遺品整理はいつから?──相続放棄を考えているなら「処分」に要注意

この記事の要点 相続放棄を考えているなら、遺品を勝手に処分すると「相続を認めた」とみなされ、放棄できなくなるおそれがある(法定単純承認) 経済的価値のない形見を分ける程度は一般的に問題にならないとされるが、高価な遺品の処分・換金は避ける 賃貸物件の明け渡しを急かされても、遺品はまず保管し、処分は先延ばしにする 遺品整理業者と契約する場合、契約の当事者や作業範囲を慎重に見極める必要がある 個別の判断が難しい場合は、遺品を処分する前にお近くの司法書士にご相談ください 親が亡くなり、賃貸アパートの明け渡しや実家の片付けに追われる中で、「遺品整理は早く終わらせたい」と考えるのは自然なことです。しかし、相続放棄を検討している場合、遺品の扱い方を誤ると、放棄そのものができなくなることがあります。 ...

2026年8月20日 · ひぐらしさとし

「無効」と「取り消すことができる」の違い──条文の書き分けと、期間制限があるかどうか【民法の条文で解説】

この記事の要点 「無効」ははじめから効力がない状態。取り消しの意思表示をするまでもない 「取り消すことができる」は、取り消すまでは一応有効。取り消して初めて、はじめから無効だった扱いになる(民法121条) 取消しには「誰が取り消せるか」と「いつまで取り消せるか」の制限がある(民法120条・126条) 契約や遺言をめぐる話し合いの場では、「あの契約は無効だ」「あれは取り消せるはずだ」という言葉が飛び交います。日常の会話ではどちらも「なかったことにする」くらいの意味で使われますが、法律の条文では、はっきり区別して書き分けられています。結論から言うと、はじめから効力がないのか、それとも取り消すまでは有効なのかが出発点の違いです。 ...

2026年8月19日 · ひぐらしさとし

登記事項証明書の『全部事項』『現在事項』の違いは?──窓口・オンライン請求で選ぶときの目安

この記事の要点 登記事項証明書には「全部事項証明書」「現在事項証明書」「一部事項証明書」「閉鎖事項証明書」など複数の種類があり、記載される範囲が異なる 銀行融資や登記申請の添付書類では、抹消済みの権利まで載る「全部事項証明書」を求められることが多い 種類の選び方より間違いが多いのは不動産の特定で、住所(住居表示)ではなく地番・家屋番号で請求しないと、目的の不動産の証明書にならない 本文 不動産の登記事項証明書を法務局の窓口やオンラインで請求すると、申請書に証明書の「種類」を選ぶ欄がある。ここで何を選べばよいか迷う人は多いが、結論から言うと、用途がはっきりしない場合や提出先の指定がない場合は「全部事項証明書」を選んでおくのが無難である。 ...

2026年8月19日 · ひぐらしさとし

自動車の相続手続き――普通車と軽自動車で違う名義変更

この記事の要点 亡くなった方名義の自動車は、名義変更(移転登録)をしないと、廃車も売却もできません 普通車は運輸支局、軽自動車は軽自動車検査協会と、手続きの窓口が異なります 遺産分割協議書のほか、価額100万円以下の自動車には「遺産分割協議成立申立書」という簡易な書式が使えることがあります 名義変更をしないまま放置すると、自動車税・軽自動車税の納税通知が亡くなった方宛てに届き続けるなど、後々の負担が増えます 次の一歩は、車検証で「普通車か軽自動車か」を確認し、それぞれの窓口(運輸支局・軽自動車検査協会)または行政書士に相談することです 自動車も相続財産の一つです。不動産の相続登記や預貯金の解約と並んで、「乗るにしても、売るにしても、廃車にするにしても、まずは名義変更が必要」という点は見落とされがちです。この記事では、亡くなった方名義の自動車の名義変更について、普通車と軽自動車で何が違うのかを整理します。 ...

2026年8月19日 · ひぐらしさとし

世帯主変更届と住民票の手続き――死亡後14日以内にすること

この記事の要点 世帯主変更届は、亡くなった方が世帯主で、残る世帯員が2人以上いる場合に必要になるのが一般的です。残る世帯員が1人だけになる場合は、住民基本台帳法施行令25条によって届出を要しないものとされています 届出の期限は死亡日から14日以内とされています(住民基本台帳法25条) 国民健康保険・介護保険の資格喪失届、印鑑登録の廃止(死亡により自動的に失効する市区町村も多い)など、同じタイミングで窓口に行く手続きがまとまっています 手続きは亡くなった方が住んでいた市区町村の窓口で、届出人本人(同一世帯の方など)が行うのが基本です 死亡後の手続き全体の流れは死亡後の手続き全体像で時系列に整理していますので、あわせてご確認ください 身内が亡くなったとき、葬儀の手配や関係者への連絡で慌ただしいなかにも、住民票の「世帯主」を書き換える届出には期限があります。亡くなった方が世帯主だった場合、死亡日から14日以内に世帯主変更届(住民異動届の一種で、「世帯主変更届」「世帯変更届」などと呼ばれます)を市区町村の窓口に出す必要があるとされています。 ...

