの目安。

※ 視準距離の差の許容値の最新版は、国土地理院公表の「公共測量作業規程の準則」別表で確認のこと。


第5問

問: 直接水準測量で往復観測を行う理由と、標尺の使い方の留意点(標尺底面、ペア使用、起終点での標尺の交換)を説明せよ。

答:

  • 往復観測の理由:往路と復路で観測値の整合性を確認することで、観測誤差や読み取り誤差を発見・除去できる。往復観測の較差が許容範囲を超えれば再観測する。
  • 標尺の使い方:標尺は鉛直に立て、標尺底面(零目盛側)を測点に密着させて読み取る。1組2本の標尺をペアで使用し、起点と終点で標尺を入れ替えることで、標尺底面の磨耗による誤差を消去する。

解説: 公共測量作業規程の準則における水準測量の往復観測較差の許容値は次のとおり。

  • 1級水準測量:2.5mm√S
  • 2級水準測量:5mm√S
  • 3級水準測量:10mm√S
  • 4級水準測量:20mm√S
  • 簡易水準測量:40mm√S

S は片道の観測距離をkm単位で表した値。√S はその平方根)

「mm√S」の係数は試験で頻出。距離が短ければ較差は厳しく、長距離では緩和される構造になっている。

標尺の交換は、1組のペアで上り側に1本・下り側に1本を割り当て、終点でペアを入れ替えて使うことで、各標尺の底面磨耗による誤差を観測経路全体で打ち消すことができる。


第6問

問: GNSS測量におけるスタティック法の特徴を述べよ。観測時間や使用衛星数の標準的な要件についても説明せよ。

答: スタティック法は、複数の受信機を設置して**同時に長時間(60分以上が標準)**の観測を行い、基線解析により高精度な相対位置(基線ベクトル)を求める観測方法。1級・2級基準点測量で標準的に使用される。

解説:

  • 観測時間:基線長10km以下で60分以上、10km超で120分以上が標準(公共測量作業規程の準則)。
  • 精度:mm〜cmオーダーの相対位置精度。
  • 使用衛星数:通常4衛星以上を観測(DOP値の良い時間帯)。
  • データの取得間隔:30秒間隔が一般的。

これに対して、

  • 短縮スタティック法:基線長5km以下で20分以上の観測。3級基準点測量等で使用。
  • キネマティック法:受信機を移動させながら連続観測。
  • RTK法(Real Time Kinematic):基準局からの補正情報をリアルタイムで受信する高速測量。詳細測量・工事測量で使用。

スタティック法は時間がかかる分、精度が高い点を押さえておく。


第7問

問: 航空写真測量における撮影縮尺地上画素寸法(GSD)の関係を述べよ。あわせて、隣接写真のオーバーラップと隣接コース間のサイドラップの標準値を説明せよ。

答:

  • 撮影縮尺は次の関係で表される:

$$ \text{撮影縮尺} = \frac{\text{焦点距離}}{\text{撮影高度}} $$

  • **地上画素寸法(GSD)**は次の関係で表される:

$$ \text{GSD} = \frac{\text{画素サイズ} \times \text{撮影高度}}{\text{焦点距離}} $$

  • オーバーラップ(同一コース内の隣接写真の重なり):60%以上が標準
  • サイドラップ(隣接コース間の写真の重なり):30%以上が標準

解説: 撮影高度が高いほど撮影縮尺は小さくなり、GSDは大きくなる(地上分解能が粗くなる)。逆に、低高度撮影では大縮尺・高分解能の写真が得られる。

オーバーラップが60%以上必要な理由は、**ステレオ視(立体視)**のため。隣接する2枚の写真で同じ地点が異なる方向から撮影されることで、立体的な計測が可能になる。

サイドラップ30%は、コース間の余裕を確保し、全域を漏れなく撮影するための要件。

公共測量作業規程の準則では、地形図縮尺ごとに必要なGSD・撮影縮尺の基準が定められている。


第8問

問: 地形図上の等高線の種類として、主曲線・計曲線・補助曲線の意味を述べよ。あわせて、1/25,000地形図と1/50,000地形図における主曲線・計曲線の間隔を述べよ。

答:

  • 主曲線:基本となる等高線。基準の間隔で連続して描かれる。
  • 計曲線:主曲線の5本ごとに引かれる太い等高線。標高を読み取りやすくするためのもの。
  • 補助曲線:傾斜が緩やかで主曲線だけでは地形が読みにくい部分に、主曲線の1/2または1/4の間隔で描かれる細い破線または点線。

縮尺別の主曲線・計曲線の間隔:

地形図縮尺 主曲線 計曲線
1/25,000 10m 50m
1/50,000 20m 100m
1/10,000 2mまたは4m(地形により) 10mまたは20m

