固定資産税の『免税点』とは──小さな土地でも税金がかからないことがある仕組み

この記事の要点 固定資産税には「免税点」があり、土地30万円未満・家屋20万円未満・償却資産150万円未満なら原則として課税されない 免税点は一筆・一棟ごとではなく、同じ市区町村内でその人が持つ土地全体(または家屋全体)の合計額で判定される(共有名義の持分の取扱いは別途確認が必要) 令和9年度(2027年度)分から家屋の免税点は30万円、償却資産は180万円に引き上げられる(土地の30万円は据え置き) 「納税通知書が来ない=相続登記もしなくていい」ではない点に注意 固定資産税の納税通知書が届かない土地がある、というご相談を受けることがあります。山林や評価額の低い小さな土地などで起こりやすい現象で、その理由のひとつが、地方税法が定める「免税点」という仕組みです。ただし、通知が届かない理由は免税点だけとは限らず、公共の用に供する道路のようにそもそも非課税とされている場合など、別の理由によることもあります。 ...

2026年8月22日 · ひぐらしさとし

貸金庫の相続──相続人の一人だけでは開けられない理由

この記事の要点 貸金庫の開扉には、銀行実務上、原則として相続人全員の同意(または遺言執行者の権限)が求められる 中身が分からないと遺産分割協議書に書けないジレンマがあり、公証人の事実実験公正証書で内容を記録する方法がある 遺言書を貸金庫に保管していると、開扉に手間取り遺言の実行が遅れるおそれがある 亡くなった方が銀行の貸金庫(貸金庫室・セーフティボックスとも呼ばれます)を借りていた場合、相続人の一人が「自分だけで開けて中を確認したい」と思っても、それは基本的にできません。銀行は名義人の死亡を確認すると口座と同じように貸金庫の利用も止め、相続人全員の同意がそろうまで開扉に応じないのが一般的な取扱いだからです。 ...

2026年8月22日 · ひぐらしさとし

隣の木の枝が越境してきたら──2023年民法改正で「自分で切れる」ようになった条件

この記事の要点 令和5年(2023年)4月1日施行の民法改正で、一定の条件を満たせば隣地の木の枝を自分で切除できるようになった 条件は「催告しても切除されない」「所有者が分からない」「急迫の事情がある」の3つのうちいずれか一つ 木の根は改正前から変わらず自分で切り取れる。実際にもめている場合は弁護士にご相談ください 切るために隣地に立ち入る必要があるときは、あらかじめ隣地の所有者などへの通知が必要(民法209条) 「隣の家の木の枝が、うちの敷地にどんどん伸びてきている」「柿の実が越境した枝になっていて、落ち葉の掃除も負担」――こうした境界をまたぐ木の枝のトラブルは、昔からよくある近隣間のもめごとの一つです。 ...

2026年8月22日 · ひぐらしさとし

亡くなった方の預金を放置すると「休眠預金」に?──10年ルールと相続手続きの段取り

この記事の要点 2009年1月1日以降の取引を最後に、10年以上「異動」のない預金は「休眠預金」として預金保険機構に移管されることがあります 移管後も、取引のあった金融機関の窓口で払戻しを請求でき、相続人も請求できます(お金を受け取れなくなるわけではありません) ただし窓口での手続きに時間と書類が余計にかかるため、相続では早めに口座を洗い出し、解約まで進めておくのが段取りの基本です 亡くなった方の預金口座を長く放置していても、預金が没収されてしまうわけではありません。ただし、10年以上取引のない預金は「休眠預金」として預金保険機構に移管されることがあり、払い戻すために窓口での手続きが必要になるなど、手間と時間が余計にかかるようになります。相続手続きの段取りとしては、口座を早めに洗い出して解約まで済ませておくことが大切です。 ...

2026年8月21日 · ひぐらしさとし

戸籍謄本と戸籍抄本の違い──相続の手続きで「抄本では足りない」と言われる理由

この記事の要点 戸籍謄本は「その戸籍に載っている全員分の写し」、戸籍抄本は「その戸籍のうち一部の人だけの写し」です 相続の手続きでは、誰が相続人かを戸籍全体で確認する必要があるため、原則として謄本(全部事項証明書)が必要です コンピュータ化後の正式名称は「全部事項証明書」「個人事項証明書」ですが、窓口では今も「謄本」「抄本」で通じます 結論からいうと、相続の手続きで使う戸籍は、原則として謄本(全部事項証明書)をそろえます。抄本を取ってしまい、あとで取り直しになるのはよくあるつまずきです。なお、本記事は執筆時点(2026年8月)の制度に基づく一般的な解説です。 ...