2026年8月19日 · ひぐらしさとし

遺言の相談・作成は家族に内緒にできる?──単独でできる理由と、あとで困らない伝え方

この記事の要点 遺言の作成は本人一人の意思でできる行為であり、家族に伝えずに相談・作成を進めても法的な問題はない 公正証書遺言の証人は家族でなくてよく、むしろ推定相続人や受遺者にあたる家族は証人になれない決まりがある 内緒のまま進める場合は、死後に遺言の存在に気づかれないリスクへの備えを合わせて考えておきたい 遺言を考え始めたものの、「家族に知られずに相談だけでもしたい」と迷う方は少なくありません。結論から言うと、遺言の相談や作成は家族に内緒で進めてかまいません。遺言は本人一人の意思で成立させる行為であり、家族の同意や立ち会いを法律上必要とする場面はないからです。とはいえ、内緒のまま完結させることには実務上の注意点もあります。この記事では、その理由と、あとで困らないための工夫を整理します。 ...

2026年8月18日 · ひぐらしさとし

都市計画税とは何か──固定資産税とセットで課税される理由

この記事の要点 都市計画税は、都市計画事業や土地区画整理事業の費用にあてるための市町村の「目的税」で、固定資産税とは別の税金(地方税法702条) 課税できる区域は都市計画区域の中に限られ、区域区分(線引き)がある都市計画区域では「市街化区域」内の土地・家屋、線引きがない都市計画区域では条例で定める区域が対象になる(地方税法702条1項)。税率は0.3%が上限(地方税法702条の4)。課税するかどうかや実際の税率は市町村ごとに異なる 固定資産税評価額を課税標準とする点や、毎年1月1日時点の所有者に課税される点は固定資産税と共通しているため、1枚の納税通知書にまとめて記載されることが多い 固定資産税の納税通知書を見ると、「固定資産税」の欄の隣に「都市計画税」という欄が並んでいて、合計額が請求されていることがあります。この2つは名前が並んでいるため同じ税金の一部だと思われがちですが、法律上は別の税金です。 ...

2026年8月18日 · ひぐらしさとし

非上場株式を相続したら──取引相場のない株の名義書換と少数株主の現実

この記事の要点 非上場株式を相続しても会社の承認は不要だが、会社が定款で定めていれば「売渡請求」を受けることがある 株主としての権利を会社に主張するには、株主名簿の名義書換(めいぎかきかえ)が必要 配当も売却先もないまま少数株主になるケースは珍しくなく、対応は早めの整理が肝心 「親が中小企業の株を少し持っていた。相続財産の一覧に出てきたが、上場株のように証券会社に問い合わせれば済む話ではないらしい」──非上場株式(取引相場のない株式)の相続で、こうした戸惑いを抱える方は少なくありません。 ...

2026年8月18日 · ひぐらしさとし

電気・ガス・携帯・サブスク──亡くなった方の契約の解約と名義変更

この記事の要点 電気・ガス・水道は名義変更、携帯電話・サブスクは解約が基本的な流れです 解約は、相続放棄を予定している場合に法定単純承認の「処分」に当たり得るため注意が必要です サブスクは口座引き落としの明細やメールを確認しないと見つからないことが多く、デジタル遺品の整理とあわせて進めるのが次の一歩です 身内が亡くなると、公共料金や携帯電話、動画配信サービスなど、さまざまな契約の後始末が必要になります。しかし「そのまま使い続けられる契約」と「解約しないといけない契約」が混ざっているため、何から手をつければよいか迷う方は少なくありません。 ...

2026年8月18日 · ひぐらしさとし

相続回復請求権の期限――「知った時から5年」「相続開始から20年」で消える権利

この記事の要点 「相続回復請求権」は、本当は相続人でない人(表見相続人)が財産を持ち去っている状態を、真正な相続人が正すための権利 期限は侵害の事実を知った時から5年、知らなくても相続開始の時から20年で時効消滅する(民法884条) 遺留分侵害額請求の「1年・10年」とは別の期限であり、混同すると手遅れになりやすい 「知らないうちに時効」が起こりうる権利です 相続回復請求権とは、相続人でない人(表見相続人)に対して、真正な相続人が相続財産の返還を求める権利です(民法884条)。共同相続人の一人が本来の持分を超えて財産を握っている場面をこの権利の問題として扱うかどうかは、後述のとおり考え方が分かれています。たとえば、疎遠になっていた親族が独断で被相続人の財産を管理・処分していた、あるいは自分が相続人であることを知らされないまま長期間が過ぎていた、といった場面で問題になり得ます。 ...

2026年8月17日 · ひぐらしさとし