解説: 等高線間隔は地形図の縮尺と地形特性で決まる。試験では1/25,000と1/50,000の数値が頻出。「主曲線×5=計曲線」の関係は普遍的に成立。

国土地理院発行の標準的な地形図は1/25,000・1/50,000。1/25,000地形図は基本図として最も普及している。


第9問

問: 地図編集における「転位」とは何か。なぜ転位が行われるのかを述べよ。地物の優先順位の例も挙げよ。

答: 地図編集における転位とは、地物の正確な位置をわずかにずらして表示することをいう。

理由:縮小された地図上では、複数の地物(道路・河川・鉄道・建物等)が近接していると、すべてを正確な位置に表示するとお互いが重なり判読できなくなる。これを避けるため、表示の優先順位に従って、優先度の低い地物を**わずかに転位(位置をずらして)**表示する。

地物の転位優先順位の一般的な例:

  1. 三角点・水準点等の基準点:原則として転位しない
  2. 鉄道:原則として転位しない
  3. 河川:限定的に転位
  4. 道路:転位する
  5. 建物・等高線等:相対的優先度に応じて転位

解説: 転位は地図表現の本質的な技術で、利用者が違和感なく地図を読めるための工夫。基準点・鉄道など、位置情報の正確性が高く要求されるものは転位しない、という優先順位がポイント。

地図編集の基本論点として、総描(細部を簡略化して全体の特徴を表す)、取捨選択(重要な地物を残し、些末な地物を省く)、転位(位置のずらし)の3つは試験で頻出。


第10問

問: 路線測量における縦断測量横断測量の意味を述べよ。それぞれが対象とする地形要素と、計画への利用方法を説明せよ。

答:

  • 縦断測量:路線(道路・鉄道・水路など)の中心線に沿った標高の変化を測量する。中心線上の各測点(No.0、No.1、No.2、…、間隔は標準20m)の標高を求め、縦断図を作成する。
  • 横断測量:路線の中心線に直交する方向の地形(地表面の高低)を測量する。中心線の各測点で、左右に向かって地表の標高変化を測り、横断図を作成する。

利用:

  • 縦断図は道路・鉄道の勾配計画の基礎資料となる。
  • 横断図は土工量計算(盛土・切土の体積)の基礎資料となる。

解説: 路線測量は応用測量の中心的論点。流れは次のとおり。

  1. 踏査:路線の概略を現地確認
  2. 線形決定(中心線測量):中心線を現地に杭で標示。測点間隔は標準20m(公共測量作業規程の準則)
  3. 縦断測量:中心線上の各測点の標高を求める
  4. 横断測量:中心線の左右の地形を測る
  5. 用地測量:路線が通る土地の境界・地積を確定

縦断測量は通常直接水準測量の手法を用いる。横断測量は簡易水準測量または直接水準測量の手法を用いる。

応用測量は試験で1〜2問出題されるので、用語の正確な理解と作業手順の流れを押さえておく。


出題分野の振り分け

分野 主な論点
第1問 多角測量 トラバースの種類(閉合・結合・開放)
第2問 多角測量 方向観測法・倍角差・観測差
第3問 多角測量 器械点・後視点・前視点・点検測量
第4問 水準測量 直接水準測量・前後等距離・誤差消去
第5問 水準測量 往復観測・標尺取扱い・許容較差
第6問 GNSS測量 スタティック法
第7問 写真測量 撮影縮尺・GSD・オーバーラップ・サイドラップ
第8問 地形測量 等高線(主曲線・計曲線・補助曲線)
第9問 地図編集 転位
第10問 応用測量 路線測量(縦断・横断)

多角測量3問、水準測量2問、合計5問の重点配分。試験本番直前期の知識整理にお役立てください。


【最新改正情報】令和7年3月31日 公共測量作業規程の準則改正

本記事の論点は、伝統的な公共測量作業規程の準則の枠組みに基づく標準的な学習論点を整理したものですが、令和7年3月31日付国土交通省告示第240号により、令和7年4月から準則が一部改正されています。本年度(2026年度)試験は令和7年4月時点の準則がベースとなるため、最新動向もあわせて押さえておくと安心です。

主な改正点:

  1. 全国の標高成果が「測地成果2024」へ全面改訂された(令和7年4月以降)。これは衛星測位を基盤とする最新の標高値で、これまでの基準点成果を大幅に更新するもの。
  2. 3級水準測量にGNSS標高測量が新規導入された。受信機を用いて標高を求める手法で、従来の直接水準測量に対する代替・補完手段として位置づけられる。なお、4級水準測量および簡易水準測量へのGNSS標高測量の適用は別途マニュアルで整備される。
  3. 三次元点群データを使用した断面図の作成方法が追加された。地形測量・路線測量の効率化につながる規定。
  4. 航空レーザ測量・航空レーザ測深測量の規定が改善された(オリジナルデータの点密度規定の追加、平面直角座標→経緯度座標への変換式改善)。

学習にあたっては、国土地理院HPで公表されている令和7年4月適用版の準則本文PDFを一度ダウンロードして手元に置き、本記事の論点(伝統的な手法)と照らし合わせるのが最も確実です。