2026年8月21日 · ひぐらしさとし

信用金庫・農協の「出資金」も相続財産です──見落としやすい小口財産

この記事の要点 信用金庫・信用組合・農協(JA)・生協の「出資金」は、預金とは別建ての財産で、相続財産に含まれる 出資金には通帳がないため見落とされやすい。毎年届く「配当金のお知らせ」や決算関係の通知、出資証券が手がかりになる 相続時の選択肢は大きく二つ。持分の払戻しを請求するか、名義書換(組合員資格の承継)をするか 名義書換には組合員資格の要件(地区内に住んでいる・事業を営んでいる等)があり、詳細は各組合の定款によって異なる 具体的な手続きは各金融機関・組合の窓口で、相続全体の段取りはお近くの司法書士に確認するのが安心 亡くなった方が信用金庫や農協(JA)と取引していた場合、預金のほかに「出資金」という財産が残っていることがあります。出資金は預金とは別建ての財産で、相続財産に含まれます。金額は数千円から数万円程度の小口であることが多いのですが、通帳がないため相続手続きから漏れやすい財産の代表格です。 ...

2026年8月21日 · ひぐらしさとし

死亡届と死亡診断書のきほん──コピーを取っておくべき理由

ご家族が亡くなったとき、最初に行う役所の手続きが「死亡届」の提出です。結論から言うと、死亡届は「死亡の事実を知った日から7日以内」に提出しなければならず、提出の前に「死亡診断書のコピーを必ず取っておく」ことが、その後の手続きをスムーズに進めるポイントになります。 ...

2026年8月21日 · ひぐらしさとし

成年後見人・任意後見監督人の報酬はどう決まる?──家庭裁判所への報酬付与の申立て

この記事の要点 成年後見人・保佐人・補助人・任意後見監督人の報酬は、本人が自由に決めるものではなく、家庭裁判所への申立てと審判によって定まる 報酬は本人(被後見人等)の財産の中から支払われ、家庭裁判所は本人の資力その他の事情を考慮して判断する 具体的な金額は事案ごとに家庭裁判所が個別に判断するため、本記事では目安額は示さない 「後見人になったら、報酬はいつ、どうやってもらえるのか」——制度を調べ始めた方から、こうした質問を伺うことがあります。成年後見人等は本人のために重い責任を負う立場ですが、報酬は自動的に支払われるものではなく、また後見人等が自分で金額を決めてよいものでもありません。本記事は、執筆時点(2026年08月)の制度に基づく一般的な解説です。 ...

2026年8月20日 · ひぐらしさとし

示談はできているのに不安が残るとき|即決和解(訴え提起前の和解)の基礎知識

この記事の要点 当事者どうしで話し合いがつき「分割で返す」等の約束はできていても、口約束や私文書のままでは相手が守らない場合の備えが弱い 簡易裁判所の「即決和解(訴え提起前の和解)」を使うと、合意内容を裁判所の調書に残すことができる 和解調書は確定判決と同じ効力を持ち、これを通じて強制執行の基礎となる文書(債務名義)になるため、相手が約束を守らなかったときに改めて訴訟を起こす必要がない 本文 貸したお金や未払いの代金について、相手との間で「分割で返す」「いつまでに支払う」という合意(示談)自体はできている――というケースは少なくありません。ただし、その合意を口約束や当事者間の合意書だけにとどめている場合、相手が約束を守らなかったときにどうするかという不安が残ります。 ...

2026年8月20日 · ひぐらしさとし

ゴルフ会員権・リゾート会員権の相続──引き継ぐ?退会する?

この記事の要点 ゴルフ会員権・リゾート会員権は原則として相続財産に含まれるが、多くのクラブの会則では死亡により会員資格が当然に消滅すると定められており、相続人が引き継ぐには改めて名義書換の手続きが必要になることが多い 引き継がず退会する場合は預託金の返還を請求できることがあるが、据置期間の定めやクラブの経営状況によって、すぐに全額が戻るとは限らない リゾート会員権のうち、施設の不動産について共有持分を持つタイプのものは、相続登記の対象にもなる 会則の内容はクラブ・施設ごとに異なるため、まずは運営会社に会則と亡くなった方の会員資格の状況を確認するのが出発点 ゴルフ会員権やリゾートクラブの会員権は、預貯金や不動産のように扱いが一律に決まっているわけではありません。結論から言うと、会員権を相続財産としてどう扱うかは、クラブ・施設ごとの会則(規約)次第という部分が大きく、まずは亡くなった方が持っていた会員権の種類と、そのクラブの会則を確認することが最初の一歩になります。 ...

2026年8月20日 · ひぐらしさとし